smc PENTAX-FA 35mm F2 AL
優しい描写が特徴的な銘レンズ

- ミドルグレード
- フルサイズ用
- 広角レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- 絞り環
- 焦点距離35mm
- 最小絞りF2
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数6枚
- レンズ構成5群6枚
- 最短撮影距離0.3mm
- 最大撮影倍率0.17倍
- 最大径64mm
- 全長44.5mm
- 重量195g
- フィルター径49mm
隠れスターとの評価が気になって手に入れた一本。
優しく自然な描写が魅力的なレンズ。
- 優しい雰囲気を醸し出す開放の描写の柔らかさ
- 軽量コンパクト
- クイックシフトフォーカス非対応
- 野暮ったいデザイン
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
柔らかくありつつもクリアでスッキリとしたヌケの良さを持つ。素直で癖がなく、どことなく優しい印象の表現力。
近接の被写体はもちろん遠景までも細かく写る。色収差や逆光耐性などに関しても優等生で、気軽に扱いやすいレンズと言える。
開放は柔らかく絞ればシャープに、と言った絞りによる描写の変化を楽しめるレンズで、特に開放の柔らかさは現代的なレンズにはなかなか見られないもの。
芯を感じさせる柔らかさを持ち、開放からしっかりとした写りを見せる。
絞ればシャープにとは言うが、デジタル専用レンズに比べると柔らかさは残る傾向。これを良しとするか悪しとするかは被写体次第。
できるだけシャープに写したければF4.0くらいが最もクリアでキレがある。
風景など周辺まで均一に写したければF11まで絞った方が良いが、単焦点にしては四隅はやや甘い。フレーム全域を均一に写したい場合に選ぶレンズではないかなという印象。
ボケ味は柔らかく素晴らしい。これは一級品のボケ味と言える。
円形絞りではないので開放以外での丸ボケの角ばりは目立つものの、このボケを活かした写真がこのレンズの本領だろうか。
開放の周辺減光は通常ならばマイナス点だが、このレンズの場合は柔らかさとあいまっていい味を醸し出す。
使い勝手
35mmの程よい広角で普段使いの単焦点として扱いやすい画角。
広角でも明るさがF2もあれば背景ボケも狙いやすく、最短撮影距離も30cmとまずまず寄ることができるため、様々な表現に対応できる使い勝手の良さ。
AFはややのんびり目だが、正確で十分な速度を持っているので特に問題は無い。
ピントリングは適度なトルクがあり、MF時の感触はなかなか良い。
クイックシフトフォーカスに対応していないのは残念だが、そのあたりは古いレンズなので仕方がない。
携帯性
文句なしの軽量コンパクト。
付属のフードも逆さ付けできてかさばらない。
総評
発売からかなり時間が経っているが、現役で通用する描写力を持っている。
隠れスターの異名は伊達ではなかった。
生き物や花、人物ポートレートなどに面白いレンズ。
レンズ評価においては開放からのシャープさや解像力の高さなどが強く求められる昨今、FA35のようなレンズはもうなかなか出てこないかもしれない。
一方でシャープな写りを求める場合はほかのレンズを使った方が良い。
DFA28-105のような中堅の標準ズームレンズでもシャープさではこのレンズより上。
満足度は95点。
外見はまあいいや。気にしない。
購入に関するアドバイス
入手性について
HD版の発売からまもなく販売終了となり、現在の入手手段は中古のみ。
まだ継続的に流通している。
類似または関連するレンズとの比較
HD PENTAX-FA 35mm F2とどちらにすべきか
柔らかさを重視するならsmc版の方がいい。より個性的な描写が得られる。
HD化によって開放からのシャープさや周辺画質に関しては向上が見られるため、それらの恩恵が欲しいならHD版で。
smc PENTAX-DA 35mm F2.4 ALとどちらにすべきか
APS-Cで使う場合の比較対象。
DA35のベースはFA35であると言われ確かに描写も似ているところがある。
どちらのレンズもいい写りをするが違いはあって、DA35は開放からシャープで開放以外でも同じ絞りではDA35の方がシャープに写る。
よってシャープな方が良ければDA35の方が良い。
一方で柔らかさや絞りによる描写の変化を楽しみたいならFA35の方が良い。
AF速度はDA35の方が若干速いが、K-5のようなボディモーターの強力な機種ではFA35も十分に速く実用上何も問題はない。
コストパフォーマンスに関してはDA35が凄まじすぎるのでFA35は太刀打ちできないが、FA35だけで言えばこちらも十分にコストパフォーマンスの高いレンズと言える。
smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limitedとどちらにすべきか
FA31が開放からシャープでメリハリのある印象的な描写をするのに対して、FA35は柔らかく優しい表現力を持っている。
もう一つ言い換えると被写体に浮き上がるような存在感を与えるFA31に対して、自然で誇張のない表現をするFA35といったかんじ。
FA31の方が色々なものが迫力を持って写るが、ただFA31にはFA35ほどの柔らかさは出せないので、被写体が家族や動物、花といったものならFA35の方がハマるかもしれない。
そんな風に性格の違いが明らかなので両方持っていても使い分けはしやすい。
このレンズに関するメモ
APS-Cでの利用
APS-Cでは換算約53.5mmの標準レンズとして使うことができる。フルサイズで使った場合とは違った画角になるが、これはこれでやはり扱いやすい。
フルサイズで使うと大きい周辺減光もAPS-Cで使った場合はそれほど出ず、絞れば周辺部の描写も安定する。
関連用品について
フィルター
多くのリミテッドレンズと共通の49mm径。
使うなら開放の柔らかさを活かしたいレンズなのでNDフィルターとかあるといいかも。
メンテ&仕様記録
買い直し 2014/11
2014年の春頃にだいぶ使用感のある個体を入手して使っていたのだが、「隠れスターって言われててもこんなもん?」という印象が拭えず。
開放の柔らかさを活かせばいい写真も撮れるのだが、おおむねはグッとこないかんじ。
そこで新品がいつの間にか安くなってきていたこともあり買い直してみたところ、「隠れスター」に得心がいった。
レンズはやっぱり消耗品なのだね。
自分で使い込んで行くうちにくたびれたレンズはメンテに出さないと。
参考リンク
smc PENTAX-FA 35mm F2 ALで撮った写真







