COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/100 ZK
凄まじい性能を持った中望遠ハーフマクロ
- フルサイズ用
- ハイグレード
- 中望遠レンズ
- 単焦点レンズ
- MF
- 焦点距離100mm
- 最小絞りF2
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成8群9枚
- 最短撮影距離0.44mm
- 最大撮影倍率0.5倍
- 最大径76mm
- 全長89mm
- 重量660g
- フィルター径67mm
Macro Planar T*2/50に触発されて求めた一本。
いろんな意味でオーバースペックを感じる凄まじいレンズ。
- 凄まじい描写力
- マクロ域から遠景まで対応できる汎用性
- 少々重くて大きい
- トルクがあって回転角が大きいピントリングを回すのはやや大変
- AFがないため咄嗟のシャッターチャンスには弱い
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
立体感も色乗りも解像力も申し分なくボケも美しい。階調の豊かさにも素晴らしい物がある。開放付近ではわずかなパープルフリンジが見られることもあるが絞れば解消する。すべてが非常にハイレベルで安定していて50mmのMakro Planarと同じく撮り手の腕が上がったように錯覚させる類の反則的レンズ。
開放から安定してシャープだが被写界深度が浅いため、開放で解像力の高さを享受するのはなかなか簡単にはいかない。
ともあれ100mmの焦点距離でF2の明るさは純正にはないもので、その被写界深度を活かした表現は唯一無二と言うことになる。
使い勝手
マクロレンズらしく開放から描写がシャープで安定しているので使いやすい。ただ被写界深度が浅くなるためピント合わせは難しくなる。望遠マクロのため被写体との間にある程度距離を取ることができて扱いやすいが等倍ではなくハーフマクロなのはちょっとだけ残念。
MFのみだがK-5のファインダーはピントの山が掴みやすくむしろMFは楽しい。が、黄昏時や暗めの曇天などでピンの山がわかりにくくなってくるとちょっとシビアになる。
マクロ撮影ではMFが基本なのでMFオンリーでも不便とは感じない。しかしピントリングの回転角が大きいため通常撮影でマクロ域から無限遠まで行ったり来たりするのは毎度一仕事である。
ピントリングは重いが滑らかで回していて心地よいものの、個人的にはもう少し軽い方が好み。
きめ細かく写るので遠景にも向いているが、手持ちでは焦点距離が長いこともあり手振れの影響が顕著に出る。感度を犠牲にしてもシャッター速度は高く保ちたいところ。精緻さを堪能するには三脚を使って取るのがもちろんベスト。
携帯性
純正の100mmマクロと比べるとサイズが一回り大きい上に重さも倍であり、特に良いとは言えない。気軽に持ち出すにはちょっとためらわれるサイズ。
とはいえ100mmのマクロとしては普通の部類で、純正のコンパクトさがむしろ異常なのだが。
総評
文句なしの表現力を持った望遠マクロ。
コストパフォーマンスと使い勝手を考えると純正のDFA100Macroで十分だったんじゃないかという気もしてくるが、しばらく使い込んでみると凄まじい表現力にもう手放す気など失せてしまう。
MTF曲線では中央部から周辺部まで解像力が衰えない凄まじいレンズだが、APS-Cではもともと周辺が切り捨てられるので、ある意味このレンズの真価が発揮できていないと言える。
APS-C機にこのレンズはオーバースペックかもしれない。
満足度は120点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/50 ZK
こちらは50mmバージョン。
同じハーフマクロではあるが焦点距離や被写界深度の違いで得られる表現は違う。
MTF曲線を見るにスペック的には100mmの方が上だが、APS-Cでは50mmでも美味しいところだけを使うためそこまで差は感じられない。
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WR
純正の100mmマクロ。ハーフマクロではなく等倍マクロであり、AFや簡易防滴を備えつつ一回りコンパクトに仕上がっているなど使い勝手はこちらの方が良い。
表現力で言うと明るさや収差の少なさといった面ではMakro Planarの方が優れており、加えてとにかくキレが凄まじい。DFA100Macroも十分に表現力を持っているが、このレンズと比べてしまうと格が及ばないかなといった印象。
しかしバランスと価格差を考えるとDFA100Macroの方が順当な選択に思える。
フルサイズが出た場合(本当に出るかどうか知らないが)に周辺部の画質でどれだけ差が出るのかちょっと興味深い。
このレンズに関するメモ
手ぶれ補正
ボディ内手ぶれ補正のおかげで手持ちマクロも余裕。
ただし電源ON時に焦点距離を正しく選択する必要があるので注意。焦点距離を間違えると手ぶれ補正の効果が弱かったり過剰だったりしてかえってぶれが増幅してしまう。
関連用品
フィルター
67mm径。
風景撮影にも使えるのでPLフィルターやNDフィルターが力を発揮することがあるかも。
PLフィルターの操作にはフードを外さなくてはならないのでステップアップリングも有効。
APS-Cではステップダウンリングでもある程度行けるはず。
三脚
静物相手にマクロ撮影をするなら三脚があれば色々と手堅い。
一脚
マクロ撮影時の姿勢安定になかなか使える。