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smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 AL

今も色褪せぬ描写力を持つフィルム時代のスターレンズ


表現力の優れたズームレンズが欲しくて中古でゲットした一本。
フィルム時代の大口径標準ズームとしてスターレンズの名前に恥じないレンズ。

満足度 100

強み
  • シャープで立体感のある描写
  • 素晴らしいボケ味
  • クォーターマクロ相当の接写能力

弱み
  • 広角端の周辺がかなり甘い
  • フォーカシングで前玉が回転するためPLフィルターが使いにくい
  • 公式の修理取り扱いが終了している
最終更新: 2016-05-29

実際に使用してのレビュー

描写の傾向

解像力、立体感、ボケ味どれをとってもハイレベルで、色ノリもよい。並の単焦点を凌駕する画質を備えている。特にボケ味はズームレンズと思えないほどの良さ。

しかしAPS-Cでは完全無欠と思われるほどの画質も、フルサイズでは広角側の周辺から四隅がかなり弱く、特に四隅はF11以上に絞っても荒れが目に付く。
35mmから70mmの中間域から望遠端までは絞ればほぼ問題ないが、シビアに見れば四隅はわずかに甘い。

開放の描写はかなり柔らかく、ソフトに写したい被写体には効果的。F4で中央はぐっとシャープになり、F5.6でピークになる。
F8で中央はやや落ちるが、周辺まで含めるとF8が最も安定。F11もまだ高い解像力を維持。F16以上に絞ると開放より悪くなる。

逆光に関してはフルサイズではフードを付けていてもゴーストやフレアがそれなりに出る。
APS-CではDA★200/DA★300の深いフードが流用できたので逆光にもかなり強く、フレアが出ることもほとんどなかったが、標準で付属しているフードにそこまでの遮光力はないようだ。

使い勝手

フルサイズで28mmから70mmのスタンダードな画角を収めたズームレンジ。
現在ではこの手の大口径標準ズームは24mmスタートが一般的になっているが、個人的には28mmまでが常用、24mmからは非日常という頭なので標準ズームとしては28mmスタートでも十分だ。

APS-Cでは換算約42mm〜105mm相当の画角となり、これが個人的に非常にしっくりくる。望遠端の長さはやっぱりこれくらいあるとうれしい。ズームレンズはやはりシャッターチャンスを多くものにできるため撮影枚数が自然と増えるが、そうした利便性と画質が両立されたレンズなので使っていてとても楽しい。

とは言え欲を言えばやはり24mm始まりでAPS-Cでも換算36mm〜だったらパーフェクトだった。

ちなみにこのレンズにはパワーズームという独特の機能があり電動でズームリングを回すことができるのだが、これは正直しっくりこないので使っていない。レンズをホールドする左手を動かさずにズームできるという利点はあるが・・・

AF速度はK-5やK-3ではかなり速い。特にボディモーターの強力なK-3以降では爆速。
クイックシフトフォーカスには対応していないが、ピントリングには手前に引くとMFに切り替わるというクラッチ機構が付いていて、ファインダーから目を離さずにAF/MFの切り替える操作がやりやすい。これはレンズ側面の小さなスイッチで切り替えるタイプより良い。

ピント合わせで前玉が回ってしまう点はPLフィルターを使用する上でやや不便。
多くのケースで問題にはならないが、PLフィルターの使用を前提とした撮影をするつもりの場合は選択肢から外したくなってしまう。

最短撮影距離は43cmと特に寄れるレンズというわけではないが、望遠端を使えば被写体をかなり大きく写すことが可能で、撮影倍率はクォーターマクロのレベル。なので寄れないことにストレスを感じたことはほとんどない。

携帯性

さすがに良いとは言えない。フルサイズ用の大口径標準ズームだけあって大きさも重さもそれなりのもの。
だが高い画質と使い勝手の良さを考えれば納得の域。

ちなみにフルサイズ用のF2.8通しの標準ズームとしてはコンパクトな方。

総評

残念ながらデジタルのフルサイズでは広角側の周辺がだいぶ弱いという結果になってしまったが、それでもやはり基本としてはきめ細かく魅力的な描写をする。
35-70mm F2.8と考えて広角端はオマケくらいに考えるといいかもしれない。

生産終了から久しく修理が出来ないことを考えると、今から中古を購入するのはあまりオススメできないが、すでに所持している身としては壊れるまで大事に使いたいレンズだ。

フルサイズでの利用に難有りとは言え満足度は100点。APS-Cでの利用に限れば120点。

購入に関するアドバイス

生産終了品の宿命

壊れたら基本的に修理不能。

このレンズに関するメモ

画質は単焦点並と言える?

これは間違いなく言える。むしろ下手な単焦点より良い。
さすがにFA Limitedには劣るが、DA Limitedと比べた場合は互角以上と感じる。

APS-Cでの利用

換算43mm〜107mmの標準から中望遠をカバーしたレンズとなる。
標準ズームとしては広角が物足りないが、望遠端が伸びたことによりクローズアップ性能が活かしやすくなっているのはプラスと見ていい点。

画質的にもフレーム全域で解像力が安定するため扱いやすい。

メンテ&使用記録

パーツ脱落 2013/09

GR001502.jpg

パワーズームの定位置ボタンのパーツがいつの間にか脱落してなくなっていた。
機能的には使っていなかったので問題ないが、ショック。

ひとまずセロテープでゴミが入っていかないように応急処置。見てくれはともかく実用上は問題ない状態。

PLフィルターを使うのは厳しい 2013/09

バスの車窓からの撮影で反射除去のために使ってみたが、フォーカスが動くたびに調整しなおさなければならないのでかなり厳しかった。
PLフィルターを使うつもりならこのレンズはやめておいた方が良い。

K-1で使ってみて 2016/05

フルサイズでは広角側の周辺の甘さが絞っても解消されず、かなり残念なかんじだった。
特に右隅が明らかに片ボケしているのであまり良い個体ではないのかもしれない。

35mm以降は相変わらず良いので今後も使っていくだろうが、標準ズーム本来の使い勝手が発揮できなかったのは残念だ。

関連用品

フィルター

フォーカス操作で前玉が回転してしまうのでPLフィルターは使いにくいが、遠景もよく写るので時には頑張って使っていきたい。頻繁にフォーカスを移動させるような状況では厳しいが、三脚を立てるような場合では問題ない。

67mm径はDA★50-135やDA★60-250、DA17-70と共用可能。

ケンコー Zeta EX サーキュラーPL
フード

APS-Cでの利用ならDA★200およびDA★300のフードがあつらえたようにフィットする。ズーム全域でケラレもない。
標準のフードより効果が高いと思われるので、こちらのフードを使った方がよいだろう。シルバーとブラックのコントラストもカッコイイ。

しかしフルサイズで使うと広角端から43mmくらいまでケラレが出てしまうので標準のフードを使うしかない。

コンパクトに収めたければなんだかいろんなメーカーから出ているライカ風メタルレンズフードも良い。
これもフルサイズではケラレるが、35mm以降では問題がなくなるので、画質に難のある広角側を使わないと割り切れば悪くない選択かもしれない。

PH-RBK77
ライカ風メタルレンズフード

参考リンク

smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 ALで撮った写真

PENTAX K-5 II s
1/250s f/4.0 ISO200 65.0mm
PENTAX K-3 II
1/200s f/2.8 ISO200 70.0mm
PENTAX K-5 II s
1/125s f/4.0 ISO400 70.0mm
PENTAX K-5 II s
1/5s f/8.0 ISO100 65.0mm
PENTAX K-3 II
1/80s f/8.0 ISO1600 31.0mm
PENTAX K-3
1/8000s f/8.0 ISO200 70.0mm
PENTAX K-5 II s
1/500s f/4.0 ISO100 58.0mm
PENTAX K-3
1/200s f/4.0 ISO200 70.0mm