Sigma 24-70mm F2.8 IF EX DG HSM
際だつシャープネスが特徴的な大口径標準ズーム
- フルサイズ用
- ハイグレード
- 標準レンズ
- ズームレンズ
- AF
- HSM
- フルタイムマニュアル
- 円形絞り
- 焦点距離24-70mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数8枚
- レンズ構成12群14枚
- 最短撮影距離0.38mm
- 最大撮影倍率0.18倍
- 最大径88.6mm
- 全長94.7mm
- 重量790g
- フィルター径82mm
アウトレット価格に釣られて手が出た一本。
自分とは相性が合わなかったかんじかと思いきやそうでもなかったレンズ。
- 解放からシャープで解像力が高い
- 素晴らしいボケ味
- クォーターマクロ相当の接写能力
- ボケがやや硬め
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
素晴らしいシャープネスが特徴的。
中央は開放からシャープで、周辺はAPS-CではF8まで絞ればしっかり解像する。絞ったときの安定した解像力は単焦点と遜色なし。もちろんハイエンドの単焦点には及ばないが、かなり高いレベルにあると言っていい。
フルサイズでは使ったことがないが、各所のベンチマークでは絞っても周辺の解像は芳しくない模様。とは言えベンチマークは悪くても実写では問題ないケースもあるので実際試さないことにはなんとも言えないが。
色収差はよく抑えられておりクッキリハッキリした傾向の描写。
シグマらしい寒色系の色乗りは個人的には物足りなく感じることもあるが、青空や濃い緑などはきれいに写る気がする。
ボケ味に関しては円形絞りなのはよいが後ボケがやや硬めで重くうるさい傾向。
開放では特にその傾向が強く残念な気持ちになることも少なくない。特に玉ボケは金属的な何かが存在しているかのように見えることも。
もっとも背景によっては問題なくきれいにボケるし、絞れば癖も大分和らぐなど、使いこなし次第ではなんとか。
逆光耐性はフレアは良く抑えられておりまずまずだが、ゴーストは色濃く出る。
使い勝手
本来の24mmから70mmの焦点距離は超広角の入り口から中望遠の入り口までをカバーする汎用的なズームレンジ。広角端が24mmまであると広角レンズにレンズ交換する頻度が減るので良い。
APS-Cでも汎用性は落ちるものの準広角から中望遠の使いやすい画角をカバーする。
最短撮影距離も38cmで最大撮影倍率は0.18倍とまずまず。
APS-Cでは十分に被写体をクローズアップできるが、しかしフルサイズではやや物足りないかもしれない。
フォーカシングでの画角の変化がやや大きく、近距離の被写体が小さめに写る傾向がある。
AFはHSMで静かで精度にも特に問題は感じない。強いて言えば暗所にやや弱い傾向はある。これはボディとの相性かもしれない。
ピントリングは適度な重さで回す感触も心地よく、明るいレンズのためピントも掴みやすいのでMF操作が楽しい。それもあいまってフルタイムマニュアル対応がありがたい。
携帯性
重さはフルサイズ用の大口径標準ズームとしては標準的なもの。太さがかなりあるため実際よりもデカいという印象を受けるが、長さを抑えてあるため内寸の高さ20cm程度のカメラバッグにもK-5本体に装着しフードを付けた状態ですっぽり収まる。
携帯性が良いとは言わないが個人的にはそれなりのバッグがあれば苦にならず持ち歩ける。短さが良い。
総評
高い解像力が強みのレンズ。とにかくシャープに写る。
フルサイズでは周辺がイマイチと言われているが、少なくともAPS-Cではそんな問題はみじんも感じさせない。
しかしせっかくの大口径なのにボケに癖がある点は惜しい。
満足度は90点。
ボケの傾向が気にならずアッサリ目の描写が好きな人にとってはもっと満足度が高いだろう。
すでにディスコンで中古しかないが、もしどこかで見つけた場合は試す価値のあるレンズ。
フルサイズ用の大口径標準ズームとしては収納性もいい方なので、その点を重視する向きにも。
このレンズに関するメモ
APS-Cでの利用
換算37mm〜107mmの準広角から中望遠のズームレンジとなる。
標準ズームとしての汎用性は低下するが、ある程度は広角もカバーできるため、そこまで扱いにくくはない。
AF性能について
点検から戻ってきた後の試し撮りで気がついたが、日陰や蛍光灯の室内など光量条件の悪いところでAFがかなり適当な仕事をするようだ。晴天下やライトで照らしてやるときちんと合う。
それにしても暗所でAFが効きにくくなるのはわかるが、キットレンズですら問題ない程度の条件できちんと仕事をしてくれないというのはこのクラスのレンズとしていかがなものなのか。
ただ曇天や明るい日陰くらいなら問題ないので実用では意外と問題を感じることは少なかった。(皆無ではなかったが)
EXIFのレンズ名
EXIFのレンズ名が「Sigma 70-200 F2.8 EX DG MACRO HSM II」になるのが写真を整理する上で不便だったが、点検から戻ってくるとこの問題はなくなっていた。
おもむろにレンズのファームウェアのアップデートが行われたようだ。
レンズ名に何も記録されなくなっただけなので不便な件は相変わらずだが。
またこれによるボディ側の焦点距離の誤認が原因で手振れ補正が正しく働かず、ぶれ写真を量産するという症状があった模様。点検前の失敗写真の群れはコレが原因だったぽい。
メンテ記録
初回点検 2012/03
購入当初の試し撮りで失敗写真が多すぎたのでこれは流石におかしいと思い点検へ。
特に異常なしということで戻ってきたので釈然としない気持ちだったが、どうやら密かにファームウェアが書き換えられていた。
それによって上記のように問題は解消したようで、以後は素晴らしい性能を発揮してくれている。
売却 2013/10
フルサイズで試すまではと手元に置いておいたが、欲しがる人がいたので譲ってしまった。
関連用品
フィルター
大口径のズームレンズに増えてきた82mm径。
APS-Cで使うならば77mm径へのステップダウンリングを使っても全域でケラレはない。それ以上は落とそうとするとどこまで落とせるのかはちょっとわからない。
フルサイズでステップダウンリングを使うのは無理だろう。