smc PENTAX-DA★16-50mm F2.8ED AL [IF]SDM

実写良ければすべて良し

Good

  • 16mm始まり
  • 被写体の存在感が際立つ表現力
  • 寄れる
  • SDMなのでAFの動作が静か
  • 防塵防滴
  • クイックシフトフォーカス
  • インナーフォーカス
  • SPコーティング

Bad

  • ボケの癖が強い
  • 広角端の歪曲がけっこうある
  • 周辺に色収差が出やすい
  • 周辺の甘さ
  • サードパーティ製に比べると価格が高い
  • SDMが故障しやすい(2012年以降製造のものは対策済み、らしい)
  • 片ボケの報告が多い

コメント

防塵防滴の標準ズームが欲しくてキャッシュバックキャンペーンに背中を押されて手を出した一本。
トラブルが多くて世話を焼かせてくれるが、それでも使う価値のあるレンズ。


描写の傾向

色収差、広角端の歪曲、周辺部の甘さ、開放のボケの気むずかしさなど欠点は多いが、豊かな色調や質感、被写体が浮き上がってくるような立体感の描写には傑出したものがあり、多くのシーンで欠点をカバーして余りある実力を発揮してくれる。

開放では甘いとよく言われるがピントの合ったところは十分にシャープ。もちろん絞ればより解像力は増し、F5.6〜F8程度まで絞るとぐっと安定する。F11まで絞ると小絞りボケが出てくるが周辺はそれ以上に絞った方がしっかり写る。

開放で悩ましいのはシャープネスよりも輪郭の主張が激しい丸ボケで、これがしばしばメインの被写体より目立ちたがる。そのせいで安心して開放を使うことができない。そのクセが出なければおおむねやわらかくきれいにぼけてくれる。
こうしたボケの傾向的にもF5.6まで絞った方が安定した描写となる。

逆光耐性はまずまず。ゴーストは普通に出るがフレアが気になることはない。通常撮影ではほぼ問題ないレベルと思うが、夜景などでは強い光源によるゴーストが気になるかもしれない。

広角端での歪曲は樽型で直線的な被写体ではかなりゆがみが目立つが、自然の風景などを写す分にはそれほど気にならない。
だが周辺部の色収差は目立つ傾向でシーンによっては絞ってもなお目立つ。

中央に比べると周辺部は甘くなりがちで、遠景で隅々までの安定を求めるような描写には向いていない。しかし質感や立体感の表現力は遠景でも変わらず素晴らしく、隅っことかどうでもいいやと思えてしまう。いや、思えないときもあるけど。


使い勝手

防塵防滴の標準ズームとしては今のところオンリーワンの存在。
天候耐性と高い描写力を両立しているので、旅やアウトドアのさなかでもズームの便利さを享受しつつなるべく良い画質で写真を残したいといった欲張りなニーズを満たすことができる。

広角側16mm始まりは圧巻で、初めて標準域から広角端に動かした時には思わず「おおっ」と声が出てしまったほど。キットレンズの18mm始まりとは明らかに違う広さと遠近感を感じる。これは景色を広く写し取りたいときにはうれしいところ。
望遠端の50mmも中望遠として十分な長さ。以前は短すぎると若干不満があったが、フットワークも駆使すればだいたいこれ一本でも色々撮りきれるようになった。

AFはK-5との組み合わせでは十分に速くストレスを感じたことはそれほどない。精度も上々。ただしSDMモーターを修理交換するまでは精度がイマイチと感じることがしばしばあった。
画質に関するネガティブな意見の何割かは実はAF精度のせいなのでは?などと思っているのだがさて。ちなみに片ボケ調整に出してなぜか後ピンになって戻ってきた時の遠景画質といったら高倍率ズーム以下のひどいものだった。

最短撮影距離は30cmだがレンズ自体が長いためワーキングディスタンスが短く、思った以上に寄ることができるのは使いやすい点。望遠端では被写体をそれなり大きく写すことができるし、広角端での接写も楽しい。


携帯性

長さ9.85cm重さ565gと大口径標準ズームとしては普通だが、DA18-55や単焦点レンズと比べるとかなり大きくなる。写りの良さを求めて単焦点レンズを複数持ち歩くことと比べればトータルでは荷物としては同じか減るくらい、と屁理屈をこねることもできるが気軽に持ちだすには少々躊躇する大きさ。

フードを付けた状態だとマウント面からの長さが15cmくらい。ボディに装着してすぐ使える状態で収納しようとすると小型のカメラバッグでは厳しくなってくる。
旅用のレンズとしてはあともう少し短ければ文句なしだったのだが。


総評

癖のあるレンズだが、使い込むにつれ評価が高まった一本。

このレンズは人によって評価が分かれるレンズで、諸所のレンズレビューによる光学性能のレポートもイマイチふるわないことが多い。自分も使い始めた当初は世評に聞くとおりの不満点や欠点が気になっていてこのレンズに対する評価はそれほどではなかった。
しかし実際に使うと満足のいく写真が取れることが多いのだから問題なかろう、ということに最近はなっていて、特に質感や立体感の描写はなかなか他にはないものだと思っている。

と言うわけで非常に良いと思うのだけど、でも如何せん壊れすぎなんだよねー。ゆえに満足度は90点。


使いこなし

  • 絞りはF5.6〜F8の範囲で使う
  • 開放で使うときは小さな丸ボケに気をつける
  • 寄れることを活かす
  • 風景はライブビューもしくはミラーアップで

基本的には絞ってF5.6〜F8の範囲で使う。そうするとだいたい安定した描写になりグッド。
それより絞りを開けるのは明確な意図があるとき。
F2.8通しなのに気軽に開放絞りを使えないのはどうなの、という批判はごもっとも。

開放だと小さい丸ボケがうるさくなることが多いので、そうしたシチュエーションは避けるかダメ元で撮る。意図せずできたうるさい丸ボケが被写体よりも目立ってしまうことがあり、これだけは決定的に悩ましい。大きくぼけたときはきちんと好ましいボケになるので、開放でぼかすときは思いっきり大きくぼかすように心がける。

あとは寄れることを活かすと楽しい。思いの外寄れることに気がついてからこのレンズに対する評価がややプラスに転じた。

広角側が何故かミラーショックの影響を受けやすい(シャッター速度のせい?)ようなので、風景をより鮮明に写したい場合はライブビューかミラーアップで撮るのが良い。


フルサイズ機での利用

ズーム位置、フォーカス距離を問わずに全域でケラレる。
かなり大きく影がかかるのでファインダーを覗いた時点で利用が無理と分かるレベル。

大人しくAPS-Cクロップで使うべし。


本当に単焦点並?

高級ズームはよく単焦点並とは言われるけれど、そもそも単焦点自体もピンキリ。同じ焦点距離のハイエンドの単焦点と比べてしまうと解像力やボケ味などで不満が出てくるのではないかと思う。
例えばこのレンズのカバーレンジだとFA31やちょっと外れるがDA★55などの素晴らしい単焦点があるので、それらと比べると分が悪い。

とはいえ並の単焦点なら互角以上。画質と利便性のバランスを考えればこのレンズは素晴らしい。


片ボケの問題

ユーザーからの片ボケ報告が多いレンズでもある。
とは言えこのレンズに限らずズームレンズに多少の片ボケはつきものなので、あまり気にしすぎない方が良い。

調整に出すと余計ひどくなる場合もあるので、気になる頻度が少ないのならそのままにして置いた方が良い、ということを身をもって学んだ。(下記メンテ記録参照)

我慢できない場合は調整するより購入店で初期不良交換してもらうのが手っ取り早いだろう。
そういう意味でも中古より新品で買いたいレンズだ。


トキナー版

トキナーとの共同開発レンズなのでキャノン用とニコン用がトキナーから出ている(ただし防塵防滴、SDMのほかコーティングなども違うはずなので完全に同じ物ではない)が、そちらは実勢価格が5万円〜6万円台となっている。これくらいの価格であればまた評価の傾向も違ったものになっていたかもしれない。

と、いろいろと思索のネタになるので面白いレンズだなあと思う。


購入を悩んでいる人へ

納得いくまで悩むがいい。

HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WRとの比較

同じ16mmスタートで85mmまで望遠が伸びて使い勝手が良く、堅実な画質で癖もなく扱いやすい。
隅々までクッキリハッキリ写るので風景写真や旅の記録などにはこちらの方がいいかも。

一方で質感描写など細かい写りはDA★16-50の方が上かと。なんだかんださすがスターレンズといったところか。

サードパーティのF2.8通しという選択

防塵防滴が必要なければサードパーティのF2.8通しを検討するのも賢い選択。

タムロンのA16などはボケ味やコストパフォーマンスも含めてなかなか評価が高いようだ。
シグマの17-50は開放からキレがよいと言われるが、ボケはやや固い。

フルサイズ用の標準レンズという選択

例えばFA☆28-70などは生産終了になっているので中古で手に入れるしかないが素晴らしいレンズ。
現行品であればサードパーティからいくつか選べる。

28-70だと画角が標準〜中望遠になるので広角が物足りないが、意外と一本付けっぱなしでもいける。広角が必要なときは別途広角レンズでカバーする形で。

ただFA☆28-70には防塵防滴がないのと広角を使いたいときにはレンズ交換する必要があるので、頻繁なレンズ交換を避けたい旅やアウトドアの用途ではDA★16-50に一歩譲る。

単焦点でがんばるという選択

レンズ交換の手間をいとわない、または単焦点一本で勝負すると言うならそれもあり。
しかし防滴のついた近い焦点距離の単焦点はDA★55くらいしかないので、防滴を求めるなら単焦点でがんばれない。

それに旅などではズームはやはり便利なわけですよ。

防塵防滴の広角レンズが欲しい

防塵防滴の広角単焦点がないのでこれ一択。
それはそれで寂しいことだが。

ただ周辺の甘さがあるので風景を隅々までカッチリ写したいといった用途には向かない。
この辺りはやっぱり何とかして欲しいね。

要するにどっちなの?オススメなの?やめた方がいいの?

予算的に問題がなく使いこなしやトラブルを楽しむことができる人あれば正味の話オススメ。きちんと使えば表現力はしっかりしている。使いどころを間違えるとイマイチ君。
購入した後は評価を下す前に半年くらいは使ってみた方が良いと思う。

こういう人にはおすすめ
  • 標準レンズに防塵防滴がどうしても欲しい人
  • 明るいレンズでも絞って使うことが多い人
  • 一本でいろいろと済ませつつ、高い表現力も欲しい人
  • 旅や登山を良くする人
  • トラブルを楽しめる人
こういう人は買わない方が良い
  • 開放からシャープでキレのよいレンズが欲しい人 => シグマが良い
  • コストパフォーマンスを重視する人 => タムロンが良い
  • 四隅の描写にこだわる人
  • 諸収差が許せない人

自分が購入した動機

そもそも自分がこのレンズを購入するときに想定したシーンは実は富士登山。

富士山には何回か登っているが、頂上付近になってくると晴れていても凄まじい強風が吹き荒れていることが多く、砂利がショットガンの弾のような勢いで飛んでくるというなかなかタフなフィールドなのである。まさに防塵防滴が必要な場面ではないだろうか。
加えてそんな中でレンズ交換する度胸はないので、レンズ交換なしに、でもせっかく登った富士山なのでできるだけ良い画質で、と思うと今のところこれしか選択肢がなかったと言う。

とにかく悪天候だとレンズ交換したくなくなるので富士登山ほどの過酷な状況でなくてもこのズームの存在は助かる。実際に雪の草津温泉では「表現力の高い防塵防滴ズーム」というキャラクターがとても役に立った。


メンテ&使用記録

SDMモーター交換 2012/03

LVでコントラストAFが効かないので新宿のペンタックスフォーラムに持って行ったらめでたく工場送りに。約一週間で帰ってきた。料金は保証期間内ということで無料。
コントラストAFだけでなく位相差AFも遅くなっていたとのことで、確かに戻ってきてAFも速くなった。AFが遅いと感じている人は点検に出してみると幸せになれるかもしれない。

DA★16-50のSDM故障に関してはエンジニアのコメントもある通り、よくあることだったらしい。この修理で対策品になってるといいんだけどな。
そういう事情もありこのレンズに関しては中古は危険かもしれない。

位相差AFで遠景に対する無限遠がきちんと合わない 2012/04

遠景が微妙にもやっとしているなと思ったらそんなかんじだった。
コントラストAFだとしっかりと合う。三脚立ててテスト撮影してみても同様の結果。

しかし上京したついでに新宿のペンタックスフォーラムで見てもらったが異常なしと言うことだった。検査と実写のギャップにはまってしまったか。
というわけで遠景はこれからずっとコントラストAFで撮るということに。ハズレ固体掴んでしまったのかな。

気がついたこと 2012/06

上記のAFの件はミラーショックだったっぽい。
というわけで現在異常なしです。

気がついたこと 2012/11

以前気になっていたAF精度もいつの間にか何も問題なくなっている。
3月にSDMモーター交換してからかな。

片ボケ調整 2013/01

右上の片ボケを調整した。

妙に画質が荒れているなと思う時がたまにあったのだが、気がついて過去の写真を見返してみれば片ボケしていたと言う。
気になる頻度は少なかったが、右上にメインの被写体を持ってきたときや文字があるときなどは明らかに残念な感じだったので調整してもらった。

片ボケはSDMの故障と同様にこのレンズに良くある症状らしいので、一通り通過儀礼を果たしたと言ったところかな。
多分これで万全。

・・・ではなかった。右側は直ったけど今度は広角端の左側がひどいよ。気になる頻度がかなり多くなった。これじゃ前の方が良かったくらいだ。

再度片ボケ調整 2013/02

再び片ボケの調整に出したらすさまじい後ピンになって返ってきた。しかも片ボケは直っていなかった。
まいりましたねえ。

ハズレ玉と諦めて二本目を買うか検討中。

後ピン&片ボケ調整 2013/03

素晴らしく調整されてきた。
パーフェクトだ、ペンタックス!

AFの挙動が怪しい 2013/09

なんか使い始めにAFが反応しないことがある。
すぐ動くようになるが不吉な予感。

SDM逝く 2013/11

寒い朝、SDMが逝った。
悲しい。
MFはできる。

画質的にはかなり良く調整された個体になっているので放り投げる気はないけど、フルサイズの足音も聞こえてきている今どうしようかなって言う。

ん?その足音は幻聴じゃないかって?

SDM修理 2014/01

やっぱりこいつが必要だったので修理。

二度目のSDM故障だったせいか無償修理だった。ありがてえ。

SDM君・・・ 2014/11

またAFの動きが渋くなってきた(ノ∀`)

毎年のように修理が必要ってどういうことなの・・・

SDMモーター交換 2015/04

結局逝ったので修理。ずいぶん前に逝ってたけどしばらく放置してた。
DA★300のSDMが逝ったのを機会についでにまとめて修理に。

修理代金はファミリークラブのプレミアムメンバー割引適用で13,910円也(税込)

次SDMが壊れたらさすがにぶんなげる。

SDM死亡 2016/11

うん、「また」なんだ。済まない。

少し前まで快調そのものだったのにな・・・
もー、ほんとに仕方のねえやつだ。

さすがにもう直す予定はない。R.I.P DA★16-50。

SDMやや復活 2016/12

若干復活。
カメラの電源を入れてすぐは動かないが、しばらくすると動くようになる、という以前DA★60-250であったのと同じ状態。

いつ完全死亡するか分からないので遠出する時は不安で使えないが、近所の散歩程度なら使えるかなー。


関連用品

フィルター

77mm径となるとけっこう値段も張るが、風景撮影に用いる機会が多い人ならPLフィルターやNDフィルターは準備しておきたいところ。
DA14やDA12-24などの広角レンズからDA★200やDA★300などの超望遠レンズまで共用できるレンズが多いので使い回しも効く。

Amazon ケンコー Zeta EX サーキュラーPL

ステップダウンリング

77mm-67mmで67mm径のフィルター使えないかなと思ったけど残念ながら広角端でケラレ。
使えません。

現像ソフト

今時の現像ソフトは色収差除去とかすごい。具体的に言うとLightroom4以降の色収差除去がすごい。
DA★16-50は色収差が多めのレンズなのでそうした現像ソフトの存在はけっこうありがたい。

混み入ったパープルフリンジなどには歯が立たないこともあるが、チェックボックスをポチッとするだけでかなり効くのでおすすめ。単純なパターンなら大きく出ていてもスパッと消える。

Amazon Adobe Lightroom 6

最終更新: 2016-12-18


 
Spec  
35mm判換算 24.5mm〜76.5mm
構成枚数 12群15枚
最小絞り F22
最短撮影距離 0.3m
最大撮影倍率 0.21倍
フィルター径 77mm
最大径 x 長さ 84mm x 98.5mm
質量 565g
絞り羽根枚数 9枚
発売日 2007-08-11

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