HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR RE
旅に最適な高性能コンパクト超望遠ズーム
- APS-C用
- ミドルグレード
- 望遠レンズ
- ズームレンズ
- AF
- PLM
- クイックシフトフォーカス
- パワーフォーカス
- 簡易防滴
- SPコーティング
- HDコーティング
- 円形絞り
- 電磁絞り
- 焦点距離55-300mm
- 最小絞りF4.5-F6.3
- 最大絞りF22-F32
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成11群14枚
- 最短撮影距離0.95mm
- 最大撮影倍率0.3倍
- 最大径89mm
- 全長76.5mm
- 重量442g
- フィルター径58mm
価格に比して描写力が高く、使い勝手も良好な、万人にオススメできる中堅の超望遠ズーム。
沈胴機構の携帯性に加えて簡易防滴もついており、旅やアウトドアに最適のレンズでもある。
またKマウントのレンズで始めて採用されたPLMによるAFが極めて高速。
電磁絞りのためK-3より前の古いボディでは使えないという制約はあるものの、非常に優れたレンズと言える。
- 高解像力で開放からピークに近い性能
- 沈胴機構によりコンパクトに収納できる
- PLMによる極めて高速かつ静粛性の高いAF
- クォーターマクロを超える優れた接写性能
- 電磁絞りのため古いボディで使うことができない
- 沈胴した状態からレンズを伸ばすのが若干面倒
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
とにかくヌケが良く、ミドルクラスのレンズとしては突き抜けた性能。
沈胴式のギミックが入ったレンズなので画質はそこそこ、なんて妥協からは程遠い。
開放からシャープで高コントラスト、フレームの隅々まで高い解像力を発揮する様は既存のハイグレードのレンズと比べても遜色がない。解像力は開放からすでにピークに近く、被写界深度さえ足りていればほぼ絞る意味がないのではと思ってしまうほど。
色ノリや階調もしっかりと出て、被写体の細かな質感まで描き出す魅力的な描写となっている。
ボケ味はまずまず。背景次第ではやや硬いかなと思われることもあり、また前ボケがややうるさくなりがちではあるなど気になる面はあるが、おおむねは問題なし。
F値的にはぼかしにくいレンズだが、寄れる超望遠という特性を活かせば十分にボケを楽しむことができる。
収差に関しては色収差も歪曲も良く抑えられていて気にならない。
逆光耐性も良好で、かなり安定した光学性能を持った扱いやすいレンズと言える。
使い勝手
何と言ってもPLMによるAF性能の向上が目覚ましい。
最短から無限遠までフォーカスを移動させても一瞬でスッと合焦し、動作音もほぼ無音に近い。これは従来のペンタックスのレンズと比べると感動的ですらある。
MFも軽くスムーズな動作で、風景撮影時にライブビューでピントを追い込むのにクイックシフトフォーカスも便利。
本体の電源がOFFの時はMFも動作しないのでMF時もモーターでフォーカス制御されているのだと分かるが、そうでなければ通常のレンズのMFと区別がつかないほどに違和感がない。
中望遠から超望遠までをカバーするズームレンジ、クォーターマクロを超える高い接写性能、簡易防滴など、従来のHD DA55-300が持っていた汎用性はPLM版にも受け継がれており、一本で様々なシーンに対応することが可能。
加えて沈胴機構による携帯性の向上で、旅やアウトドアなどにうってつけのレンズとなっている。
ズームによってかなり鏡胴が伸びるが、軽量なレンズなので一番延ばした状態でもハンドリングは良好。
あえて難を言えば沈胴した状態からレンズを伸ばすのが若干面倒なことくらいか。
携帯性
HD DA55-300に比べるとわずかに鏡胴の太さが増しているが、沈胴機構により短く収納できるようになったため、携帯性は大幅に増している。
ペンタックスの望遠レンズとして最小のDA50-200に比べると一回り大きいが、その代替として見ても十分な携帯性。
総評
PLMや電磁絞りの採用など今後のKマウントレンズを占うスペックが搭載された興味深いレンズ。
加えて沈胴機構とギミックばかりに目が行っていたので、実際に使用してみての描写力には驚かされた。
AFも極めて高速でこの描写力。
APS-Cでの主力の望遠ズームとして使って行ける。正直コストパフォーマンスも高い。
満足度は100点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
HD PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 EDと比べて
描写の細やかさとAF速度が劇的に向上した。
実際に使ってみるとそのインパクトは沈胴機構や電磁絞りの採用といった大きなスペックの変化がオマケに思えるほどだ。
異なる点は以下の通り。
全体的な解像力の向上
PLMによりAFが劇的に高速かつ静粛に
沈胴機構により携帯性が向上
若干の軽量化
最大撮影倍率が0.28倍から0.30倍に向上
F値がわずかに暗い
ボケ味は割と普通に(個人の感想です)
若干太い
電磁絞りにより新しめのボディでないと使用不可
電磁絞りの採用
帯の色が緑に戻った
対応ボディを持っていない場合、もしくはボケ味の方を重視したい場合には旧来のHD DA55-300を。
そうでないならばPLM版を選んでおけば間違いはない。
スターレンズと比べて
高解像でヌケの良いという面ではDA★50-135やDA★60-250といったDAスターレンズに肉薄する。旧来のHD DA55-300で感じていたような物足りなさも皆無。
明るいF値が不要ならばAPS-C用の望遠ズームはDA55-300 PLMでいいのではと思われるほどだ。
実際、旅の撮影に重いスターレンズを持っていく必要はなくなったと感じている。
ただF値も望遠レンズには重要な要素であるし、ボケ味を含めた総合的な描写力もスターレンズの方がさすがに上。
ちなみにDFA★70-200は別格なので比較対象とならない。
このレンズに関するメモ
Kマウントレンズ初の電磁絞りの採用
このレンズは電磁絞り採用のため対応ボディは比較的新しいものに限られ、発売時点ではK-1、K-3II、K-70、K-S2、K-S1となっているので注意。のちにK-3とK-50もファームアップで対応した。
電磁絞りのメリットとしてはまず従来の機械絞りよりも細かな制御がしやすいということがあり、ひいてはメカ部分が単純化するため耐久性やコスト、設計自由度の面でも優れるとのこと。
旧来のボディを切り捨てることで既存のユーザーにどれくらいのインパクトがあるのか、という点は気になる。
しかし従来複雑だったものがシンプルに実現できるようになる、と言うことで今後開発スピードやコスト面で他社と競争していくためには必須の技術なのではなかろうか。
なおレンズ交換式カメラの業界全体で見るとすでに電磁絞りが主流で、現在でも機械絞りのレンズを開発しているのはすでにニコンとペンタックスのみとなっている。
フルサイズ機での利用
従来のDA55-300と同様に広角端の55mmと150-300mmあたりではケラレは見られないか軽微。
70mmから100mm付近では思いっきりケラレる。
シーンによってはケラレや周辺減光が効果的とは言え、普段は無理せずAPS-Cクロップで使うのが無難。
個人的には高感度が欲しくてK-1に付けて使うことも多いが、ほぼAPS-Cクロップで使っている。
関連用品
フード
フードもコンパクトで携帯性を損なわない。
なお旧来の55-300のフードも装着可能だが、太さの違いゆえに逆さ付けはできない。
DA55-300 PLMのフードを旧来の55-300に使用する分には逆さ付けも問題ない。
ステップダウンリング
58-49のステップダウンリングが使える。
口径が狭くなる分露出が稼げなくなるが、NDフィルターを使うような状況ではむしろ好都合かもしれない。
フィルター
旧来のDA55-300と変わらない58mm径。FA31やDA★55等使い回しが効くので良い。
手持ちに49mm径のレンズが多ければステップダウンリング、67mm径、77mm径のレンズが多ければステップアップリングを使ってそれらとフィルターを共用する手もある。
ステップアップリング
67mm径や77mm径のレンズと組み合わせて持って行く場合は、58-67や58-77のステップアップリングがあればフィルターを共用できる。
テレコン
HD DA AF REAR CONVERTER 1.4X AWとの組み合わせで77mm-420mm F6.7-F9.5相当のレンズとなる。
軽く試した限りではAFも問題なく合焦し、電磁絞りの動作にも問題ない。
子細には見ていないが画質にも大きな問題はなさそう。
HD DA AF REAR CONVERTER 1.4x AW
F値の変化 | |
---|---|
55mm | 4.5 |
150mm | 5.6 |
300mm | 6.3 |