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COSINA Carl Zeiss Distagon T*2.8/21 ZK

極めつきの性能を持つ超広角レンズ

2009年に発売されたコシナ製ツァイスの超広角レンズ。
ハイグレードにふさわしく極めて高い光学性能を持つ。

満足度 110

強み
  • 極めて高い光学性能。開放から隅々まで細かく解像し、諸収差が極めて少ない
  • それなり寄れる超広角レンズのため使い勝手が良く表現の幅が広い
  • ピントリングのトルクが心地よい

弱み
  • AFがないため咄嗟のシャッターチャンスには弱い
  • 逆光時にフレアやゴーストがやや目立つ
  • F8以上に絞ると持ち味のマイクロコントラストが回折により失われてくる
最終更新: 2019-11-23

実際に使用してのレビュー

描写の傾向

極めて高い描写力

開放から持ち前の解像力を発揮し、極めて精細感が高くシャープな写り。
階調も豊かかつ色乗りも鮮やかで被写体を印象的にとらえる。なにやら描写性能を極めた感のあるレンズ。

ボケ味も素直で好ましい傾向にある。

安定した光学性能

ハイグレードの超広角レンズにふさわしく色収差、歪曲収差ともに極めて少ない。周辺減光もよく抑えられており、超広角レンズの画角を活かして広大な風景を写し取るには非常にありがたい。

逆光耐性

逆光時にゴーストやフレアがいとも簡単に出るのは玉に瑕。

回折によりいくらか精彩を欠く

重箱の隅的な話だが、F8以上に絞ると回折によりマイクロコントラストが失われてきて、解放~F5.6くらいまでの絞りで撮った写真に比べるとやや物足りなさを感じる。

ただF8やF11以上に絞った写真だけを見れば解像力は十分以上に高いし質感や立体感もしっかりと感じられる。
比較しなければ気にはならないレベルである。

APS-Cでの利用

風景撮影に重視される周辺の画質に関してはフルサイズで使ったときにも定評があるレンズなので、APS-Cでは何の心配も要らないレベル。

使い勝手

超広角21mm

寄れるレンズで開放から安心して使えるため使っていてストレスを感じることほとんどない。超広角なので漫然と使うには難しさがあるものの、これ一本だけカメラに付けて散歩に出てもいろいろと写せるためとても楽しい。

マクロとまではいかないが寄って大きく写せる

最大撮影倍率も0.20倍とまずまず高く、被写体を大きく写し背景との遠近感を強調することが可能。
ボケがきれいでうるさくならないので安心して寄れる点もポイントが高い。

ピントリングの心地よいトルク

他のツァイスレンズ同様にピントリングのトルクは重めだがムラ無く気持ちよく動くのでMFが楽しくなる。

絞り環で絞りを操作できる

Aポジションがあるので一般的なレンズと同様にカメラ側で絞りを制御することが可能だが、お好みで絞り環を使って絞りをコントロールすることもできる。
また絞り環でしか絞りを操作できない古いフィルムカメラでも使うことができるといった利点も。

AFが使えないため咄嗟のシャッターチャンスには弱い

MFレンズでピントリングのトルクも重いため、不意に訪れたシャッターチャンスに対してはAFレンズより不利。

手ブレ補正

手ブレ補正を正しく動作させるためにカメラ起動時の焦点距離入力を間違わないように注意。

21mmは選択できないので20mmに設定すると良い。
昔は1mmの差が気になって手振れ補正を切っていたりもしたが、その程度の差であればそれほど神経質になる必要はないだろう。

APS-Cでの利用

APS-Cでは換算約31mmと扱いやすい広角レンズの画角となる。

携帯性

他の単焦点と合わせて複数本持ち出しても無理のないサイズ。

前玉部分が広がるキノコ型のためかさばる印象があるが、大型のレンズというほどでもなくまずまずの携帯性かと。
近年大きく重いレンズが多いので相対的にこのレンズ程度の大きさや重さではあまり気にならなくなってきた。

総評

満足度は110点。

間違いなくカールツァイスの名に恥じないレンズ。フルサイズでも遺憾なくその真価を発揮する。
ディスコンになってしまったのは残念でならない。

2022における評価

相変わらず優れた性能を持った素晴らしいレンズ。
ただDFA15-30など広角ズームの性能が大きく上がって来たため、登場当初のように無二の性能というわけではなくなっていて、このレンズを求める理由としては趣味的な意味合いが強くなっている。
DFA21リミが出たことで高性能かつ比較的コンパクトという領域でも唯一性は下がった。

購入に関するアドバイス

入手性について

すでにディスコンになっているので入手できるのは中古のみとなる。玉数はかなり少なめで入手難度は高い。

COSINA Carl Zeiss Distagon T*2.8/21 ZK

類似または関連するレンズとの比較

HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR

開放から四隅までパッキリした解像力という点ではDistagon21mmの方が優れているが、DFA21リミも素晴らしい描写力を持つ。画質面では甲乙つけがたいというか、描写傾向の好みの違いでお好きな方をというかんじ。

DFA21リミの方がよりコンパクトで携帯しやすく、個人的には「DFA15-30は重いしカバンに入れるスペースがないからDistagon21mmを持っていこう」というケースが「DFA21リミを持っていこう」に変わってしまったところはある。

HD PENTAX-D FA 15-30mm F2.8 ED SDM WR

サイズと重量はかなり増すがズームであるため使い勝手が高い。性能面でもハイグレードのレンズと言って遜色のないものを持っており、Distagon 2.8/21と比べてもほとんど劣らない。

実用性や入手性など様々な面でDFA15-30でだいたいいいのではと言うかんじです。正直なところ。ただDistagonはいいぞ。

HD PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited

APS-Cで使うとすると焦点距離は共通だがあとは全く性格の違うレンズ。

DA21は軽量コンパクトで扱いやすく画質そこそこ、Distagon 2.8/21はちょっとかさばるが極めつけの画質といった風にそれぞれキャラクター付けがしっかりしているので両方持っていても使い分けはしやすい。

買うべき人とそうでない人

買うべき
やめるべき

このレンズに関するメモ

関連用品

フィルター

大きめの82mm径。Distagonでは18mmと同じ。
純正ではDFA24-70などと共用可能。

マルミ EXUS サーキュラーPL
ケンコー PRO1D プロND8(W)
ケンコー PRO1D Lotus ND32
ステップダウンリング

APS-Cでは58mm径まで、フルサイズでは77mmまで落としてもケラレない。
ただしレンズに入ってくる光の量が減るため、周辺減光が大きくなるほかシャッタースピードが稼げなくなることには留意が必要。

マルミ ステップダウンリング 82mm → 77mm
マルミ ステップダウンリング 77mm → 58mm

参考リンク

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