HD PENTAX-D FA 24-70mm F2.8 ED SDM WR
高い信頼性を持つ大口径標準ズーム
- フルサイズ用
- ハイグレード
- 標準レンズ
- ズームレンズ
- AF
- SDM
- クイックシフトフォーカス
- 簡易防滴
- HDコーティング
- 円形絞り
- 焦点距離24-70mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成12群17枚
- 最短撮影距離0.38mm
- 最大撮影倍率0.2倍
- 最大径88.5mm
- 全長109.5mm
- 重量787g
- フィルター径82mm
K-1に先駆けて発売されたF2.8通しのハイグレード標準ズーム。
現行の標準ズームの中では当然のごとく最高の描写性能を持つ。
超広角の入口とも言える24mmスタートのズームであるため、これ一本で幅広い撮影シーンに対応できる点が素晴らしく便利。
高い描写力と相まって非常に優れたレンズと言える。
- 開放からシャープできめ細かい描写性能
- 描写力とズームの利便性を高いバランスで両立
- 周辺減光が大きい
- SPコーティングなし
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
余裕のある優れた描写力
シャープでクリアな描写傾向で、階調も良く出て色のノリも十分。きめも細かさもありF2.8通しの大口径ズームらしい余裕を感じる画質だ。
ここまで写れば並の単焦点は不要というくらいにしっかりと写る。
凄まじいキレや強烈な色ノリといった強い個性はないが、丁寧な描写で常に期待通りの仕事をしてくれるレンズと言うかんじ。
解像力
解像力に関しては中央は開放からシャープ。
周辺は一段か二段絞ったF4もしくはF5.6くらいでしっかり安定する。
F11まで絞ると回折の影響が出てくるが、まだ良好な画質。フルサイズの四隅まで均一に解像させたければF8よりもF11の方が良い結果になる。
F16以上に絞ると四隅も含めてF8の方が良いが、被写界深度確保のために必要とあればためらわず使えるレベルだ。
ボケ味
ボケ味はスムーズで癖がなく良好。
前ボケは若干うるさいことがあるものの、気になるケースはほとんどなし。
安定した光学性能
歪曲は広角端ではさすがに大きく、特にフルサイズではかなりの樽形になるが、ズームレンジの中間域以降ではぐっと解消されてほぼ気にならない。
色収差に関しては良く抑えられており、特にピント面前後の色づき(軸上色収差)はほぼ見られない。周辺部の色づき(倍率色収差)もフルサイズ利用時の広角端の周辺部で出るくらいで、他のケースではまず気にならない。
逆光耐性はまずまず。大口径レンズだけあってさすがに極端な逆光では大きなゴーストがしばしば出るが、フレアは良く抑えられている。
周辺減光は大き目
開放で周辺減光がかなり大きい。
絞れば解消されて行くが、それでも若干気になる場合がある。
まれに広角端では四隅が若干ケラレたように黒ずんだりすることがあり若干目に余る。
APS-Cでの利用
フルサイズで気になる周辺減光もAPS-Cならあまり気にならなくなる。
使い勝手
うれしい24mmスタートの標準ズーム
超広角の24mmスタートで70mmの中望遠までをカバーする定番のズームレンジ。
レンズ交換なしでこのレンジをF2.8通しでこなせると言うのはありがたい。
接写性能はまずまず良好
接写性能に関しては最短撮影距離が0.38m、最大撮影倍率は0.20倍で、これは昨今のフルサイズ用の標準ズームとしては標準的なレベルをクリアしており良好と言える。
APS-Cではもちろん、フルサイズ機での利用でも問題は感じない。
高速で静かなAF
AFはDCモーターではなくSDM。爆速ではないが十分に高速で、最短から無限遠までフォーカスが移動する際にもストレスのない速さを持っている。
精度に関しても問題なし。
程よいフォーカスリングのトルク
フォーカスリングは幅が狭いが適度なトルクがあり心地よい感触。F2.8の明るいレンズなのでピントの山も見やすく、MFはまずまずしやすい。
もちろんクイックシフトフォーカスにも対応。便利。
心強い簡易防滴
天気の読めない旅の道中や水辺での撮影にも安心して臨める簡易防滴。
防塵防滴ほどではないが、アウトドアに強いペンタックスらしさを発揮できる。
非SPコーティング
一方でペンタックスの通常のレンズと違ってSPコーティングがないので、取り扱いには少し気を遣いたいところだ。
APS-Cでの利用
換算約37mm~107mmの準広角から長めの中望遠をカバーするズームレンジとなる。
標準ズームとしての汎用性は低下するが、望遠側が伸びるので何かを切り取るようなスナップには使いやすい。
携帯性
F2.8通しの標準ズームとしては悪くない
大口径のズームであるため大きく重いレンズで、長さが抑えられている点は良いものの太さのために微妙にかさばりを感じる。
とは言えスペックを考えれば携帯性に難ありというほどではない。むしろ良好な部類。
総評
満足度は100点
際だって個性的な描写をするわけではないが、非常にヌケが良く、階調や質感などを繊細に写し取ってくれる。
目障りになるような癖はほとんどなく、このレンズを評するには、素性が良い、地力がある、堅実、といった言葉が浮かんでくる。
使い勝手の面でも特に問題はなく、レベルの高い優等生。信頼のおけるレンズと言えるだろう。
贅沢を言えば、なんかもっとこう尖った面があってもいいのにな、という若干の物足りなさを感じる面はあるものの、余計な主張のない自然な描写がこのレンズの強みなのかもなと思ったり。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
HD PENTAX-D FA 28-105mm F3.5-5.6 ED DC WR と比べて
K-1発売時点で標準ズームとして一番の比較対象となるのがDFA28-105。
DFA24-70が優れている点は以下の通り。
- 広角端が24mm
- F2.8通し
- 最短撮影距離が短い(0.38m vs 0.5m)
- より高画質
DFA28-105が優れている点は以下の通り。
- 望遠端が105mm
- ズームレンジが広い
- より軽量でコンパクト
- 価格が安い
- 最大撮影倍率が高い(0.2倍 vs 0.22倍)
- SPコーティング
一長一短なので標準ズームに何を求めるかで選択が変わってきそうだ。
画質はさすがにDFA24-70の方が良く、フルサイズセンサーの実力を余すところなく引き出してくれる。
とは言えDFA28-105の画質もなかなか良好で、特に解像力的には申し分なく、普段使いのズームとしては十分以上、本格的な撮影に使っても満足のいくものとなっている。
高画質とズームの利便性を両立させたければDFA24-70が良い。
描写力と使い勝手のバランスや機動性を重視するならDFA28-105が良い。
と言ったところだろうか。
なおDFA24-70の画質が良いといってもFAリミテッドやDFA★50のような優れた単焦点にはかなわないので、普段はDFA28-150を使い、画質を求めるときは単焦点を使うと言う割り切りもひとつの考え方。
smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 AL と比べて
F2.8通しの標準ズームとしての比較だが・・・普通に考えてDFA24-70の方が良い。
FA☆28-70にはデジタルのフルサイズで使ったときにが広角端の周辺部がかなり弱いという欠点があり、生産完了から久しいレンズのため故障すると修理が難しいと言う不安要素もあるので、今から購入するレンズとしてはあまりオススメできない。
光学性能でも後発のDFA24-70が優れていると思われ、広角端が24mmなのも単純に便利である。
と言いつつ個人的に好きな描写をするレンズはどちらかと言われるとFA☆28-70だったりするのだが。35mm以降は割と普通に使えるし。
このレンズに関するメモ
タムロンのOEM?共同開発?
公式発表されているわけではないが、このレンズが定評のあるタムロンのA007をベースとしたレンズなのは確定的に明らか。
変更点としては外装と、それからレンズ内手ブレ補正が省かれているためかいくらか軽量化している。
ほかスペックにHDコーティングとあるので光学系にペンタックス独自のチューニングが施されているという説とか、いや単に呼び名をペンタックス仕様に合わせているだけで実態はOEMだといった説とか諸説あるが、本当のところは中の人のみぞ知るといったところか。
別に秘密というわけではなくイベントなどで聞いたら普通に教えてくれるっぽいが、自分が直接聞いたわけではないので書かないでおく。
これだけ良く写るレンズがスターレンズ扱いになっていないのはそういう事情なのかもしれない。
メンテ&使用記録
売却 2017/08
悪いレンズではないが、大口径ズームとしてDFA15-30やDFA★70-200と比べると、描写の格が一段落ちるのはやはり否めない。
そうなると画質を求めるなら単焦点を使い、利便性を求めるなDFA28-105でいいかなということに、自分の中では落ち着いたのだった。
再評価 2021/06
過去の写真を見直してみると「あれ?このレンズ思ってたよりいいな?」という評価になってきた。
関連用品
フィルター
大口径標準ズームに多くなりつつある82mm径。大きいフィルターは高価だが風景撮影には欠かせない。