K-3
従来機から大幅進化のAPS-Cフラッグシップ
- ハイグレード
- APS-C
- ダブルダイヤル
- 3.5段手ブレ補正
- 内臓フラッシュ
- ローパスセレクター
- デュアルスロット
- -10度耐寒
- 防塵防滴
- センサーCMOS
- センサーサイズAPS-C
- 有効画素数2435万画素
- ISO感度100-51200
- 連射速度8.3枚/秒
- 高さ100mm
- 最大径131.5mm
- 奥行き77.5mm
- 重量800g
フラッグシップ級のスペックを持って登場した本気のカメラ。
使い勝手につながる性能が大幅強化されており、堅実な積み重ねの結実を感じる。
- 描写力や操作性、優れた光学ファインダー、SDカードデュアルスロットなどカメラとしての基本性能の高さ
- 3.5段分のボディ内手ブレ補正
- -3EV対応の強力な暗所AF、向上したAF基本性能
- 防塵防滴、-10度までの耐寒性能
- フラッグシップ機としてはコンパクトなサイズ
- 高感度の描写がやや硬い
- ミラーパタパタ問題など動作が若干不安定
実際に使用してのレビュー
画質
2400万画素ローパスレスということで解像感の高い文句なしの画質。
質感の描写やダイナミックレンジなども素晴らしく、描写力の面でもフラッグシップと言えましょう。
ローパスレスのモアレ対策として手ブレ補正機構を利用したローパスセレクターが用意されている点も心憎い。
相変わらずJPEGのクオリティが高く、スナップなど追い込む気がない写真ならRAWで撮らない方がいいのではないかと思い始めてしまうほど。とは言え撮影時に適切なカスタムイメージとホワイトバランスの選択をする自信がないので踏み切れないでいるが。
オートホワイトバランスも精度が上がっているが、正しいホワイトバランスがイメージ通りのホワイトバランスとも限らないので。
高感度は状況にもよるがだいたいISO1600まで割と安心して常用できる。ISO3200は被写体や背景によるかな。等倍で見るとそれなりにノイズは乗っているが、画素数が増えたこともあり、鑑賞サイズではISO3200でも先鋭な画像が得られることがあり驚く。
ただISO3200を上限にして使っていると、K-5IIsに比べ少しノイズがうるさいと感じるケースがしばしばあるのは確か。等倍ではなく鑑賞サイズでも目に付く。ディテールの維持や色転びに関しては悪くないが、ノイズに関してはK-5IIsより後退したのではないかと思う。
とは言え暗部ノイズが目立たないシーンならISO6400もあり。
ISO12800からは鑑賞サイズでも目に見えてノイズが乗ってくるので非常用としてはありだが、常用としては完全にアウト。ISO25600、ISO51200はもはやデジタルフィルターのレベル。
ちなみにペンタはノイズを残して解像感を優先する絵作りなんだそうだ。
確かに高感度でものっぺりとすることは少ない。一方でノイズのせいか描写が硬くなる傾向があるのは否めない。
なお画像エンジンが強化されPRIME IIIになったことにより高感度撮影時の待ち時間がなくなっている。
従来機ではISO6400あたりから少し待ち時間を感じ始め、ISO51200では数秒間待たされたものだった。
使い勝手
従来機に比べるとAEが進化して正確性が増したのがまず快適となったポイント。森マイナス空プラスのような補正はさすがに必要だが、多くのケースで露出が安定したように思う。
また視野率100%はそのままに倍率の上がったファインダーは従来機に比べて更に見やすくなった。更にと言うか格段に。面白いことにファインダー越しにレンズの収差が確認できたりする。こういうのは個人的には従来機のファインダーではなかった体験。
MFをしていると以前は難儀していた日陰や黄昏時でもピントの山がよく見える。MFを多用する人はこのファインダーだけでもかなりの価値があるだろう。
手ブレ補正はK-5II/IIsから強化されて0.5段分強化されて公称3.5段分の効きとなり、DA★300で1/25sでもシャープな写真が撮れてしまいます。
すべてのレンズで手ぶれ補正が有効になるというのはやはり便利だ。
GRやD800など手ぶれ補正のないカメラも同時に使っているので、ありがたみがいっそうよく分かる。
AF性能はAFシステムの刷新と測距点の増加により大幅に強化された。
動体ではなく静物を撮影していても被写体への食いつきが明らかに良くなったのを感じる。従来機だと諦めてしまったり迷ったりする状況でも被写体をちゃんと掴む。
AF.Cで動体を追うにもK-5IIsよりかなり良くなっている。が、さすがにCNとの差はまだ大きいようだ。
またライブビューのコントラストAFが高速になった。が、被写体への食いつきは位相差AFほどではない。
暗所AFも相変わらずの凄さ。ただしコントラストAFではそれほど暗所に強くない。
ほかAF関連ではボディ内モーターが強力になり、多くのレンズで明らかに動きがピントリングの動きが速くなっている。聞いたところによると従来より50%高速化したそうだ。SDMやDCモーター内蔵のレンズには影響がないが、旧来のレンズの中にはAF速度が爆速の域に達した物も。
操作性という面ではダブル電子ダイヤル、豊富なハードウェアスイッチが便利。上級機に求められる素早い操作を可能にしてくれる。電子水準器も手放せない機能。
SDカードのデュアルスロットは運用の柔軟性や信頼性といった点でプラス。
シャッター音は相変わらず静かだが、金属音的なものが混じりK-5/K-5IIsより小気味よくなっている。人によっては従来機の方がいいと思うかもしれないが、個人的にはすごく気に入っている。
そして旅やアウトドアでの急な悪天候にも安心の防塵防滴。
フィールドカメラという位置づけに対応するべくレンズも簡易防滴以上が基本となりつつあり、システム全体としても防塵防滴の恩恵を受けやすい環境が整ってきた。
バッテリー
従来機と共通だが撮影可能枚数は少なくなっている。
K-5IIsと同じ調子で使っているとバッテリー切れの危険があるので注意。とは言え十分な持ちとは思う。
日常の日々の中では数日間充電しないで使っても平気だが、一泊以上の旅に出る場合などは念のため予備バッテリーが欲しくなる。
三脚を使った風景撮影などでライブビューを多用するつもりならば特に。
携帯性
若干大きく重くなったが、まだコンパクトさを保っており、K-5IIsなど従来機に比べて格別携帯性が悪化したという実感はない。
フラッグシップ機のスペックが詰め込まれていることを考えると素晴らしい携帯性だ。
総評
画質に関してはK-5からK-5IIsへ乗り換えたときのような衝撃はなく、高感度性能などを見るに必ずしも進化したとは言えない。
しかし低感度では階調や立体感が良く出て、好き嫌いで言うとほどなくK-3の画質の方が好きになってしまった。
使い勝手の部分にはかなりの進化を感じる。
ひとまずAEとAFは今のところ期待を裏切らない強化と感じている。
ファインダーは0.3倍アップで何が変わるのかと思いきや全然違う物になっていた。MFレンズを使うときにはもうK-5IIsに戻れない。
ただ一年以上使い込んで思うことには動作安定性が今ひとつなのが惜しい。そのせいで放り投げるほど酷くはないが信頼性もフラッグシップであってほしかったなと。
それでも一応満足度は100点。
このカメラに関するメモ
K-5II/IIsとの相違点
中級機からフラッグシップ機へ。
画質の比較で言うと、同じローパスレスながらもK-3の方がより柔らかで上品な描写だ。
逆に言うと画素数が劣っているにもかかわらずK-5IIsの方がよりシャープ。また同じ色温度にすると赤みが強く、鮮やかで暖かみのあるメリハリのある描写となる。
こうした描写の傾向からとにかくシャープに撮りたい場合などはK-5IIsの方が良いように感じる。
ただK-5IIsの場合は柔らかくしたい場合にどうしたらいいのだろう、と現像時に悩むこともけっこうあるので、K-3はローパスレスでかつバランスの取れた画質になったと言えるのかもしれない。
強化点
画素数アップ
連写速度が7コマ/秒から8.3コマ/秒にアップ
ローパスフィルターレス&ローパスセレクター
手ぶれ補正の効きが0.5段分向上
ファインダー倍率が0.92倍から0.95倍にアップして見やすく
SDカードデュアルスロット UHS-I対応
AFシステムの刷新、測距点が11点(9点クロス)から27点(25点クロス)に増加
AE精度の向上(8.6万画素RGP測光センサー)
画像処理エンジンがPRIME IIIとなり高速化
HDRをRAW保存可能(ただし対応する現像ソフトがないのでボディ内現像するしかない)
多重露出の機能アップ
動画機能アップ
USB3.0に対応
4K対応インターバル動画
背面液晶が3.0型から3.2型となり画素数も92.1万ドットから103.7万ドットに
シャッター音が小気味よくなった
劣化点
高感度ノイズが増えた
サイズがアップ 約131×97×72.5mmから約131.5x100x77.5mmに
重量がアップ 760gから800gに
ユーザーモード登録件数が5件から3件に
シャッター音が少し甲高くなり静粛性は若干落ちた(それでもまだ静かだけど)
バッテリーの持ちが若干落ちた
動作がやや不安定
どちらでもない点
ボタン配置の変更
ローパスセレクター
ローパスレスは目の覚めるような解像力と引き替えにモアレや偽色が出やすいことが欠点だが、K-3ではローパスセレクターを有効にすることで、ローパスフィルターと同様の効果を得られるようになっている。
手ブレ補正によるセンサーシフトを利用してわずかにブレを付加することでローパスフィルターと同様の効果を生み出すもので、僕が一番手ブレ補正をうまく使えるんだ!と言わんばかりのアイデア機能。
自分の場合はほとんどのケースでローパスセレクターの必要性は感じないが、たまに人物を撮るときなどは特に衣服に出るモアレが気になることがあるのでオンにすることも。状況によってローパスのオンオフを選択できるというのはそこそこ便利だ。
SDカードデュアルスロット
- 両方に同じ画像を記録してバックアップ用途に
- 片方にJPEG、片方にRAWを記録して基本JPEG、念のためRAWといった運用に(その逆の運用にも)
- サブとしてWifi機能付きのSDカードを入れてスマホへの転送やウェブへのアップロード用途に
といった色々な使い方ができる。
個人的には主にバックアップ用途で使っている。
FLUCARD
FLUCARDを使ったスマホ連携は興味深いが、まだ面白機能の域を出ていない気がする。
もっとブラッシュアップが必要だろう。
加えてカメラ自体の起動時間が若干遅くなるので現在はほぼ使っていない。
アプリじゃなくてブラウザ経由で操作画面にアクセスというのがちょっと泥臭い。
UIの見栄えもスマホ黎明期を彷彿とさせてちょっと懐かしいかんじ。
iPhoneに表示されるライブビューのレスポンスはかなり良くて驚く。
時々不安定ではあるがキビキビとした表示。しかしAF後の表示の更新は若干遅い。
ただ個人的にはiPadで拡大ライブビューを目論んでいたのだが、スマホに最適化された解像度で表示されるので、iPadだと画像が粗く見えてダメだった。
タブレットで見て遜色がないほど解像度の高い画像をリアルタイムで転送するのはやはり難しいのだろうか。
撮影後の画像をチェックするのは撮影したとおりの解像度で可能。
大きな画面でチェックできるのはいい。
もっとも画像の閲覧に関しては全体的に機能不足。スワイプで前後の画像に移動、ピンチイン/ピンチアウトで拡大縮小、一度見た画像はローカルストレージにキャッシュされて素早く表示できるようにするなどの機能は欲しい。
そういう不足があるので、閲覧はFLUCARDじゃなくて単なるEye-fi転送でやって、iPad標準の写真アプリでチェックした方がいいんじゃねって気がする。
更なるブラッシュアップを期待したい。
動作不具合
まずはミラーパタパタ問題。
連写時のようにミラーがパタパタ動いてバッテリーを抜かないと収まらない。
3度くらい遭遇。精神衛生上よろしくない。
次にライブビューでミラーが開ききらず画面半分が暗転したままという事案。
これもミラー制御の問題と思われる。バッテリー着脱で対処。
それから意図せずハイキーになったり、アンダー過ぎて真っ黒な写真が撮れたり。
Exifを見るにAEがおかしくなったせいではなく、設定したシャッタースピード通りにシャッターが切れてないのが原因のようだ。Exif上は同じ露出の二枚で明らかに片方おかしい。
北海道ツーリングで毎日のように遭遇したが、それ以外ではまれにしか起きていない。
最後はフリーズ。
これは1回のみだがシャッターチャンスを逃してイラッと来た。逃した魚は大きい。世紀の傑作が!
メンテ&使用記録
新品交換 2014/04
ミラーパタパタ問題で工場送りとなり新品交換になって戻ってきた。
しかしその後もミラーパタパタ問題には遭遇するのであった。
ファームアップ 1.10 2014/07
ミラーパタパタ問題が直っているかどうか。
直っていないとの情報もあるが・・・
頻度は低いが、発生した後にカメラが壊れていないか心配になる挙動なのでなんとかしてほしい。
プレステージエディション 2014/08
公式発表。カッコイイ。
バッテリーグリップや予備バッテリー付きでパッケージとしてもお買い得だったので、まだK-3持ってなかったらポチってた公算大。
関連用品
バッテリーグリップ D-BG5
グリップを向上させるかなりオススメのアクセサリー。
縦位置撮影の際にも安定した姿勢で構えることができ、手ぶれ防止にも効果有り。(効果には個人差があります)
重さはバッテリーを入れた状態で約330g。
FLUCARD FOR PENTAX 16GB O-FC1
iPhoneやAndroidなどのスマホからWifi経由でK-3本体を制御できる機能の付いたSDカード。
現状はまだ荒削りだが今後に期待のアクセサリー。
バッテリー D-LI90P
あれば安心予備バッテリー。
バッテリーグリップに入れれば驚異の電池寿命となるはず。
ストロボ
リニューアルされて防塵防滴になったAF540FGZ IIおよびAF360FGZ IIが用意されている。
首振りバウンスなどができて便利。ハイスピードシンクロで撮影の幅を広げることも可能。
ポケットサイズのAF201FGも防塵防滴。大型のストロボほど高機能ではないが、内蔵ストロボより光量アップで天井バウンスが可能。
AF540FGZ II
AF360FGZ II
AF201FG
防水リモコン O-RC1
三脚立てての風景撮影などに。
洗濯しても平気。
赤外線式なのでしっかり受光部に向けないと反応しない点が若干だが不便。
電波式のリモコンが待ち望まれる。
ケーブルスイッチ CS-205
花火撮影などに。
リモコンの方が気軽に使えるが角度などによって反応しないことがあるので、シャッターチャンス確実に捉えたい場合にはケーブルの方が確実。
イメージセンサークリーニングキット O-ICK1
野外でレンズ交換しているとどうしてもセンサーにゴミが付着するが、これがあればメーカーに持ち込まなくてもセンサー清掃できるようになる。
青空などにゴミが映り込むようになったらこれで清掃すればOK。効果覿面。
通称ぺったん棒。
他のメーカーのカメラにも使える(自己責任)
O-GPS1
アストロトレーサーで星を点のまま撮影できる。(通常の長時間露光では星の動きにつれて曲線として写る)
本格的な赤道儀に比べると限界はあるが、気軽に星景撮影にチャレンジしてみるにはおすすめ。
また単なるGPSとしても使える。自分の場合はむしろこちらの使い方がメイン。簡易防滴構造なのでK-3といっしょなら雨でも安心して使える点が良い。
しかしそろそろボディにGPS内蔵にして欲しいところかな。
・・・って言ってたらK-3IIキタ!