HD PENTAX-D FA MACRO 100mm F2.8 AW
リニューアルでさらに描写性能を高めた中望遠マクロ
- フルサイズ用
- ミドルグレード
- 中望遠レンズ
- マクロレンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- クイックシフトフォーカス
- HDコーティング
- SPコーティング
- 防塵防滴
- 円形絞り
- 焦点距離100mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF32
- 絞り羽根枚数8枚
- レンズ構成8群10枚
- 最短撮影距離0.303mm
- 最大撮影倍率1.0倍
- 最大径65mm
- 全長80.5mm
- 重量348g
- フィルター径49mm
外観はほぼそのままに光学系の刷新とコーティングの変更でリニューアルした中望遠マクロ。
相変わらずマクロ域だけでなく遠景までしっかりと映るので、万能の中望遠レンズとしても使い勝手が良い。
Kマウントのマクロレンズとしては最新のもので、それゆえに最も描写性能が高いと思って間違いない。
- 開放からシャープでクリアな描写力
- パープルフリンジが出にくい
- マクロ以外の用途にも使え、万能の中望遠レンズとして使い勝手が良い
- フォーカシングで伸びる鏡胴をジャストフィットに隠してくれるフード
- ピントリングの回転角が広いためAFが迷うとかなり遅い
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
smc版と同じく解放からシャープでクリア。より線が細く、描写はきめ細かくなっていて、近接の質感描写がたまらなく素晴らしいほか、遠景も解像感高く良く写る。
F11くらいから回折による画質低下が出てくるので、被写界深度が問題なければF8くらいまでで使うのが良い。
ボケ味の美しさも文句なしで、やはりF5.6までは円形絞りのため玉ボケが角張らない。
逆光耐性はsmc版の頃からかなり高かったが、HD版はさらにそれが高まっている。夕日や夜景でもゴーストやフレアーに悩まされることはまずない。
またsmc版では厳しい条件でもなんでもないのに出ていたパープルフリンジがほぼ出なくなった。現像処理で対処できるRAWはともかくJPEGだと割とどうしようもない面もあったのでこれはうれしい。絶対に出ないわけではないが、かなりよく抑えられていると言った印象。
使い勝手
中望遠レンズはこれ一本でいいというくらいに幅広い使い勝手を持つ。
マクロレンズとしての近接性能はもちろん、スナップから遠景まで何の問題もなく対応することができる。
等倍撮影でもワーキングディスタンスが13cmと広く取れるため、マクロとして気軽に使いやすい。最近の機種ほどボディ内手振れ補正が強力なので手持ちマクロもやりやすくなっている。
マクロ域ではよくMFをすることもあるが、ピントリングのトルクが軽快で程よく快適。クイックシフトフォーカスのおかげでAF/MFの切り替えを意識せずにすむのはけっこう助かる。
マクロ域での細かいピント合わせのためにピントリングの回転角を広く取っているため、AFが迷ってしまった場合はその最短から無限遠までの往復で数秒待たされることになる。これはマクロレンズの宿命なので仕方ないと言えよう。
だが大抵の被写体では迷わず決まる。そして迷わなければ十分に高速で、実際使っていてストレスは感じることはあまりない。
防塵防滴とSPコーティングのおかげでラフな扱いができるのはフィールドでのマクロ撮影にはうれしい。
フォーカシングによって鏡胴が伸びるが、フードが伸びた鏡胴をピッタリと隠してくれるため、インナーフォーカスのレンズを使っているような感覚。よくできている。
携帯性
中望遠マクロと思えないほど良好。
他社の90~105mmのマクロレンズはミラーレス用でもかなり大きいままなので、この100mmマクロのコンパクトさは特筆に値する。
総評
満足度は110点。
マクロレンズとしても中望遠レンズとしてもより高いレベルに至った一本。
Kマウントのマクロの新定番と言える。
smc版と外観はほぼそのままだが、光学性能や画質の解像感などは明らかに向上していて、コーティングと光学系の変更がかなりいい仕事をしている感がある。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8
外観がほぼ同じの旧版。描写性能はHD版に劣るが、十分に満足の行くものを持っているので、価格を抑えたければアリ寄りのアリ。
2023年11月現在でまだ新品で買えるところもあり、また中古の玉も多い。
画質を重視するならHD版の方が良い。使っていて実感できる差がある。
線の太さからパッと見smc版の方がシャープに見えるときもあるが、線の細いHD版の方がおおむね良い画質で解像感や質感がよく出る。
あと同じものを撮って比較して気がついたが、smc版は色味がマゼンダに寄ることがある。それはそれでいい雰囲気が出たりもするので良し悪しだが、HD版の方がよりニュートラルな色味と言えるかな。
すでにsmc版を持っている人が買い換えるか否かの判断基準についても、コスパを取るか画質を取るかみたいなかんじ。
smc PENTAX-D FA Macro 50mm F2.8
フルサイズ用の標準マクロレンズ。
この50mmもなかなかいい描写をするのだが、単純に光学性能では最新の100mmには劣る。そこを重視するならHD版100mm。
また使い勝手ではワーキングディスタンスを大きく取れる100mmの方が、気軽に使うマクロとしてはいいかなと。
一方で汎用性の高さで言えば画角的に50mmの方が良い。
絞り環がある、というマニアックなアドバンテージもある。
携帯性に関しては50mmの方が一応より小型軽量ではあるが、気にするほどには変わらない気がする。
HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited
APS-C用の標準マクロレンズ。
100mmマクロはAPS-Cで使うと換算だいたい150mmの望遠マクロになってしまうため、汎用性の点ではやや劣る。
一本つけっぱなしで自由自在にいろいろ取りたいというならHD DA35リミの方がオススメできる。
一方でマクロ用途を重視するならこのレンズは本当にギリギリまで寄らなければ等倍撮影できないので、それならば100mmの方が使いやすいかな。
このレンズに関するメモ
限定シルバー
シルバーバージョンが限定300本で先行販売された。
ペンタックスだしと舐めていたら見事に出遅れて買えず。即日完売で予約開始の日の夜にはもう手遅れだった。
個人的にはこのサイズのレンズは黒でいいかなと思っていたのでダメージは少なかったが、舐めていて本当にすまんかったと思った。
フォーカスリミッター
K-1/K-1II/K-3IIIをきちんとファームアップしているとフォーカスリミッターを使うことができる。
フォーカスレンジを遠距離側にすると70cmくらいから無限遠、近距離側にすると最短から1mくらいの範囲にリミッターがかかる。
ただ超望遠だとうれしいけど、これくらいのレンズだと必ずしも欲しいものではないかなという気がする。特に散歩レンズとして使っていると、近くのものも遠くのものもまんべんなく写すので、有効活用は難しい。
とは言え、シーンによってはうまく使えるかもしれない。あって困るものではないしね。
関連用品
フィルター
49mm径のフィルターは多くのリミテッドレンズと共通なので使い出がある。
PLフィルターがあると水面越しに水中の撮影をするなど、撮影のフィールドが広がる。
三脚
きっちり撮る時は三脚が楽。マクロ撮影は手持ちだと体勢が苦しくなることも多く姿勢がなかなか安定しないので。とか言いつつ三脚立ててマクロ撮影したことほとんどないけどね!
三脚を使うならミニ三脚が手頃で良い。一眼レフ用のものが各社から出ている。
一脚
三脚までいかずとも一脚があるだけでも大分安定する。自由雲台とセットで使えばなお可。
ベルボンのウルトラスティック スーパー8とか携帯しやすいしマジオススメ。