Sigma 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM
オンリーワンの超広角画角を持つとなるズームレンズ
- APS-C用
- ミドルグレード
- 広角レンズ
- ズームレンズ
- AF
- フルタイムマニュアル
- 焦点距離8-16mm
- 最小絞りF4.5
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数7枚
- レンズ構成11群15枚
- 最短撮影距離0.24mm
- 最大撮影倍率0.128倍
- 最大径75mm
- 全長105.7mm
- 重量555g
- フィルター径-mm
純正にない超広角の世界が知りたくて購入した一本。
個性的なだけでなくしっかりとした実力も兼ね備えているレンズ。
- 換算12mmからという他にはない超広角ズームレンジ
- 解像力が高い
- 超広角ズームにしてはコンパクト
- 出目金レンズのためフィルターが装着できない
- 8mmで撮影するとEXIFに焦点距離が記録されない
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
超広角の遠近感は圧巻で、初めて使ったときには広角端の凄まじいまでのパース効果に思わず笑ってしまったほど。広い画角を活かした風景写真はもちろん、接写によるデフォルメ効果など超広角ならではの撮影を楽しむことができる。
それほど明るいレンズではないが接写では背景をぼかすことも可能で、広角にしてはボケ味が素直なので使いやすいと感じる。開放から極めてシャープに写りで、立体感のある描写と相まってなかなか満足のいく写真が撮れる。
逆光耐性は悪くはなく、強い光源構図にしてもわずかに小さなゴーストが出る程度。色鮮やかにクッキリと出て目立つものの、大きくは出ないため、後処理のスポット修正で対処することは容易。
色収差はよく抑えられていて、明暗差の激しい被写体にも安心して使うことができる。この手の超広角にありがちな周辺の流れはさすがに皆無ではないが、気になることは少ない。このあたりの性能は非常に優秀と言える。
なお被写体が四隅に引っ張られるように歪むデフォルメ効果もひときわ強い。例えば正方形の角が引っ張られて平行四辺形になるようなかんじ。そのため正確に写し取るような描写を期待すると場合によっては裏切られる。画面の隅に直線的な被写体を置くと歪曲もそれなりに目立つため、この辺りの特徴は超広角の味と考えて使いこなすのがいいだろう。
シグマのレンズというと中央は素晴らしい解像力だが周辺が甘く寒色が強く出るといった特徴のものが多いが、このレンズは周辺まで安定していて色ノリも良いなどシグマのレンズには珍しい性格をしている。
出目金レンズのためPLフィルターを使うことができないが、青空などは他のレンズでPLフィルターを使ったときと同じくらいに青く写るほどだ。
使い勝手
HSMやフルタイムマニュアル(ペンタックスで言うクイックシフトフォーカス)はやはり便利。
最短撮影距離が短いため、かなり被写体に近づいて接写することが可能な点は良い。ちなみにこの時ファインダーから見るとまだ距離があるように見えても、すでに前玉ギリギリだったりするので前玉を被写体にぶつけないように注意が必要。
前玉が大きくでっぱっているためフィルターが装着できないのは難点。
PLフィルターいらずの色ノリとは言え、NDフィルターが使えないなど撮影の幅は若干狭まる。
また8mmで撮影するとEXIFに記録されないという問題があり、これはレンズのせいと言うよりボディ側の問題だがともかく少々残念。レンズ名も保存されないため、後々整理する時にちょっとだけ不便だったりする。
またズーム全域が超広角のためつけっぱなしでぶらぶら散歩するといった用途には使いにくい。ズームと言っても準広角までカバーする広角ズームや標準ズームのような気楽さはない。
携帯性
デジタル専用と言うことで超広角ズームにしてはコンパクトサイズだが、特に小さいレンズではない。フロントとリアのキャップを含めて長さが約12.5cmとなるため、収納にはそれなりのスペースが必要になる。
必要ならば持ち歩くのも苦にはならないが、気軽な散歩などでは選択肢に入れるかどうか迷う。
総評
満足度は100点。
面白いと言うだけでなく描写性能も優れたレンズ。このレンズがなぜEXレンズじゃないのか不思議なほどで、主力の超広角として使っていける。
ズームレンジの全域が換算12mm〜24mmの超広角使いこなしはなかなか難しい。広角端はもちろん望遠端も超広角の域なので、一本付けっぱなしの運用はしにくい。
が、しかしこの画角は慣れるとやみつきになる。
DA12-24を手に入れたのを機に、いったんは主に携帯性の観点から手放してしまったが、このレンズの提供する超広角が恋しくなったので再入手。
やはりいいレンズだった。
購入に関するアドバイス
いずれにしろ焦点距離8mm(換算12mm)の超広角を味わうにはこのレンズを買うしかないのだが。
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-DA 12-24mm F4 ED AL [IF]とどちらにしようか
どちらも定評のあるレンズだが、DA12-24は望遠端が準広角になるのでつけっぱなしで使いやすいのはDA12-24。12mmよりも広い画角の必要性を感じているのでなければまずはDA12-24の方がオススメ。
その上で12mmが狭いと感じるならばΣ8-16というのが無難な順序。画角の好みは個人差が大きいので正確な答えを出すには使ってみるほかない。
無難よりも面白い方がいいという人は迷わずΣ8-16へ。
またDA12-24は色収差が激しいので、その辺りが気になる場合はΣ8-16の方が良いかもしれない。
ちなみに自分は両方試して一時はDA12-24の方を残した。
画角の好みと携帯性で決めた形。でも今は両方持ってる。
smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED[IF]とどちらにしようか
超広角と魚眼は別物だが、どちらもある意味特殊なレンズなので比較対象になり得る。
面白さではDA10-17の方が上。携帯性もDA10-17が高く、ついでにSPコーティングは接写時には多少ぶつけても平気という安心感がある。超広角らしいパース効果も十二分に得られるため、遠近感の楽しみも得られる。
しかし歪みのないしっかりとした描写が欲しければΣ8-16の方を。魚眼は普通の広角レンズの完全な代替にはならない。
smc PENTAX-DA 15mm F4 AL Limitedとどちらにしようか
比較対象にする人はあまりいなさそうだが、とにかくコンパクトさ重視ならDA15で。いつでも鞄の隅に待機させておける高い携帯性がDA15の強み。
解像力など描写性能はΣ8-16の方が高い。
こういう人にはおすすめ
- 高い描写力を持った超広角を探している人
- 遠景撮影のメインレンズを探している人
- 接写が大好きな人(HSMで静かなので動物の接写にもよい)
こういう人は買わない方が良い
- サイズが許容できない人
- フィルターを多用する人
- 気楽に付けっぱなしで使える広角ズームを探している人
このレンズに関するメモ
フルサイズ機での利用
フォーカス位置に関わらず8mmから12mmまではファインダー内に黒枠が見えて利用不可。
14mmから16mmにおいては強めで濃い周辺減光のようなケラレ方で、状況によっては許容範囲だろうか。
ただし絞るほどケラレが濃く目立つようになる。普通に使えるとは言い難い。