smc PENTAX-DA★55mm F1.4 SDM
性能を極めたデジタル世代の大口径ポートレートレンズ
- APS-C用
- ハイグレード
- 中望遠レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- SDM
- クイックシフトフォーカス
- エアロ・ブライトコーティング
- SPコーティング
- 円形絞り
- 防塵防滴
- 焦点距離55mm
- 最小絞りF1.4
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成8群9枚
- 最短撮影距離0.45mm
- 最大撮影倍率0.173倍
- 最大径70.5mm
- 全長66mm
- 重量375g
- フィルター径58mm
2012年の年初にキャッシュバックキャンペーンに釣られて購入した一本。
一言で言うと凄まじい切れ味のレンズ。
- クリアで緻密さを感じる描写力
- 美しくやわらかなボケ味
- AF速度がやや遅い
- ピントリングの感触が悪い
- 強い光源をフレームに入れるとゴーストが出やすい
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
開放では被写体の周りにわずかにフレアがかかって柔らかく、絞ればくっきりシャープにというタイプのレンズ。
とは言え開放からすでにかなりシャープなので柔らかさを期待していると不満が出るかも。
絞ったときの極めてシャープでクリアな描写はDA★300と並んでDAスターレンズの双璧。非常に解像力が高く被写体の立体感もよく出る。
無限遠でも緻密な描写をするため風景撮影にも良い。
ボケに関しては明るいレンズに良くある傾向で開放付近で丸ボケに輪郭がついてわずかにうるさく見えることがあるが、基本的にはなだらかで美しいボケ味。
ただ絞り羽根枚数は9枚で円形絞りということであるが、絞ったときには大きな丸ボケが若干角張って見えることがある。
逆光でのフレアはよく抑えられておりコントラストもしっかりとしているが、ゴーストは派手に出る。太陽や夜の街灯、金属の反射などの強い光源をフレームに入れると鮮やかなゴーストは避けられない。
ほか開放では激しいというほどではないがピント面前後のパープルフリンジが気になることがある。
使い勝手
換算84.5mmの画角は何かを注視した際に自然に被写体を切り取れる画角で非常に使いやすく感じる。K-5のファインダーをのぞくと直接目視したのとほぼ同じ大きさになるので素通しのファインダーを使っているかのような感覚があって面白い。
AF速度は他のペンタックスのレンズと比べても遅い方で、一度サッと大まかに合わせてから微調整するような動作をする。そのため動いているものに対してはそれほど速く動いていなくてもかなり弱い。静物相手にはそうした動作でも問題ないが、正直言うと少々ストレスを感じることもある。
特にK-5やK-5IIsのLVでのコントラストAFは非常に遅く、条件によっては合焦しないこともしばしば。
しかしK-01やK-3ならばコントラストAFもキビキビとした動作で実用的な速度となっている。
精度の面では開放のピントはかなり薄くなるがAFはおおむねジャストに合わせてくれる。時々わずかに合わないがそういう時は何度試しても合わないので被写体や状況によるのかも。
ピントリングの感触は軽くスムーズだが、回す方向を変えるときに少々遊びがあり、これがイマイチ気持ち悪い。AF速度の問題もありMFで撮りたいと思う時が多々あるのだが、その操作にも難があるという悩ましさ。
防塵防滴なので天気が悪くても安心して使い続けられるのはF1.4の中望遠としては唯一なので高く評価したい点。
携帯性
これはまずまずといったところ。特別コンパクトなわけではないが、携帯するのに苦にならない大きさ。
レンズ性能を加味して考えるに、50mmF1.4相当のレンズと考えると若干大きい方だが換算で考えて85mmF1.4相当のレンズとして見れば小さい。
総評
満足度は110点。
とにかくシャープで精細な写りが素晴らしい。
スターレンズにふさわしい描写性能を持つ納得の一本で、現行ラインナップの中望遠としては随一の切れ味をもったレンズと言える。
開放F1.4ということで絞りをコントロールできる幅が広いのも楽しい。
しかしAFがこのレンズの泣き所。MFの感触もイマイチなので使い勝手の面で少しマイナス。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-FA 50mm F1.4とどちらにすべきか
柔らかい写りが好みならFA50で、と言われる。女性や子供のポートレートにはそちらの方が向いているのではないかと思える。
一方で被写体を可能な限り精緻に写し撮りたければDA★55は強く推奨できるレンズ。風景撮影にも向いている。
smc PENTAX-DA★16-50mm F2.8ED AL [IF]SDMとどちらにすべきか
用途がはっきりと異なっているレンズなので用途をハッキリとさせれば自ずと答えは出るはず。
レンズの味といったものを配慮せずに言えば描写性能は圧倒的にDA★55の方が上。現行レンズの中では間違いなくトップクラスの性能を持っている。ゆえに感動や楽しさもDA★55の方が上と思われる。
高画質の中望遠、ポートレート用のレンズを探しているのならDA★55を。
一方で便利に使えるのはズームレンズであるDA★16-50。画質で劣るとはいえこちらも十分高い描写性能を持っているため、一本で広角から中望遠まで手堅くズームの利便性を取るならDA★16-50ということに。
ツァイスとの比較
すでにディスコンだが50mmのレンズとしてPlanar50とMakro Planar50がある。
Planar50はDA★55と似た性格のレンズだがより柔らかい。
Makro Planar50はF2と明るさは一段劣るがよりシャープ。
中望遠の画角が好きなので気になっているのだが・・・
有無を言わさず買ってみるべき。
このレンズに関するメモ
メンテ記録
AFバラツキ調整 2012/01
試し撮りで前後にピンズレしているものが多い気がしたので新宿のペンタックスフォーラム経由で調整に出したら、AF動作不良ということで調整されて返ってきた。買ってすぐだったので費用はタダ。
それ以降ピントがしっかりあった写真ばかりになったら、その解像力に鼻血が出そうになった。
けど速度は相変わらずなかんじで、開放ではピントは薄さ故か合わないこともある。
コントラストAFが超絶遅い 2012/10
K-5IIsのコントラストAFがどんなもんかと試してみたらピントリングの回転が非常にゆっくりで、これ合焦までに何分かかるの?といった具合だった。
K-5に付け替えてみても同様。
K-01に付けてみたら依然もっさりながらも実用的な速度で動いた。
その後K-5IIsに再度付けてみると普通の速度で動くようになっていた。謎すぎるぜ。あ、ちなみに普通イコールもっさりです。
トラブルが心配だ。保証が切れる前にまたフォーラムに持って行って見てもらおう。
コントラストAFが超絶遅いのは仕様 2012/11
フォーラムの人に「むしろこのレンズでこれは速い方です」って言われたったw
速度は光量などの条件にもよるようだ。
K-01では十分に速いので今後のボディではもっと速くなるかもしれない。
K-3ならコントラストAFも十分な速度 2013/11
K-3では少なくともK-01と同等の速度。何の問題もなくコントラストAFが使える。
フルサイズ機での利用
開放で強い光量落ちが出やすく四隅がやや甘い。四隅を重視する場合はF5.6以上まで絞った方がよい。
このように完璧とは言えないが、フルサイズ用の標準レンズとしてほぼ問題なく使用可能。
スターレンズの描写力はフルサイズでも健在だ。
関連用品
フィルター
58mm径のフィルターを共用できるレンズは少ないがFA31やDA55-300と粒が揃っているため価値は高いはず。
風景撮影にも適したレンズなのでPLフィルターやNDフィルターは抑えておきたい。
ステップダウンリング
実はステップダウンリング58mm-49mmをかまして49mmのフィルターを使っても問題ない。
ただ口径が狭くなる分光量が減って周辺光量落ちが大きくなる、シャッタースピードが落ちるというちょっとした問題はある。