smc PENTAX-D FA Macro 50mm F2.8
忠実でニュートラルな描写力が持ち味の標準マクロ
- フルサイズ用
- ミドルグレード
- マクロレンズ
- 標準レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- クイックシフトフォーカス
- 絞り環
- 焦点距離50mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF32
- 絞り羽根枚数8枚
- レンズ構成7群8枚
- 最短撮影距離0.195mm
- 最大撮影倍率1.0倍
- 最大径67.6mm
- 全長60mm
- 重量265g
- フィルター径49mm
フルサイズ対応の標準マクロレンズ。
マクロではあるが遠景もしっかり写るので、標準画角であることもあいまって接写から風景までなんでもこなせる使い勝手の良さを持つ。
同じDFAの100mmマクロに比べるとメリハリが抑えめで自然な描写となっている。
ボケ味はフラットで癖が少なく柔らか。
- マクロレンズらしく開放からシャープで収差の少ない忠実な描写
- マクロ以外の用途にも使え、万能の標準レンズとして使い勝手が良い
- フォーカシングで伸びる鏡胴をジャストフィットに隠してくれるフード
- AFが迷うとかなり遅い
- 固定力が弱くてあまり意味がないフォーカスクランプ
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
マクロレンズらしく開放からかなり高い解像力を発揮。
フルサイズでも近景では四隅までしっかりとした写り。遠景では周辺から隅がわずかに甘いが、絞れば改善してF5.6でフレーム全域がしっかりと解像する。
APS-Cではいずれのケースでも開放から隅々までしっかりとシャープに写る。
さすがにF16まで絞るとソフトになってくるが、F11くらいまでは十分にシャープで、マクロ域で被写界深度を稼ぎたいときなどには助かる。
光学性能的には逆光耐性、周辺減光、色収差ともにほぼ気にならず、歪曲も極めて少ない。被写体を忠実に写し取るマクロレンズとしては申し分のない性能と言える。
性格としてはスッキリと落ち着いた感じの写りをするレンズで、癖がなく柔らかなボケ味とマッチして自然で爽やかな雰囲気を醸し出してくれる。ニュートラルな写りとも言えるだろうか。
ただ見方によっては素っ気ないとも言えるので、こってりと印象的な描写が好きな人にとっては物足りないかもしれない。
円形絞りではないため玉ボケは角張りやすいが、絞り羽根枚数が8枚と偶数のため夜景などで光芒がきれいに出る点は良い。
使い勝手
K-1の登場によってデジタルでも標準マクロとして使えるようになった。
APS-Cでは中望遠マクロ。いずれの場合でもボディ内手ブレ補正のおかげで手持ちマクロが捗る。
等倍で写そうとするとワーキングディスタンスは4.7cm。
これだと自分やレンズの影が被写体にかぶってしまうこともあり、等倍マクロとしてはより焦点距離の長い望遠マクロの方が使いやすい。
しかし等倍までいかなくても十分にマクロらしい写真は撮れるので、寄れる標準/中望遠レンズとして考えれば使い勝手はすこぶる良い。
クイックシフトフォーカス対応のためAFとMFの切り替えを意識しないでいいのは便利。特にマクロレンズはMFを使う頻度も多いのでここは重要なポイント。
ピントリングのトルクは軽めで滑らかに動き、マニュアルでのピント合わせも快適。
ただ逆方向に回すときに若干の遊びがあるのは少しだけ気になることがある。
AFは迷うとその回転角の大きなピントリングが無限遠からマクロ域まで行ったり来たりするのでかなり遅く感じるが、これはマクロレンズとしてAFよりMFの操作性を優先した結果ということだろう。それでも迷わず決まるときはだいたいギュッと素早く決まるのでさほどストレスはない。
フードに関してはDFA100mmマクロ同様に良く考えられており、フォーカシングによって伸びる鏡胴をうまいこと隠してくれる。フードの先端から被写体までの距離が変わらず、鏡胴が伸びた拍子にフードが被写体に接触してしまうようなこともない。これは賢い。
ほか珍しい機能としてピントの位置を固定するクランプが付いているが、これをONにしてもピントリングが少し重くなるだけで普通に回ってしまうため、あまり意味がないように思える。
なお絞り環があるためフィルム機で使うこともできる。
携帯性
重さもサイズも控えめでなかなかの携帯性。
フード装着でカメラに装着しても17cm-18cm程度の長さで、すぐ使える状態でほとんどのバッグに収納できる。
総評
DFA Macro 100mm F2.8 WRの陰に隠れがちではあるが、このレンズも優れた性能を持っており、寄れる標準/中望遠レンズとしても使い勝手が良い。
満足度は100点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WRとどちらにするか
描写の違いで言うと、100mmの方が色濃く鮮やかな写りなのに対して、50mmはスッキリ自然な写りという感じ。
どちらも解像力が高くシャープなのは変わらず、ボケ味もともに美しい。
単純な性能の違いと言うより傾向の違いなので、好みで選んでもいいし、両方持っていて使い分けるのも粋。
等倍マクロとしてはワーキングディスタンスが13cmと長い100mmの方が使いやすい。
50mmは4.7cmなので、被写体にレンズや撮影者の影がかかってしまうケースがままある。
単純にマクロとしての使い勝手を重視するなら100mmの方がいいだろう。ピントリングの感触も100mmの方がいいと感じる。
ただ背景を含めた絵作りがしやすいなど標準マクロならではの良さもあるため、絶対的に100mmの方が優れているというわけでもない。
ほか単純にスペック的に見るとDFA50の方が優れている点は絞り環がありフィルム機でも使える、より小型軽量といったところ。
一方で鏡胴の質感や簡易防滴、SPコーティングなどの面ではDFA100の方が優れている。
smc PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited/HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limitedとの比較
まずDFA50はフルサイズでもAPS-Cでも使えるが、DA35マクロは基本的にAPS-C対応のレンズだという点がひとつ。
DA35マクロもマクロ域ならフルサイズで使用可能だが、遠景はイメージサークルの不足から難有りの写り。
次に等倍マクロとして使うことを考えているならDFA50の方が使いやすい。
DA35マクロはワーキングディスタンスが2cm程度しかないため、等倍マクロとして使おうとするとかなり厳しかったりする。
等倍にこだわらないなら画角の違いで判断。
フルサイズでは広角マクロにこだわりがなければマクロ域から遠景までしっかり使える標準マクロのDFA50の方が無難。
APS-CではDA35マクロの方が万能の標準レンズとして使いやすいが、マクロ性能や中望遠の画角を取るならDFA50で。好みで判断すればいいだろう。
F1.4やF1.8などの明るいレンズと比べて
被写体を同じ距離から写せば開放F値の小さいレンズの方が大きなボケを作れるが、50mmマクロはぐっと寄ることができるのが便利。
F1.4やF1.8のレンズならではの表現もあって面白いが、気軽に何でも撮りたいと思うなら50mmマクロの方が万能に使える。
このレンズに関するメモ
関連用品
フィルター
49mm径のフィルターは多くのリミテッドレンズと共通なので使い出がある。
遠景も良く写るので風景撮影用にフィルターを揃えておくのも悪くない。
三脚
三脚があるとマクロ撮影もイージーモード。
三脚を使うならミニ三脚が手頃で良い。一眼レフ用のものが各社から出ている。
一脚
三脚までいかずとも一脚があるだけでも大分安定する。自由雲台とセットで使えばなお可。
ベルボンのウルトラスティックスーパー8が非常にコンパクトに持ち運べてオススメ。