HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR
画質と使い勝手が高いレベルでバランスした標準ズーム
- APS-C用
- ミドルグレード
- 標準レンズ
- ズームレンズ
- AF
- DCモーター
- クイックシフトフォーカス
- インナーフォーカス
- HDコーティング
- SPコーティング
- 円形絞り
- 簡易防滴
- 焦点距離16-85mm
- 最小絞りF3.5
- 最大絞りF22-F38
- 絞り羽根枚数7枚
- レンズ構成12群16枚
- 最短撮影距離0.35mm
- 最大撮影倍率0.26倍
- 最大径78mm
- 全長94mm
- 重量488g
- フィルター径72mm
使い勝手のいい標準ズームを求めてゲットした一本。
描写も含めて期待通りの働きをしてくれる優れた標準レンズ。
- 堅実で安定感の高い描写性能を持つ
- 超広角から望遠までをカバーする汎用性の高いズームレンジ
- クォーターマクロを超える最大撮影倍率で簡易マクロ的な使い方もできる
- F値が暗いのが少し惜しい
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
開放からしっかりとしたシャープさとコントラストを発揮。少し絞ればさらに締まってクリアな写りとなる。
絞るとややカリカリ過ぎるかな?と思うこともあるが、シャープでクリアな描写が欲しければこのレンズは申し分ない。
さすがに開放の周辺解像にはやや甘さも見られるが、F8からF11程度まで絞れば何の問題もない。従来の標準ズームは絞っても周辺の弱さが目に付いただけに、これは隅々まできっちり写したい時には頼もしい。
前述のシャープさとも相まって風景写真に非常に向いたレンズと感じる。
ボケに関しては意外にも滑らかでいいボケ味をしていて、丸ボケの輪郭が少々硬く見えることはあるが、そうした癖が出なければ円形絞りのため自然なボケが得られる。
逆光耐性に関しては光源を入れるとゴーストが出ることがあるが、小さく抑えられており激しくは出ない。フレアによるコントラスト低下なども目立たず基本的には逆光に強いと言っていい。
夜景でフレーム内に複数の強い光源があるなどシビアなケースでは少し気になるが、ほとんどの状況では何の心配も感じない。
歪曲に関しては広角端で樽型、望遠端で糸巻き型になるが、どのレンジでも極めてよく抑えられており、周辺に直線的なものを持ってきてもわずかに気になる程度。
周辺部の色収差に関しては広角端でもわずかなもので、これも十分に良く補正されている。
ほか粗を探せば広角端の開放で周辺減光が目に付くが、それも一段絞れば解消するので、実際に使う上では大した問題にはならない。
目立った癖もなく実に優等生なレンズと言える。
使い勝手
何よりもまず広角端の16mmスタートが非常に大きく、狭い林間の道や見通しよく開けた場所など、アウトドアで超広角が欲しくなるシーンにもしっかり対応できる。
望遠端の85mmも標準レンズとしては十分な長さで、超広角の入り口から望遠の入り口までをしっかりとカバーする魅力的なズームレンジ。
最大撮影倍率も0.26倍とクォーターマクロのレベルで、望遠端で寄れば被写体をかなり大きく写せる。
ズームレンジと合わせて考えると非常に汎用性が高い。
それに加えて簡易防滴にSPコーティングといった仕様を備えており、アウトドアや旅などのシーンで一本付けっぱなしのレンズとしてまさに理想的な使い勝手を持っている。
DCモーターによるAFは静かで高速。
もちろんクイックシフトフォーカス対応でMFの感触も悪くない。
携帯性
通常の標準ズームとしてはやや長めのレンズだが、それでもK-3に装着してフード順付けにした状態で20cmを超えない長さなので、カメラバッグへの収納性は悪くない。
重さ的にも一眼レフのレンズとしては特に重いわけでもなく、携帯性はまずまずと言えるだろう。
総評
F値は凡庸だが安定した描写性能と使い勝手を備えたバランスのいい標準ズーム。
簡易防滴かつレンズ交換無しに幅広いシーンに対応することができるため、旅やハイキングのお供に頼もしい。
現行のAPS-C標準ズームでは最もオススメの一本。
満足度は100点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-DA 18-135mm F3.5-5.6 ED AL[IF] DC WRとの比較
レンズの価格から見るにミドルクラスとエントリークラスの違いがあり、画質にも相応の違いが見られる。
広角重視、画質重視ならDA16-85、望遠重視、携帯性重視、価格重視ならDA18-135だろうか。
DA16-85の優れている点
- 広角端が16mmと広い
- 最大撮影倍率が高い(0.26倍 vs 0.24倍)
- 最短撮影距離が短い(35cm vs 40cm)
- 画質が高い
DA18-135の優れている点
- 望遠端が135mmと長い
- サイズが小さい(73mmx76mm vs 78mmx94mm)
- 軽量(405g vs 488g)
- 価格が安い
- 逆光に極めて強い
ズームレンジに関して言えば広角16mmスタートの方が望遠端の135mmよりも正直言って魅力的だ。
望遠が足りないのはその気になればトリミングでも何とかなるが、広角が足りないのはそうは行かないので。
画質の差に関しては基本的にDA16-85の方が一皮むけたかのようなヌケの良さ。
DA18-135にHDコーティング版が出たらどうなのだろうか、などどちょっと気になる。と言いつつも広角端の弱みが大きく改善されるとも思えないので出る可能性は低いかな。
smc PENTAX-DA★16-50mm F2.8ED AL [IF]SDMとどちらにすべきか
描写力はDA16-85も十分以上の写りで安定した光学性能を備えているが、贅沢を言えばきめの細かさや繊細さといった面では若干物足りないものがある。そういった点で周辺が甘くても、ボケ味に癖があっても、やはり魅力的な写りをするのはDA★16-50かなと。
しかし隅々までシャープに写したい風景写真などではDA16-85の方がいいという向きもあるかもしれない。
使い勝手はDA16-85の方が確実にいい。ズームレンジの広さに加えて最大撮影倍率も高い。
防塵防滴はDA★16-50の方が優れているが、よほど過酷な環境でなければDA16-85の簡易防滴でも足りるだろう。
F値の違いに関してはDA★16-50もF5.6くらいまで絞らないと描写が安定しないので、F2.8の優位もそれほどではない。
携帯性ではDA16-85の方が若干いい。
長さ的にはさほど変わらないが、太さに関してはDA★16-50はフードも含めるとかなり幅広になるのでそこそこ違いを感じる。
というわけで総合的なバランスではDA16-85の方がかなり良い。
正直描写力以外でDA★16-50を選ぶ理由はない。
このレンズに関するメモ
フルサイズ機での利用
利用不可。
ズーム位置フォーカス位置に関係なく円形にはっきりと黒くケラレる。
大人しくクロップで。
幻のスターレンズ
2012年のKマウントレンズのロードマップに同じズームレンジのレンズが登場した時はスターレンズだった。
しかし後のロードマップ更新でスターの冠は外れてしまった。
16-85 F4で開放から素晴らしい描写を見せるレンズだったら夢のようなレンズだったが残念。
メンテ&使用記録
売却 2016/08
標準域はフルサイズに任せると言うことでドナドナ。
タイミング的に使用期間は短かったが、良いレンズだった。
関連用品
フィルター
ペンタックスのレンズとしては珍しい72mm径。
一応Sigma 18-35mm Artと同じ。
画質的に風景写真にはかなり向いているのでPLフィルターやNDフィルターの使い手もありそう。
F値の変化 | |
---|---|
16mm | 3.5 |
21mm | 4.0 |
31mm | 4.5 |
68mm | 5.6 |
85mm | 5.6 |