Sigma 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM Contemporary
簡易マクロもこなせるオールラウンドな標準ズーム
- APS-C用
- エントリーグレード
- 標準レンズ
- ズームレンズ
- AF
- HSM
- 円形絞り
- 焦点距離17-70mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数7枚
- レンズ構成14群16枚
- 最短撮影距離0.22mm
- 最大撮影倍率0.357倍
- 最大径79mm
- 全長82mm
- 重量465g
- フィルター径72mm
シグマのContenporaryラインも試してみたくてゲットした一本。
描写良く簡易マクロとしての役割も果たし、幅広い使い方ができる標準ズームレンズ。
- 基本的に開放からシャープで信頼性のある写り
- 広角から長めの中望遠までをカバーする使いやすいズームレンジ
- 簡易マクロと呼べるほどの接写性能
- USB DOCKによるピント調整やファームアップが可能
- 広角端のみ開放が甘い
- フルタイムマニュアルに対応していない
- 自重で鏡胴が伸び縮みする
- ピントリングをホールドするとAFが効かない
- 純正レンズとズームリングの方向が逆
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
広角端以外は開放からシャープで実用的な性能を発揮。
絞ることでさらに締まった描写となり、広角側ではF5.6、望遠側ではF8あたりがベストの解像力。F11まで絞ると回折の影響が出てくる。が、四隅まで安定させるならF11くらいまで絞った方がいい結果になることも。F16まで絞ると回折の影響が大きく、開放よりもぼんやりとした描写になる。
広角端の開放はやや柔らかく、甘いと感じることも少なくない。ピントの問題かと思いいろいろ試したが残念ながらそうではなかった。
とは言え一段絞れば問題なくなるのでF4通しのレンズとして考えれば気にならない。
ボケ味は若干硬く感じることもあるものの、おおむねきれいにボケてくれる。
おかげで簡易マクロとしての性能も活かしやすく、クローズアップ撮影での表現力もなかなかのもの。
逆光耐性はまずまず。極端な逆光ではゴーストが出ることがあるが、ほとんどのケースでゴーストやフレアは問題にならない。
ゴーストは絞るほどによりクッキリとした大きなゴーストになるので、絞りを開けて軽減するという手段を知っておくと回避できる場面もあるかもしれない。
周辺減光は開放では大きめで、隅がケラレているように見えることもあるほどだが、少し絞ればほとんど気にならなくなる。
色収差に関しては望遠側ではまず気にならないが、広角側ではやや目に付くことがある。絞ることで軽減されるが周辺部にかけてはさほど解消されないことも。それが時に周辺の画質低下を招く一因になることがある。
歪曲も広角端でやや大きく、直線的な被写体では目立つ。一方ほかのズームレンジではほぼ問題ない。
以上のように光学性能的にはいくつか欠点もあるが、このクラスのズームレンズとしては納得のいく性能で、強い不満はない。というかむしろ満足。
使い勝手
換算25.5〜105mmとなる17-70mmのズームレンジは広角から長めの中望遠までをカバーしており、標準ズームとしてはまずまず使いやすい。
開放からおおむね実用的な性能で、ボケにも強い癖がないため気軽に扱いやすい点も良い。
さらに簡易マクロとしての役割もこなせるなど、オールラウンドな使い勝手を持っている。
簡易マクロとしての性能は最短撮影距離が22cmで最大撮影倍率が約0.36倍というもので、標準ズームとしては間違いなくトップクラス。おかげで望遠端ではかなり被写体を大きく写すことができる。広角端でも広角マクロとして面白い表現をすることができ、F2.8の開放F値を利用すれば広角でも背景をだいぶ溶かすことができる。
AF速度は十分に速く、精度ともに問題なし。
フルタイムマニュアルでないのは機能性として若干マイナスで、AFとMFの切り替えにはスイッチを使う必要がある。
MF時のピントリングの動作はスムーズだが、感触はチープ。MFは重視してないんだなあという印象。まあそれはそれで正しい割り切りかと。
ズームリングの回転方向が純正と逆なので、それが気になる人は気になるかもしれない。
個人的にもいつも使い始めは慣れるまで時間を要する。が、しばらく使っていれば慣れるので大きな問題には感じない。
明確な難点は自重でズーム位置が動いてしまうこと。
鏡胴を一番縮めた状態(広角端)では伸びないが、それ以外のポジションではレンズの先端を下に向ければ伸び、上に向ければ縮んでくる。これによってローアングルやハイアングルでの撮影をしていると勝手に焦点距離が変わってしまうことが多々ある。
またAF時にピントリングが回るレンズのため、ピントリングのあるレンズ先端を抑えるようにホールドしているとAFが動かないという問題がある。
AFとピントリングが同様の動作をするレンズはあるが、このレンズの場合はそれほど強くホールドしていなくてもAFが効かないので気になってしまう。(DA12-24などは軽く抑えた程度の状態でAFすると指の皮を削るような勢いでピントリングが回る)
携帯性
旧型に比べ一段小型軽量に。
同じクラスの標準ズームレンズと比べても小さめで携帯性は良好。
総評
キットレンズからのステップアップに最適のレンズのひとつ。
描写力ならびにズームレンジや接写性能などの使い勝手も向上し、撮影の幅を広げることができるはず。
描写に関してはもちろんArtラインには及ばないが、Contemporaryでもこんなに良く写るのか、というポジティブな評価。ここまで写ればほとんどの状況で満足の行く画質。
しかしながら自重によるズームが煩わしく、気合いを入れた撮影に持ち出す気にはなれない。
ちなみにレビューを色々見ると人によって広角側がいいとか悪いとか意見が分かれるレンズなので、もしかすると個体差(もしくは期待差かもしれないが)がけっこうあるのかも。
満足度は85点。
描写は気に入っているのだが、使い勝手でかなり減点になってしまった。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-DA 17-70mm F4 AL[IF] SDM
スペック的に競合する純正レンズ。
DA17-70もミドルクラスのF4通し標準ズームとしてなかなかのレンズで、描写力的には拮抗するものを持っている。
接写性能をかなり高いが持っているが、シグマの17-70の方が若干大きく写せる。また携帯性もシグマが上。
しかしDA17-70は自重でのズームが起きないので圧倒的に使いやすい。
あとは純正の安心感を取るか、サードパーティのコストパフォーマンスを取るかといったところが判断基準だろうか。
HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR
使い勝手的にはF値は暗くなるがズームレンジが広く、特に広角端の1mmの差は割と大きい。
また簡易防滴がついていて、ペンタックスの防塵防滴ボディの性能を活かせる。
接写性能や携帯性ではシグマの17-70の方が上。とは言えDA16-85もそのあたりはまずまず良好で不足はないが。
画質に関しては、等倍で比べるとシグマの17-70の方が解像力ではやや上かなと思われるが、DA16-85の方がクリアかつメリハリがあり、性格の違った描写を見せる。
いずれにせよ価格差を考えるとシグマの17-70の費用対効果は素晴らしい。
旧型のシグマ17-70との比較
基本的に解像力などは向上。携帯性も向上。
とは言え全体としてみるとそこまで大きな差でもないようだ。
旧型はすでに中古で入手するしかないが、安価で玉数もそこそこ多いので入手性は悪くない。
また旧型はOS付きがあるので、レンズ内手ブレ補正にこだわって旧型を選ぶのもひとつだろう。個人的にはレンズ内手ブレ補正でトラブった思い出が多いのでOSはナシで良い。(トラブルはシグマレンズの話ではなくN社やT社のレンズでのことだが)
このレンズに関するメモ
不具合
初期のファームウェアだとボディ内手ブレ補正使用時にブレが増幅するという不具合あり。
ファームアップで解消される。
2015.01.23 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM | Contemporary ペンタックス用をご愛用のお客様へ
フルサイズ機での利用
利用不可。
ズーム位置フォーカス位置に関係なく円形にはっきりと黒くケラレる。
メンテ&使用記録
USB DOCK購入 2015/08
上記不具合の情報を見てファームアップを試みたがすでに最新(ver1.1)であった。
ドナドナ 2016/08
フルサイズも出て本格的に出番がなくなったのでドナドナ。
自重ズームを除けばかなり満足度の高いレンズだった。
関連用品
フィルター
割とレアな72mm径。
PLフィルターがあると被写体を色鮮やかに写せる。ガラスや水面の反射除去などにも。
日差しの強い日中は露出過剰で開放絞りが使えないケースがあるのでNDフィルターがあるといいかもしれない。
USBドック
ピント調整やレンズのファームウェアアップデートなどが自宅で可能となる便利アイテム。
ピント調整では撮影距離および焦点距離ごとの調整などボディ側のAF微調整よりも高度な調整ができる。
利用機会は少ないが手元でファームアップできるのはなかなか便利。
F値の変化 | |
---|---|
17mm | 2.8 |
23mm | 3.5 |
45mm | 4.0 |
70mm | 4.0 |