HD PENTAX-D FA 70-210mm F4 ED SDM WR
取り回しが良いF4通しの望遠ズームレンズ
- フルサイズ用
- ミドルグレード
- 望遠レンズ
- ズームレンズ
- AF
- 電磁絞り
- クイックシフトフォーカス
- 簡易防滴
- HDコーティング
- SPコーティング
- インナーズーム
- インナーフォーカス
- 円形絞り
- 焦点距離70-210mm
- 最小絞りF4
- 最大絞りF32
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成14群20枚
- 最短撮影距離0.95mm
- 最大撮影倍率0.32倍
- 最大径78.5mm
- 全長175mm
- 重量819g
- フィルター径67mm
いわゆる小三元と呼ばれるクラスのF4通しの望遠ズームレンズ。
中堅のレンズらしく信頼性の高い画質と手頃な携帯性を両立したバランスの良い一本。
Kマウントのフルサイズ用の望遠ズームは重量級の大砲しかなかったので、このレンズが追加されたことは非常に喜ばしい。
接写性能が高く簡易マクロとしても使えるなど、使い勝手も面でも小回りが利く。
- 開放からシャープで信頼のおける描写性能
- フルサイズ用の望遠ズームとしては手頃な携帯性
- クォーターマクロを超える接写能力
- 電磁絞りのため対応ボディでないと使用できない
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
信頼性の高い安定した描写力
解像力、ボケ味、諸収差の補正、逆光耐性、周辺減光など粗が目につくことがほぼない。
クリアなヌケの良い写りで常に期待通りの仕事をしてくれる。正直これくらい写れば主力のレンズとして使うのに何の不満もない。
開放から高い解像力を発揮
どのズームレンジでも開放からよく解像してシャープな写りを見せる。
隅々まで万全を期したいという場合はF8くらいに絞るのがベストだが、F4からF16までどの絞りで使っても解像の乱れを感じることはまずない。
美しいボケ味
前ボケ後ボケともに美しい。F9.5まで円形絞りとなるため玉ボケもきれいで、強い輪郭がつくような癖もない。
開放がF4ではあるものの、かなり寄ることができるレンズなので背景を大きく溶かしてしまうことも容易。ボケのコントロールが楽しい。
逆光耐性は良好
フレームの隅ギリギリに太陽のような強い光源を持ってきたりすると大きなゴーストとフレアが出る。
が、そうした極端なケースをのぞけば逆光に対してフードなしで利用してもクリアな写り。逆光耐性は良好と言っていいだろう。
色収差はよく押さえられている
倍率色収差はよく補正されていて気にならない。
レビューのために等倍で舐めるようにみると少しはあるなと気が付く程度。
軸上色収差は接写で気になったことはないが、遠景ではピントの前面にある水面の輝きが目立つ紫色になっていることがあった。ただし撮って出しのJPEGのみの話でLightroomで現像したRAWだと跡形もなくきれい。
歪曲収差はよく抑えられている
広角端では樽型、望遠端では糸巻き型となる。
よく補正されていて目につくことはほぼない。
使い勝手
70mm~210mmをカバーする望遠ズーム
中望遠から望遠までの汎用的なズームレンジ。
これ一本で色々なシーンに対応でき、メインの望遠レンズとして不足のない働きをしてくれる。
F4通し
開放F値固定のレンズなのでズーミングによって不意に絞りが変わることがない。地味に快適。
軽量で取り回しが良い
軽さはやはり性能のひとつだなと感じる。
重量級の望遠ズームに比べるとだいぶ気軽に振り回すことができ、多少無理な姿勢でも保持できるのでアングルの自由度がいくらか高いなど。
インナーズームかつインナーフォーカスで全長が変わらないのも良い。
クォーターマクロを超える接写性能
最短撮影距離0.95m、最大撮影倍率0.32倍と被写体をかなり大きく写すことができる。簡易マクロとしてとしては十分以上。
AFは静かで速くて正確
AFは爆速という程ではないが十分に高速で精度も良く、超音波モーターのため静粛性が高い。
AFを補助するフォーカスレンジリミッター
フォーカスレンジリミッターをオンにすると2.5m付近を境にフォーカスの範囲が制限される。
フォーカスが最短側にある時は最短~2.5m、無限遠側にある時は2.5m~無限遠の範囲で。なかなか面白い。
うまく使えばピントを手前に合わせたいときに奥の背景に引っ張られたり、奥に合わせたいときに手前の障害物に邪魔されたりといったことを防止できる。
またピントリングの回転角が約半分になるのでAFが迷った時の復帰も早くなる。
クイックシフトフォーカスを含めMF時にはリミッターが効かないが、これを逆手にとってリミッターの効く範囲を切り替えることもできる。
安心の簡易防滴
不意の雨でもゆとりの気持ちを持てる簡易防滴。
フードも深いので雨天の撮影にはかなり心強い。
SPコーティング
信頼と安心のSPコーティング。汚れに強くお手入れしやすい。
クイックシフトフォーカス
クイックシフトフォーカスに対応している。簡易マクロとして使うときにピントを微調整するのに便利。
携帯性
フルサイズ用の望遠ズームとしては軽量コンパクト
全長175mm、重量819g。携帯性はまずまず。実際手に持った感じではかなり軽く感じる。
K-1に装着した状態の長さは27cmで、これくらいならカメラに装着したまま収納できるバッグもまだ色々とある。
全長200mm以上のレンズに比べると格段に持ち出しやすく、散歩レンズとして常用するにも無理がない。
総評
満足度は110点
中堅クラスのレンズとしてハイレベルにまとまったバランスの良い望遠ズーム。
信頼のおける画質に加えて軽量で取り回しが良く、簡易マクロとして使えるなど使い勝手も良好。
F2.8通しのレンズの画質に酔いしれるのも良いが、トータルの実用性はやはりF4通しのくらいのレンズの方が高いと改めて感じる。
汎用的に使いやすい望遠ズームとしてオススメできるレンズだ。
購入に関するアドバイス
入手性について
ピチピチの新製品。供給も安定しており問題なく手に入る。
発売されて日が浅いため中古は玉数が少ない。新品との価格差も少ないので基本的には新品での購入をオススメする。
類似または関連するレンズとの比較
HD PENTAX-D FA★70-200mm F2.8 ED DC AW
画質を重視するならDFA★70-200、携帯性や利便性重視ならDFA70-210という分かりやすい使い分けとなる。
DFA70-210も十分以上の画質を持っているが、さすがにDFA★70-200のような凄味はない。
一方でDFA★70-200の重量はやっぱり常用するにはつらみがあるので・・・
どちらか一本と言うならバランスの良さに価格差も加味してDFA70-210の方が無難な選択。
しかしまあ両方持ってて使い分けると万事オールオッケーなわけです。いいですね?
smc PENTAX-DA★200mm F2.8 ED[IF]SDMとの比較
画質のきめ細かさと携帯性はDA★200の方が勝っており、ズームの利便性や最大撮影倍率の高さで使い勝手はDFA70-210の方が勝っている。
ちなみに重さは同じくらいのはずなんだけどDA★200の方がサイズが小さいせいかズッシリと感じる。
どちらかで悩む場合は主に画質と使い勝手のどちらを重視するかというシンプルな選択となる。
そのほか強いて言えばDA★200は発売からだいぶたっていることもあり価格がいくらか安い。
smc PENTAX-DA★60-250mm F4ED [IF] SDMとの比較
APS-Cで利用した際の対抗馬。
携帯性は全長はDA★60-250の方が短く、重量はDFA70-210の方が軽いと言う一長一短。
画質に関してはDA★60-250の方が被写体を印象的にとらえてくれるな、というのがなんとはない感想だが、クリアで解像力が安定しているのはDFA70-210の方かもしれない (すでに手元にDA★60-250がないので詳しく比較できないが)
使い勝手の面ではズームレンジはDA★60-250の方が広いものの、接写性能が高いDFA70-210の方が総合的には便利かなと思う。
このレンズに関するメモ
電磁絞りのため古いボディでは利用できない
2013年発売のK-3、K-50以降のボディでないと使えないので注意。
対応ボディのはずなのに使えない場合はファームウェアのアップデートを。
APS-Cでの利用
軽量なのでAPS-C機とのマッチングも良好。
換算約107mm~322mm相当と言うことで中望遠の範囲が削られるため汎用性は落ちるが、超望遠の入り口までカバーするようになるので純粋な望遠用途ではプラス。
望遠が長くなるのに応じて被写体を大きく写す能力も高まり、最大撮影倍率は0.48倍相当とハーフマクロに迫る。
画質面ではフルサイズでも安定しているレンズなので何の心配もない。
ベースはタムロンのA034
多分コーティングの変更などのチューニングは施されている。
素晴らしいレンズだがもとがタムロンということで長い期間使った際の耐久性だけちょっと懸念がある。
関連用品
フィルター
67mm径。
汎用的に使えるレンズなので用途に応じて備えておきたい。
テレコン
HD DA AF REAR CONVERTER 1.4X AWを使用することで98mm-294mm F4のレンズ相当となる。
APS-Cでは約150mm-450mm F4ということで、ズームレンジ的にはフルサイズでDFA150-450を使うのと同じ感覚で使える。しかもすごく軽い。
ただ例によってフルサイズでは周囲が微妙にケラレて使えない。
あとテレコンつけると全長が限界突破して若干携帯性が微妙になってしまうのがアレです。