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単焦点レンズとズームレンズ

一般的には画質を求めるなら単焦点、と言われるが昨今ではズームも十分に高画質になっている。
単焦点以外を認めない人もいるが、そういう人は期待値がよほど高いか、またはその昔ズームレンズの性能がよろしくなかった時代のイメージが未だに根強く残っている面もあるのかな、と個人的に思っている。

ただ単焦点の方が高い画質を得やすいことは今日でも変わらない。
ズームレンズはズーム全域にわたって画質の調整をしなくてはならないため、その難易度の差はコストやサイズに跳ね返ってくる上、焦点距離によって画質が低下することもある。

一方で一本で様々な画角に対応できるズームレンズの利便性は単焦点にはないもので、シャッターチャンスや構図の調整の余地を大きく増やしてくれるメリットは大きい。


単焦点の優れている点

Good

Bad

明るくて、画質が良くて、軽くてコンパクトで安い。いいことずくめ。
ただし画角を変えるにはレンズの交換が必要なため時間と手間がかかる。この点が不便。

とはいえ近いと思ったら一歩下がって、遠いと思ったら一歩近づいて、などフットワークで被写体との距離を調整することである程度はその不便さにも対応できる。限界はあるものの、それでどこまで工夫できるかチャレンジしてみるのも楽しい。
制約が創造性に結びつくこともある。

軽くてコンパクト、安い、というのはハイエンドの単焦点になると必ずしもそうとは言えないが、同じ性能をズームレンズで得ることを考えれば、比較的軽くてコンパクト、比較的安い、と言うのは真。

画質面では安価な単焦点でもハイエンドのズームに迫る性能が得られる。
またボケ味にこだわるならば優れたズームレンズでもなかなか単焦点には及ばない。より明るい絞りを使えるという面もあるが、絞った状態でも単焦点のボケ味はひと味違う。(例えばFAリミテッドの素晴らしいボケ味を出せるズームはない。ただ単焦点だからと言ってボケ味がよいとは限らないが)

明るさに関してはズームレンズはF2.8通しが最高クラスだが、単焦点はF1.4が一般的。(ズーム、単焦点ともに規格外の明るさを持つものはある)
現在ではカメラの高感度画質が向上しているため、シャッター速度を稼ぐ目的では有効性は薄れているが、浅い被写界深度を活かした独特の表現力には依然として価値がある。


ズームレンズの優れている点

Good

Bad

まず撮影チャンスを逃さない。
これはレンズ交換の手間なく様々な焦点距離に素早く対応できるため。
ズーミングした回数をレンズ交換した回数と考えてみると、どれだけ恩恵を受けているかよくわかる。
実際に自分の場合はズームレンズを付けているときと単焦点を付けているときとでは、前者の方が撮影枚数が多い傾向がある。

次に画角を細かく変えることができるため、写る範囲の微調整が容易にできる。
しっかりと構図を詰めて撮影したいような場合には大きな助けになる。

画質は単焦点には劣るとはいえ、ハイエンドのズームはミドルクラスの単焦点以上の画質は持っている。さすがにハイエンドの単焦点には一歩及ばないが、ここまで写ればハイレベルで何も不満がない、といった描写力。

ただ明るさの限界が単焦点より暗いこともありボケ表現などは単焦点に一歩譲る。
また大口径のズームレンズともなるとサイズはかなり大きくなり、携帯性は大幅に落ちる。


個人的な使い分け

気分次第の時もあり、明確な目的による時もあり。あるいはその両方の時もあり。

単焦点に期待するものは圧倒的な画質や明確な個性。
ズームレンズに期待するものはフットワークの軽さ。

単焦点を持ちだす時

特に何を写すでもなく気軽に身軽に行きたいときに単焦点を使う。
軽量で高画質が得られるためお散歩スナップにはもってこいだったりする。

または被写体が何か決まっていて最適な焦点距離が分かっている場合には単焦点レンズを持って行く。
ただ実際には最適な焦点距離が事前に分かっていることはあまりないので、何か決まったものを撮りに行く場合は単焦点はメインレンズではなくサブレンズにとどまることが多い。

あるいは風景撮影をちょっと真面目にやってみようと言うときには性能の高い単焦点レンズを複数持ちだす。

ズームレンズを持ちだす時

画質とかにこだわらず気楽に行きたいときにズームレンズを使う。(もっとも便利ズームですらコンデジに比べればずいぶん高画質ではある)

または被写体が何か決まっているけど距離感がよく分からない場合、刻々と距離が変化する場合、いろいろな被写体に素早く対応したい場合にはズームレンズを持って行く。例えばスポーツの撮影であったり、旅のスナップであったり。
最適な焦点距離はだいたい現場に行かないと分からないので、何か特定のものを狙って撮影に赴く際にはズームレンズが頼もしい。

あるいは構図を詰めた撮影をちょっと真面目にやってみようと言うときには性能の高いズームレンズを持ちだす。

あと風が強くて外でレンズ交換したくない場合など。