COSINA Carl Zeiss Distagon T*3.5/18 ZK
緻密な描写の超広角レンズ
- フルサイズ用
- ミドルグレード
- 広角レンズ
- 単焦点レンズ
- MF
- 円形絞り
- 絞り環
- 焦点距離18mm
- 最小絞りF3.5
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成11群13枚
- 最短撮影距離0.3mm
- 最大撮影倍率0.08倍
- 最大径87.6mm
- 全長58.3mm
- 重量460g
- フィルター径82mm
カメラ屋で中古を見かけて発作的に保護してしまった一本。
緻密で深みを感じる描写が印象的なレンズ。
- 解像感が高く精緻な描写で立体感もよく出る
- 超広角にしてはコンパクト
- ピントリングの心地よいトルク
- 複雑な歪曲の形、大きめの周辺減光
- 単焦点にしては周辺から四隅の解像力が今ひとつ
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
解像感や立体感を非常に強く感じる写りで、広角ではなく中望遠レンズを使っているかのような錯覚を感じることがある。その傾向は遠景でも健在でちょっとびっくりするような写りをする。発色や階調の豊かさも見事。
コシナの商品説明には「心を捉える瞬間をドラマチックな視覚で撮影するのに理想的な超広角レンズ」とあるが確かにドラマチックな写り。
しかし解像性能は今ひとつで、F11まで絞っても周辺部の解像に乱れがあり、四隅の流れがやや気になる。
この点はフルサイズ用の単焦点としてはやや期待はずれ。
ボケはおおむね素直な傾向。開放付近ではまれに硬くうるさく感じることもあるが絞れば問題はない。最短撮影距離からして接写でボケを期待するレンズではないので、ボケに関してはこれくらいでも不満を感じることはない。
色収差は皆無ではないがわずかなもので自分としては許容範囲。
周辺減光は大きめで、特に開放ではかなり気になる。かつ絞ってもなかなか解消しない。
歪曲は樽型で大きくはないが、やや波打っていて、周辺部に直線的なものが来ると不自然に見える。
逆光ではフレアはよく抑えられているものの、ゴーストがやや出やすく、出るとかなり目立つ。
使い勝手
フルサイズでは本来の超広角として使うことができ、超広角ならではのパースや広がりを楽しめる。
18mmのレンズとしては比較的コンパクトでハンドリングが軽快な点も良い。
近接の被写体を印象的に写すのにはかなり向いている。広角のパースをいかせればなおグッド。
風景撮影にも良い。性能的に四隅までかっちり写したいようなケースには不適だが、超広角のダイナミックな画角と高い解像感から、印象的な描写を期待できる。
フォーカスリングの感触は他のツァイスレンズ同様申し分ない。
無限遠のピントがピントリングの端できっちり合うので、そうした点は風景撮影に使いやすい。
携帯性
全長が短く重さもそれほどではないが、レンズの先端がキノコの傘のように広がっているため、ややかさばるように感じる。
持ちだすのに気合いがいるほどでもないが、とは言えいつでも気軽にバッグに忍ばせてといったほどでもない。
だがフルサイズ用の18mmの超広角がこのサイズと言うのは決して悪くはない携帯性だ。
総評
印象的な描写が魅力的な広角レンズ。
フルサイズでは18mm本来の超広角の画角で本領発揮・・・かと思いきや、周辺部の描写にやや粗が見えるレンズとなってしまった。ただそれでもやはり表現力は素晴らしい。
満足度は100点。
購入に関するアドバイス
入手性について
すでにディスコンになっているので入手できるのは中古のみとなる。
極めて玉数が少なく他のDistagonと比べてもかなりレア。見かけたらひとまず何も考えずに確保したいレベル。
このレンズに関するメモ
APS-Cでの利用
フルサイズでやや粗の見えた解像力もAPS-CではF5.6〜F8あたりで周辺まで含めて安定する。
周辺減光もさほど激しくはなく、一段絞ればほぼ解消する程度。
APS-Cでは換算28mm程度の画角となり気軽な広角スナップに好適。
風景に対しても問題のない解像性能を持ち、寄ってもボケが素直なため、安心して何でも写せる。
関連用品
フィルター
82mm径と巨大。一応Distagonの21mmと共用可能。
ステップダウンリング
ステップダウンリングで58mm径まで落としてもAPS-Cではケラレない。
49mm径はさすがにケラレる。