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smc PENTAX-DA 12-24mm F4 ED AL [IF]

安定した性能を持つ純正広角の優等生


DA15と比べてみたくて中古で手に入れた一本。
純正広角の中でも安定した性能を持つ優れたレンズ。

満足度 110

強み
  • 使いやすいF4通し
  • 周辺まで安定した解像力
  • クロスフィルターいらずの光芒

弱み
  • 色収差が出やすい
  • フードが大きく携帯するのにやや邪魔
最終更新: 2020-08-09

実際に使用してのレビュー

描写の傾向

写りはスッキリとシャープで隅々までしっかりと解像し、きめの細かさも感じさせる高い画質を持ち合わせている。超広角ズームにありがちな広角端での四隅の流れも気にならない。
ズームレンズであるにもかかわらずDA14やDA15といった単焦点に勝るとも劣らない性能。

開放から十分シャープで実用的だが、絞れば周辺まで安定した高い解像力となり遠景もしっかりと写る。最も安定するのはF8辺り。四隅までの均一性を重視するならF11で。

逆光には十分強く、フレアやゴーストが気になることは少ない。ただレンズに強い光が当たるような状況では、角度次第でそれなりに出ることがある。
特にフード未装着時はフレームの隅にオレンジ色のゴーストが出ることがよくある。逆光対策としてこのレンズのフードは重要な仕事をしている。

強い光源の周りに出る光芒はスッキリと8本。好ましい形なので夜景にもいい。

周辺減光、歪曲など風景撮影で気になる点はしっかりしており特に不満な点はない。加えてボケも素直な傾向でうるさくなることが少なく気軽に使うことができる。

と、いう風にまったく優等生なレンズだが、しかし色収差がやや目立つことがあるのが玉に瑕。
特にパープルフリンジはかなり出やすい。色収差のせいで画質が乱れることもあり、なんで写真の一部だけこんなにぼんやりしているんだろう、と言う箇所を等倍で見てみると細かい色収差がたくさん出ていた、なんてこともあったりする。

しかしまあその欠点を差し引いても素晴らしい写りだ。

使い勝手

構図を決める際にズームで微妙な画角調整ができるのはやはり便利。
アングルや気軽な移動が制限される三脚を使った風景撮影には鉄板の一本と言える。

ズームレンジは換算約18mm〜約35mmと、超広角と言えるところから準広角までカバーしているので汎用的に使いやすく、超広角のパースを利用した迫力のある構図からイージーなスナップまで、これ一本だけでけっこう幅広く色々と写せる。

ペンタックス純正のフードとしては珍しくPLフィルターの操作窓が付いていないが、浅めのフードのため付けたままでもPLフィルターの枠を回転させることは問題なく可能。

ボケが比較的素直な傾向なので安心して寄って写せるのは良い。最短撮影距離30cmと接写能力は高くないが望遠端が24mmあることもあり、寄れないことをストレスに感じるケースはあまりない。

携帯性

明るさがF4と抑え気味でかつAPS-C専用と言うこともあり広角ズームにしてはコンパクトに仕上がっていると言える。手持ちのバッグの関係で自分の中では長さ90mm程度がひとつのボーダーなのだが、このレンズはそれをクリアしている。
84mmと言う最大径も前玉付近のわずかな部分の物で、胴体部分は65mm程度とさほど太いわけではない。

ただしフードをレンズに逆付けで持ち運ぶとカメラバッグの中でかなりスペースを取ってしまう。

そんなわけで以前はフードが大きいため携帯性に不満があった。が、最近はフードを取り外した状態で持ち歩くことでその不満もクリアしている。
外したフードはうまくバッグの隙間に入れたり、コートやパーカーなどのポケットに入れておいたりするなど。

総評

満足度は110点。

ズームの使い勝手に加えて安定した高い描写力も兼ね備えている。色収差以外はこれと言った弱点もなく使いやすい。純正超広角の中ではボケが比較的おとなしい点も評価。

純正の広角レンズで実用性を重視するならDA12-24で決まりだろう。純正広角で最も広い画角をカバーしている点もポイントが高い。
携帯性に関してもフードの扱いを工夫すればさほど問題とはならない。

DA★11-18の発売と前後してディスコンになってしまったのは惜しい。

ちなみにDA14やDA15に比べてイマイチ気に入った写真が撮れないのと携帯性が不満でいったん手放したが、やはり広角ズームは必要だということで再入手した。
この二本目が一本目に比べるとかなり良く、このレンズに対する「卒がないけどやや物足りない写り」という自分の中の評価が覆った。個体差恐るべし。

購入に関するアドバイス

類似または関連するレンズとの比較

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さすがに世代もグレードも違うだけあって画質はDA★11-18の方がぶっちぎりで良い。
DA12-24も十分なものを持ってはいるが、最重視するのが画質ならDA★11-18を選ぶべき。

使い勝手としてはズームレンジの広さからDA12-24の方が使いやすいが、DA★11-18の方にもF2.8通し、広角端の画角が広いといったアドバンテージがあり一長一短。

価格面や携帯性ではDA12-24が勝っている。

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サイズを気にしなければ使い勝手の面ではDA12-24が優れており、画質も隅々まで安定している。HD化で画質向上を果たしたHD DA15と比べても勝っている(中央の解像力はHD DA15の方が高いが)

明るさやコンパクトさ、ルックス、最短撮影距離なども含め特にこだわりたい要素がなければDA12-24の方で間違いない。

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とにかく広くダイナミックに写したいと言うことであれば魚眼もアリ。魚眼面白いよ魚眼。
このレンズは広角側に行くにしたがって魚眼らしい歪みが少なくなるため、ある程度は広角レンズの役割を任せることもできる。

比較的コンパクトにバッグに収まるので、旅などでは実際に広角ズームの代わりに持ち出すこともそれなりに多い。
フレーム周辺に直線のものがある場合(特に建物や街の風景など)は強い歪みが邪魔になるケースもあるが、そこは割り切って使っている。まあ広角の代わりを完璧に果たせるわけではない。

両方持っていて使い分けるのがベストだが、広角レンズとして真面目な広角レンズを求めるならDA12-24、ダイナミックさと面白さを求めるならDA10-17といったところか。

サードパーティの広角ズームはどう?

シグマの 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM は良いレンズで、他に類を見ない超々広角の画角というスペックを持ちながら、周辺の描写や色収差に関しても安定しており、描写性能的にもDA12-24に負けていない。

ただ望遠端まで16mmと超広角なのとサイズが少し大きい、それと前玉が出目金でフィルターが使えないので、使い勝手ではDA12-24の方が優れている。
この二本ならばとりえあずDA12-24を選んでおいて、もっと広角が欲しくなるようならΣ8-16を買うのがよいかと。

なお12-24のレンズはシグマにもあるがこれはフルサイズ用のレンズでかなりサイズが大きい。旧型と新型があり、新型はペンタックス用発売日未定。
新型はニコン用を使ったことがある。けっこう良い写りをするが解像力はさほど高くなく、像面湾曲が大きいので他の広角よりも一段余計に絞らないとダメなかんじ。フルサイズではやっぱり12mmの画角が面白いが、換算18mmになってしまうAPS-Cで使う価値はないと思う。

ほかシグマに10-20 F3.5と10-20 F4-5.6、タムロンに10-24の広角ズームがある。これらのレンズは比較的安価でコストパフォーマンスが高く、10mmの画角や最短撮影距離が24cmであることなどスペック的にDA12-24より優れた部分がある。ただし世評を聞くに画質は価格相応のものにとどまるようだ。

標準レンズの広角側では足りないか

超広角の画角もそうだが、周辺の安定度などが大分違うので本格的な広角撮影がしたければ物足りないと思うが、「いや自分は足りる」というならばそれはそれで人それぞれ。

いずれ巨大な被写体がフレームに収まりきらない、旅先の雄大な景色をもっと広く写したいと言った不満や欲求がわいてきたら、それから広角レンズを検討しても良いと思う。

このレンズに関するメモ

フルサイズ機での利用

12mmから15mmまではイメージサークルのフチが見えて明らかに使用不可。

16mmから24mmの範囲では絞り次第で使用可能。
条件にもよるが傾向としては16mmから18mmではF8以上に絞らないと四隅がケラれ、20mmから24mmの間ではF8以上に絞ると四隅がケラれる。

描写的には意外と周辺部まで良く写るので実用的。
さすがに四隅はやや怪しいものの、フルサイズの16-24mmがこのサイズで使えると思えば許容できる・・・?

使用可能なズームレンジの狭さと絞りの制約ゆえに使い勝手はあまり良くない。

トキナー版

このレンズはトキナーとの共同開発で、トキナーから同じレンズ構成で外装の違うものが出ていた。
トキナー版の方も評価が高い。

メンテ記録

片ボケ 2013/02

等倍で仔細に見ると左下が片ボケしているのに気がついた。
実はこのレンズもそれなりに片ボケの報告を見かけるレンズだ。

しかし普段の鑑賞で気になることが皆無なので、調整には出さずそのまま使うことにした。

無駄に完璧を求めると余計にひどくなることDA★16-50で経験したので。

売却 2013/03

いまひとつ満足のいく画質でないので手放した。
よく解像はしているものの、なんだかグッとこないと言うか雑味を感じると言うか。

再入手 2013/05

いったん手放していたが広角ズームないのは不便だったので再入手。
片ボケもなく以前持っていたものより写りが良い気がする。

個体差 2013/07

二本目が間違いなく一本目より良いと確信。

一本目は現像でシャープネスやコントラストを足さないと物足りないことが多かったが、二本目はその必要を感じることがほとんどない。加えてきめの細かさを感じる写りで素晴らしい。同じレンズでここまで差があるとは・・・

一本目は使い込まれた感じの中古だったのでそのせいもあったのかなあ。キズなどはなかったけど、使い込むうちに衝撃で何かダメージを受けていたりとかする可能性もある。中古だし。
ちなみに二本目は保証書付きの新しめの中古で、新品みたいにきれいだったもの。

関連用品

フィルター

77mm径はDA★16-50やDA14など純正レンズに多いので使い回しが効く。
風景撮影にはフィルターがあるとやはり表現の幅が広がる。

SPコーティングなしのレンズなので心配ならばプロテクトフィルターも。広角なので必ず薄枠のフィルターを。

ケンコー Zeta EX サーキュラーPL
ケンコー PRO1D プロND8(W)
ケンコー PRO1D Lotus ND32
ステップダウンリング

77mm-67mmで試したところさすがに広角端でケラレる。
APS-C専用の超広角レンズにステップダウンリングは無理ぽい。

現像ソフト

Lightroomがあれば欠点の色収差もかなり除去できる。
しかも簡単に。

複雑に出ているとお手上げな時もあるが、ほとんどのケースでうまいことやってくれる。

Adobe Creative Cloud フォトプラン

参考リンク

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