K-S2
ペンタックス初のバリアングル液晶搭載機
- ミドルグレード
- APS-C
- ダブルダイヤル
- 3.5段手ブレ補正
- 内臓フラッシュ
- バリアングル液晶
- 防塵防滴
- センサーCMOS
- センサーサイズAPS-C
- 有効画素数2012万画素
- ISO感度100-51200
- 連射速度5.5枚/秒
- 高さ91mm
- 最大径122.5mm
- 奥行き72.5mm
- 重量678g
イノベーションラインのK-S1の上位に位置するハイエントリー機。
バリアングル液晶、Wi-Fiに加えて上級機並の機能性を備えるなど、他社エントリー機に比べて出し惜しみのない気前の良さ。
- 描写力や操作性、優れた光学ファインダーなどカメラとしての基本性能の高さ
- 3.5段分のボディ内手ブレ補正
- -3EV対応の強力な暗所AF
- バリアングル液晶
- 軽量コンパクト
- Wi-Fiのための専用アプリImageSyncがイマイチ
実際に使用してのレビュー
画質
センサーは2000万画素ローパスレス。
K-3やK-3IIと交互に使っていても何ら不満のない画質。
一応それら上位機の14bitRAWに対してK-S2はエントリー機の12bitRAWなので、RAW現像で大胆な補正を加えたりすると差が出てくるはずだが、おそらくほとんどの人にとっては気になるほどの差ではない。
従来機と同様、JPEGのクオリティも高く、絵作りの傾向をコントロールできるカスタムイメージの種類も充実している。使いこなせばRAWで撮らずとも多様なイメージの写真を撮ることができるはず。きっと。
高感度はISO1600までは間違いなく常用の範囲内で、ISO3200でも割と安心して使える。ISO6400になるとさすがにノイズが目立ってきて非常用というかんじになる。
ローパスレスなのでシーンによってはモアレが出やすいが、気になるほどに激しく出るケースはない。
どうしてもモアレを出したくない場合はローパスセレクターで回避することも可能なので、モアレに関してはネガティブな要素はないと言ってもいいのではなかろうか。
ホワイトバランスに関してはAWBが概ね安定。そしてCTEラブ。
新機能の明瞭強調は質感描写やメリハリを強めるためのもので、単なるシャープネス処理とはまた違ったものになる。
ボケ味などにはデメリットがあるので常に使う機能ではないが、風景撮影などに特に有効とのこと。
使い勝手
何と言ってもペンタックス初のバリアングル液晶が素敵。マクロ撮影やローアングル撮影、ハイアングル撮影において素晴らしく威力を発揮する。
固定液晶のカメラでは難しい撮影にも快適に対応できるのが非常にうれしい。
またバリアングル液晶を使った手持ち撮影はホールドが十分に出来ないためブレやすくなるが、ボディ内手ブレ補正がそれをカバーしてくれる。このコンビネーションはうつくしい。
視野率100%光学ファインダー、電子水準器や、ダブル電子ダイヤルのほか、ペンタックス独自のグリーンボタンなどの操作感は上級機と変わらない。加えて防塵防滴。この出し惜しみのなさは相変わらず。
シャッター速度は1/6000秒まで可能で、1/4000が一般的なエントリー機としては高速な部類。日中に大口径レンズを開放で使う際などいくらか有利。
シャッター音はバシャッと言う大きめのもので、静かなK上級機のものとはまったく性格の違ったものだが、これはこれで好きだったりする。
個人的にはエントリー機と上位機でボタン配置が違うのと、撮影モードダイヤルがロックできないため意図せず回ってしまうのだけが若干の煩わしポイントだが、逆に言うとそれ以外はほぼ不満なく。
JPEG主体の人にとってはカスタムイメージに専用ボタンが割り当てられていないのが惜しいかもだ。
内蔵Wi-Fiに関しては試みとしては面白いが、アプリの出来が今ひとつのため実用的ではないという印象を受ける。しかし自分はWi-Fiに大きく期待するものがないので特にガッカリすることもなかった。
バッテリー
バッテリーはエントリー機用で小型のD-LI109だが、日々の散歩スナップに使う程度ならば数日から一週間は持つ。
一日中カメラを持ち歩く旅行でも日帰り旅行程度なら不安は感じない。
一泊旅行でもライブビューを多用したりしなければ問題はないような気がするが、その場合は念のため充電器を持参するか予備バッテリーが欲しいところ。
携帯性
サイズはコンパクトでバリアングル液晶搭載の一眼レフとしては他社競合機と比較しても最小クラス。
キットレンズのDA18-50REやリミテッドレンズとの組み合わせで比類なきコンパクトさが備わる。
重量は600g台で、400g台のニコンや500g台のキヤノンの同クラス機よりも重いが、一眼レフとしては十分に良好なもので特にマイナスとは感じられない。
手にするとズッシリとした凝集感があり心地よい。
総評
バリアングル液晶ばんざーい。
そして他社のエントリー機に比べると出し惜しみのない、上級機に迫るスペック。
バリアングル液晶とかWi-Fi内蔵とかそういう飛び道具を抜きにしても素晴らしいカメラなので、正直一眼レフ初心者にもオススメ。
満足度は110点。
これはメインのカメラとして使うのもやぶさかでない。
このカメラに関するメモ
バリアングル液晶
ねんがんの バリアングルえきしょうを てにいれたぞ!
カメラを高くかざしてのハイアングル撮影。
今まではノーファインダーで数打ちゃ当たる(当たらないときもある)だったものが、ライブビューの画面を見ながらしっかり構図を決めて撮れるようになった。
地面すれすれからのローアングル撮影。
これまではやっぱりノーファインダーか、または寝っ転がって撮っていたものが、しゃがむだけよくなりで楽ちんになった。
マクロ撮影でも楽な姿勢で様々なアングルに挑めるようになり、本当にバリアングル様々といったところだ。
そしてチルトと違って縦位置でも使えるのが便利。
またバリアングル液晶にもかかわらず防塵防滴を実現しているというのはなかなか大したものだと思う。
ちなみにカメラのレンズを自分に向けた時に、バリアングル液晶も自分の方に向けて自撮りをアシストできると言う、ある意味ペンタックスらしい機能もついている。
個人的には使わないけどアイデアとしては面白いし操作もうまくまとまっていて、これも自撮りする人には価値ある機能となっているのではなかろうか。
Wi-FiとImageSync
Android/iOS用のアプリとしてリコーイメージングが提供するImageSync。
これを使うことで、カメラのSDカードに入った写真をデバイス(スマホ)に転送したり、リモート撮影を行うことが可能となっている。
カメラ本体とデバイスの接続は、NFC対応のAndroid機ならボディとデバイスのNFCをタッチすることで接続できる。NFC便利。
それ以外の場合はデバイスのWi-Fi設定でK-S2の無線LANに接続し、それからアプリを起動しなければならない。
iPhoneやiPadはNFCを接続に使うことができないので、それ以外の場合に入る。不便。
もっとも無事に接続できたところでImageSyncはアプリとして使いやすいとは言えず、今現在はお試し以上の使い方をする気にはなれないクオリティだ。
本体側はWi-Fiのオンオフボタンが用意されていると言う気合いの入れようにもかかわらず、アプリの出来がイマイチという残念。
せっかくのWi-FiだがK-S2で撮った写真をスマホに転送したければ今のところはEye-Fiカードなどを使った方がストレスがないだろう。
とは言えリモート撮影の「本体に触らずに絞りやシャッタースピードを変えられる」という点は三脚ブレ防止には効果が高い(カメラを触ったときに生じるブレが収束するまで待たなくて良い)ので、操作が快適にできればかなり便利になるはず。
今後に期待だ。
明瞭強調
単純なシャープネス処理とは違う質感描写や解像感を強調するのため機能で、風景や建造物の撮影に威力を発揮するらしい。
JPEGだけでなくRAWにも有効。
ボケを重視するケースではむしろマイナスなのでOFFに。
また画像処理に若干の時間がかかるので、テンポ重視のスナップなどにも向いてない。
K-3IIのリアルレゾリューションシステムのように三脚を立てて行う必要はないが、使いどころとしては同じようなシチュエーションになるのだろうか。
機会を見て使い込んでみたい。
Advanced HDR
明瞭強調の技術を活かしたアドバンスドなHDR。
従来のHDRよりもさらにドラマチックな表現が可能に、とのこと。
撮影モードダイヤルで選べるモードのひとつとして扱われているほどなので、押しの機能ということなのだろう。
しかし個人的にはそもそもHDR自体使う機会がほぼなかったりする。
RAW撮りメインだと現像段階で強めに暗部を持ち上げてハイライトを落とす、といった擬似的なHDR処理が可能なため、カメラの機能としてのHDRはあまり必要性を感じていないという事情があり。(ちなみにK-S2はHDR撮影でRAW保存はできない)
HDR自体が写真の一つのジャンルというかんじなので、HDRラブな人にとっては感動の機能かもしれない。
スターストリーム動画
と言う面白い機能がある。タイムラプス動画の一種。
まだ使ったことないけどこれは機会を見て使ってみたい。
ぐぐると使ってみた例などがいくつもヒットするので、百聞は一見にしかずということで実際の映像を見てみるとよいかと。
パワーズーム非対応
ほとんどのユーザーにとってどうでも良いことですか。そうですね。
知らない人が多すぎてオチとしても弱いですか。すみません。
関連用品
バッテリー D-LI90P
旅に出る時などは念のため予備バッテリーが欲しいところ。
ストロボ
リニューアルされて防塵防滴になったAF540FGZ IIおよびAF360FGZ II、AF201FGが用意されている。
本格的にストロボを使うなら光量が大きく首振りバウンスなどもできるAF540FGZ IIおよびAF360FGZ IIが便利。
ポケットサイズのAF201FGを携行するのもおすすめ。ハイスピードシンクロやスレーブ発光など本格的な機能は使えないが、カメラ内蔵フラッシュの代替として考えれば光量は多く天井バウンスも可能であるなど十分以上。
AF540FGZ II
AF360FGZ II
AF201FG
防水リモコン O-RC1
三脚立てての風景撮影などに。
洗濯しても平気なくらいの防水性能。
赤外線式なのでしっかり受光部に向けないと反応しない点が若干だが不便。
電波式のリモコンが待ち望まれる。
ケーブルスイッチ CS-205
花火撮影などに。
リモコンの方が気軽に使えるが角度などによって反応しないことがあるので、シャッターチャンス確実に捉えたい場合にはケーブルの方が確実。
イメージセンサークリーニングキット O-ICK1
野外でレンズ交換しているとどうしてもセンサーにゴミが付着するが、これがあればメーカーに持ち込まなくてもセンサー清掃できるようになる。
青空などにゴミが映り込むようになったらこれで清掃すればOK。効果覿面。
通称ぺったん棒。
他のメーカーのカメラにも使える(自己責任)