pentax memo

K-5IIs

ローパスレスにより驚異の解像力を得たミドルクラスAPS-C


ローパスレスにより剥き出しの解像力を発揮するエポックメーキングなカメラ。
キレ味ならばK-3にも勝る。

満足度 120

強み
  • ローパスレスによる高い解像力
  • 視野率100%の光学ファインダー、防塵防滴、ボディ内手ブレ補正などペンタックス一眼レフならではの機能
  • 3段分のボディ内手ブレ補正
  • -3EV対応の強力な暗所AF
  • 中級機としては軽量コンパクト

弱み
  • 動体AFは苦手
  • UHS-Iに対応していない
  • フォーカスポイントが11点と少ない
最終更新: 2015-06-18


実際に使用してのレビュー

画質

画素数や画像処理エンジンなど基本的な部分はK-5から据え置き。スペック上では何も変化が見えないが、よりチューニングされている可能性はある。

劇的な相違点としてはやはりローパスフィルターレス。この威力は明確で通常の鑑賞サイズでも画像のきめの細かさが違って見える。等倍で見れば解像力の違いは明らか。
今まではシャープネスを強めにかけていたレンズでもシャープネス不要の解像力となるほど。
まったく素晴らしい切れ味。

ただしローパス効果が弱いとモアレや偽色が出やすくなるというデメリットもあり、実際、街並みなどを撮っているとそこそこの頻度でモアレが出てくるのを確認している。人物撮影では衣服でもよく出る。
自然物でも水しぶきや茂った草、動物の毛並みなどで出ることが。
とは言え鑑賞サイズで見て気になることは少ないので大きな問題とは感じていない。

高感度性能に関してはノイズの出方など基本的にはK-5と変わっていないように感じる。ただし解像力が高いためか高感度でもディテールが残っている感じで、結果的に一段分くらい許容範囲が上がった。

被写体にもよるがISO3200くらいまで常用として問題がない。ISO6400も非常用としては十分なクオリティ。
ISO12800以上は完全に非常用。ISO25600、ISO51200はデジタルフィルター代わりには良い。

ただISO6400以上にすると撮影後の画像の保存に少し時間がかかるため、撮影のテンポが悪くなる。
ISO51200だと数秒間待たされる。最初に使ったときはフリーズしたのかと思った。これは画像エンジンのパワーが貧弱なためだろう。

ほか今のところ気がついた点としてはK-5より多少色収差が抑えられている気がする。あまり大きな違いではないが。
それから一年間使い倒したが、K-5と違いミラーショックが気になることが今のところ皆無。

その他の特徴としては赤が良く出る気がする。色飽和してしまうこともあるが、鮮やかな赤が素晴らしい。

使い勝手

K-5と基本的には変わらないが、暗所AFの強化が楽しいことになっている。

発売前のレポートによれば暗所AFがすごいことになっているとのことだったが、実際試すと本当にすごいことになっていて、K-5ではAFを諦めてMFしていたような状況でもビシッと合焦する。しかも精度も上々。
暗闇でも近距離ならば補助光で照らした一瞬の間に素早く合わせてしまうのにはびっくりした。

基本的なAFに関しては静物を撮るには特に不満を覚えることはない。
動体AFについてはK-5に比べて挙動の変化があるような気がするが、いずれにしろ初動や食い付きはやはり今ひとつで、連写すればジャスピンも得られるが歩留まりは悪い。フォーカスポイントが11点しかなく他社に水をあけられているのはK-5の時と変わらず。
ただライブビューのコントラストAFはレンズにもよるが十分な速さで、これに関しては他社の同期の一眼レフ(ミラーレス機を除く)と比べても速い。精度は概して位相差AFよりも優れている。が、こちらは暗所AFは不得意。

ボディ内補正のためすべてのレンズで手ぶれ補正の恩恵を得られるのはペンタ機の特権。
カタログスペックでは公称3段分の効果と、K-5の公称4段分よりスペックダウンしている。が、これは記載を控えめにしただけということで、実際はK-5と同等のものを積んでいる。
簡単な検証をした結果、自分が実感できるのは2段分〜3段分程度だ。レンズによって効き目の違いがある。

安心してアウトドアに持ち出せる防塵防滴はもちろん健在。
撮影中に雨が降ってきても慌てないで済む。旅や登山などでは突然の雨に備えてレンズも防滴のものをチョイスしておきたい。

ほか視野率100%のファインダー、ダブルダイヤル、豊富なハードウェアスイッチによる素早く快適な操作が可能な点などは中級機として満足のいくもの。
特に電子水準器が非常に便利でよく使っている。

あとは何よりシャッター音もK-5そのままの静かさで安心した。
しかしメモリーカード的には今時UHS-Iに対応していないのはいかがなものかと思う。

バッテリー

K-5と同じくバッテリーの持ちには不安を感じない。
撮りまくっても数日は持つので毎日使っているといつ充電したか忘れてしまうレベル。

ただライブビューを多用するとファインダーで撮影しているときとは減りの速度が違うので注意。

携帯性

K-5とほぼ同等(若干薄くなったが重さは20g増)
一眼レフの中級機としてはコンパクトでナイスな携帯性。

総評

これは素晴らしいカメラ。

自然の風景を撮ることが主ならばローパスレスによる解像力を存分に活かせるので強く推奨。
一方でストリートフォトや人物ポートレートなどをよく撮る人はちょっと考えた方がいいかもしれない。

満足度は120点。

このカメラに関するメモ

K-5との違い

K-5のAFに満足していてローパスフィルターレスがいらない、という人はK-5から買い換える必要はなさそう。

画質に関して言うとローパスフィルターレスの効果は目が覚めるほどだが、一方でカリカリすぎると感じることもあるので、K-5の画質の方が好きという人もいるかもしれない。

強化点

AFモジュールが強化された(特に暗所AF)
背面液晶の視認性がよくなりエアギャップレスによりゴミが入らなくなった
ローパスフィルターレスになり解像力が増した
高感度耐性の向上


K-5IIとの違い

ローパスフィルターの有無のみ。

K-5からK-5IIに買い換えるか否かはAFと液晶のグレードアップに価値を見いだせるかどうか、といったところか。

ただ暗所AFの強化に関しては次元がひとつ違うので、光量が少ないシーンでAFが迷うことを煩わしく思うことが多いならK-5IIで幸せになれるかも。


動作不具合

K-5と同様にフリーズすることがあり、バッテリー脱着作業を強いられることがある。
とはいえ頻度はまれで、さほど気になる問題ではないが。

加えて同じくSanDiskのExtreme Proを使っていると「メモリーカードが異常です」の表示が出ることがよくあったが、東芝のカードにしたらそういうことはなくなった。
ペンタはSanDiskとは相性が悪いのかなと思った次第。


メンテ&使用記録

点検 2013/10

保証切れを前に点検。
きれいにつかっていると褒められた。動作も異常なし。めでたし。


関連用品

バッテリーグリップ D-BG4

K-5で利用していたものがそのまま使える。重さはバッテリーを入れた状態で325g。

メリットとしては縦位置撮影がしやすくなるほか、横位置でもグリップがしやすくなる。予備バッテリーまたは単3電池6本を電源として追加できるのでバッテリーの持ちがよくなる。

デメリットは重くなること大きくなること。ただしこれらは撮影時の安定性が増す要因でもあるため一概に悪いとは言えない。

本体側のバッテリーを取り出す際に外さないといけないのは相変わらずめんどくさいが、もともとバッテリーの持ちがよくしょっちゅう充電しなくても済むためそれほど負担ではないだろう。

やはりかなりオススメのアクセサリー。

バッテリーグリップ D-BG4

バッテリー D-LI90P

基本的にK-5およびK-01のものがそのまま使える。

ただしK-5と若干バッテリーの規格が変わっていて、カメラにはどっちのバッテリーでも大丈夫なのだが、充電器はそれぞれのバッテリーに適合するものを使わなくてはならないので注意。

予備バッテリーをバッテリーグリップに入れれば驚異の電池寿命。

充電式リチウムイオンバッテリー D-LI90P

ストロボ

リニューアルされて防塵防滴になったAF540FGZ IIおよびAF360FGZ IIが用意されている。
首振りバウンスなどができて便利。ハイスピードシンクロで撮影の幅を広げることも可能。

ポケットサイズのAF201FGも防塵防滴。大型のストロボほど高機能ではないが、内蔵ストロボより光量アップで天井バウンスが可能。

AF540FGZ II
AF360FGZ II
AF201FG

防水リモコン O-RC1

三脚立てての風景撮影などに。
ポケットに入れっぱなしで二回くらい洗濯したがびくともしないぜ。

防水リモコン O-RC1

ケーブルスイッチ CS-205

花火撮影などに。
リモコンの方が気軽に使えるが角度などによって反応しないことがあるので、シャッターチャンス確実に捉えたい場合にはケーブルの方が確実。

イメージセンサークリーニングキット O-ICK1

レンズ交換を繰り返しているとどうしてもセンサーにゴミが付着する。
青空や白い壁などを写した時にゴミの映り込みが気になるほど汚れてきたらこれでぺたぺたと清掃すればOK。効果はばつぐんだ!

通称ぺったん棒。

イメージセンサークリーニングキット O-ICK1

O-GPS1

アストロトレーサーで星を点のまま撮影できる面白アイテム。(通常の長時間露光では星の動きにつれて曲線として写る)

また単なるGPSとしても使える。旅に出るときは付けっぱなしにしていることが多い。
簡易防滴構造なのでK-5IIsに付ければ天候かまわず使える。

直線ナビは相変わらず役に立つシーンがよく分からない。

O-GPS1

Lightroom

写真の管理能力も強力な定番の現像ソフト。

ローパスレス機にとって補正ブラシのモアレ除去がありがたい。
しかし都度かなりのCPUパワーを使うのでモアレがたくさん出てるとヤバイ。出方が微妙なときは消えないときもあるため過信は禁物。

Adobe Photoshop Lightroom 6 日本語版

K-5IIs/K-5II オーナーズBOOK

定番の一冊。

K-5IIs/K-5II オーナーズBOOK


 

参考リンク

K-5IIsで撮った写真

smc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WR
1/60s f/5.6 ISO800 100.0mm
smc PENTAX-DA* 300mm F4 ED [IF] SDM
5s f/4.0 ISO400 300.0mm
smc PENTAX-FA 31mm F1.8AL Limited
1/160s f/8.0 ISO100 31.0mm
A Series Lens
1/125s f/8.0 ISO200 24.0mm
A Series Lens
1/125s f/5.6 ISO400 100.0mm
smc PENTAX-FA* 28-70mm F2.8 AL
10s f/8.0 ISO100 70.0mm
smc PENTAX-DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL[IF] DC WR
1/50s f/8.0 ISO80 60.0mm
smc PENTAX-FA* 28-70mm F2.8 AL
1/80s f/8.0 ISO400 31.0mm
smc PENTAX-FA 31mm F1.8AL Limited
1/250s f/4.0 ISO100 31.0mm
smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited
1/30s f/2.8 ISO1600 77.0mm
smc PENTAX-DA* 16-50mm F2.8 ED AL [IF] SDM
1/160s f/8.0 ISO100 50.0mm
smc PENTAX-DA* 16-50mm F2.8 ED AL [IF] SDM
1/15s f/5.6 ISO1600 16.0mm
smc PENTAX-FA 31mm F1.8AL Limited
1/160s f/8.0 ISO400 31.0mm
smc PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 WR
4s f/5.6 ISO800 100.0mm