smc PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited
マクロもこなせる標準レンズは万能選手か、はたまた器用貧乏か
- DA Limited
- APS-C用
- ミドルグレード
- 標準レンズ
- 単焦点レンズ
- マクロレンズ
- AF
- クイックシフトフォーカス
- SPコーティング
- 内臓フード
- 焦点距離35mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成8群9枚
- 最短撮影距離0.139mm
- 最大撮影倍率1.0倍
- 最大径63mm
- 全長46.5mm
- 重量215g
- フィルター径49mm
K-r購入時に単焦点を使ってみたくて検討を重ねた末に購入した一本。
何でもそつなくこなす標準マクロレンズ。
- 開放からシャープで安定感の高い描写力
- 等倍マクロなので被写体を大きく写せる
- アルミ削り出しの高い質感
- 等倍撮影はワーキングディスタンスが取れないので少し大変
- AFが迷うとかなり遅い
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
開放からシャープでコントラストの高いメリハリの効いた描写。解像力も高く立体感もしっかりと出る。ボケ味は時折やや硬く感じることもあるが、率直に美しいと言って差し支えの無いもの。前ボケ後ボケともに申し分ない。
逆光耐性の高さには素晴らしいものがあり、逆光でもゴーストが出ることはなくフレアもほとんど見られない。パープルフリンジのような色収差もまず出ないため非常に扱いやすい。とても安定した光学性能を持っていると言える。
一方で遠景に関してはイマイチと言う声があり、たしかに自分の経験でもキレが物足りないと感じることが多い。ただ周辺までしっかりしており、十分にシャープではある。少なくともキットレンズのDA18-55やDA18-135と比べれば同等以上には写る。強い解像感や緻密さと言ったものは感じないが、この価格帯のレンズとしてはこれだけ写れば文句はない。それでいて万能レンズなのだからむしろ大したものじゃないだろうか。
夜景などで光源の周りに出る光条は18本できれいな星形の形になる。
使い勝手
標準レンズとして開放から安心して使えて、思い通りに寄れて、どんなシーンでも安定した描写をするので使いやすい。遠景の弱さもスナップ的な使い方をする上では問題ないだろう。現像時やカメラ設定のカスタムイメージでシャープネスを高めてフォローすることもできる。
マクロとして等倍撮影しようとするとかなり寄らねばならず自分の影の映り込みなどを避けるのが難しい。
標準マクロならではの表現というものもあるが純粋なマクロとしての使いづらさは否めない。一方で等倍にはこだわらず寄れる標準レンズと考えると非常に使いやすいと思えてくる不思議。
接写の際にはSPコーティングのおかげで前玉が被写体にぶつかってしまっても平気という安心感はなかなか良い。
AFに関してはマクロレンズのためかピントリングの回る速度がゆっくりで、迷うとピントリングが一周するのに大分時間がかかる。迷わず決まれば十分に速いが時々ストレスに感じることもある。コントラストAFの場合は仕組み的にピントリングが回っている時間が長いので時々ではなく頻繁にストレスを感じる。
そんなAFのフォローという意味でもクイックシフトフォーカスは大きな力を発揮。マクロ撮影時にももちろん便利。
携帯性
パンケーキのリミテッドレンズと比べると大きく感じるが、通常のレンズと比べると明らかに小さく良好。フードが内蔵されているのでコンパクトさを損なわずフードの恩恵を得ることができる点も良い。
総評
なんでも写せる優等生レンズ。
シャープでボケ味も申し分ないというバランスの良い光学性能に加え凄まじい逆光耐性、色収差の少なさ、マクロ域まで寄れる使い勝手等々。
一本のレンズでなんでもこなしたい/そんなにたくさんレンズを揃える気はない、という人には強くオススメできる。
しかし所持するレンズが増えてくると、マクロとしては中望遠マクロの方が使い勝手が良いし、マクロほどでなくても大きく写したいときには中望遠やズームレンズや寄れる広角でもOK。画角的には風景にも使いやすいがハイグレードのレンズに比べると遠景のキレが今ひとつ。スナップレンズとしてはAFが迷うとけっこう待たされてテンポを損なう等々。
これでなくては、という特徴が見いだせなくなってしまった。
つまりレンズが増えるにつれ器用貧乏レンズという立ち位置になってしまい、結局使わなくなり手放した。贅沢言ってすみません。
そんなわけでレンズをたくさん持っている身からすると満足度は80点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WRやsmc PENTAX-D FA Macro 50mm F2.8との比較
マクロレンズとしては被写体との間にワーキングディスタンスを取ることのできる中望遠や望遠のマクロの方が使いやすいため、純粋なマクロとしてはDFA50やDFA100の方が使い勝手がいい。
一方でDA35Macroはマクロ撮影もできる標準レンズとしてそれはそれで使い勝手が良い。ついでにマクロも、くらいの気持ちであればDA35Macroの方が適しているかもしれない。
smc PENTAX-DA 35mm F2.4 ALとどちらにすべきか
同じ35mmのレンズではあるが、マクロ撮影が可能で寄れることやクイックシフトフォーカス対応など使い勝手ではDA35Macroの方が上回っている。一方DA35はコストパフォーマンスが際立っている。
描写性能はどちらも一定の評価を得ているので、使い勝手を取るかコストパフォーマンスを取るか、といったところだろうか。いずれにしてもキットレンズを使っていた初心者が最初に買う一本としては申し分ないレンズかと思う。
smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limitedとの比較
単なる標準レンズとしては圧倒的にFA31の方が素晴らしい。価格差分の格の違いは確実にある。
DA35Macroの明確な利点は高い逆光耐性、マクロ域まで寄れる使い勝手と価格が安いこと。
smc PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limitedとの比較
オールマイティなレンズとしてはDA21の方が使いやすい気がする。
広く写せるし、DA35Macroほどではないが十分に寄れるし、AFはピントリングの回転角が小さい上に走りも速い。それからよりコンパクトだし。
こういう人にはおすすめ
- 一本で何でもこなしたい人
- 気軽なスナップレンズを探している人
- 接写が大好きな人
- 開放からシャープな標準レンズを探している人
こういう人は買わない方が良い
- これから沼にはまってレンズをたくさん揃えるつもりの人
- 遠景撮影のメインレンズを探している人
- 本格的なマクロレンズとしての最初の一本目を探している人
HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited
リニューアルされた後継レンズ。
HDコーティングと円形絞り採用で、外観に緑帯から赤帯になるなどの変更。あと1g軽量化した。
このレンズに関するメモ
フルサイズ機での利用
遠距離の撮影は条件次第で強烈な周辺減光が出たりと難有りだが、近距離、特にマクロ域の撮影では普通に35mmの広角レンズとして使える。
つまり35mmの広角等倍マクロとして使えると言うことで、これはかなり面白いと言わざるを得ない。
なおビルトインのフードを伸ばすとマクロ域以外ではケラレるので、フルサイズで利用する場合は伸ばさないように注意。
メンテ&使用記録
HD化でリニューアル 2013/09
これに伴い非HDバージョンはディスコン。
もともと性能の高いレンズがHD化でどこまで行ったのかはけっこう興味がある。
かつては他のレンズに押されて出番がなくなったレンズだが、最近は標準マクロもあると便利かもと思うフシもあり。
関連用品
フィルター
49mm径は他のほとんどのリミテッドレンズに使い回しが効くので使い出がある。内蔵フードと干渉してしまうこともあるが、そういう場合はフードを伸ばさずに使えば問題ない。
三脚
真面目にマクロ撮影する時にはあると楽。
しかし三脚を使うような本格的なマクロ撮影ならこのレンズより中望遠マクロを使った方がいいかも。
一脚
マクロ撮影時には一脚があるだけでも大分姿勢が安定する。