pentax memo

RAW現像について

自分なりのRAW現像のやり方や手順、心がけていることに関してざっくりメモ。
あくまで自分が現在実践しているやり方なのでベストプラクティスと言うわけでもない。1年くらい経つとまたきっといくらか変わっている。

使用ソフトがLightroomなので具体的な調整項目などはLightroom準拠。

最終更新: 2019-08-28

1. 素材重要

RAWがJPEGに比べて大幅な調整に耐える、とは言っても限度はある。
やり過ぎると描写が破綻するという限界点はあるし、無理矢理な調整でよく見せようとしても時間がかかる割に報われない。また言うまでもなくブレやピンボケはどうにもならない。

RAWが後処理に強いとはいえ、なるべく最小限の調整で形になればそれがベスト。なので撮影時にきちんと撮っておくことは大切。

2. まず方向性を決める

一枚の写真はどのようにも調整できる。ので最初に方向性を決めることが肝要。漫然といじり始めると調整の無限ループに陥りがち。
例えば「シャープネスを強めたら鋭さが出ていいかんじ!しかし柔らかさも欲しいのでちょっと弱めよう・・・いやいや・・・」これは終わらないパターン。

このあたりに関しては『世界一わかりやすいデジタル一眼レフカメラと写真の教科書 何をどう撮る? 活用編』が参考になる。こちらは撮り方だけど考え方は同じ。

3. 露出

露出は明るくすれば軽やかで柔らかく、暗くすれば重々しくシャープに、など写真のイメージを大きく左右する。なので露出の調整を最初に行う。

もちろんベストなのは現像時の調整の必要がないように撮影すること。現像ソフトで増感すればノイズも増える。
だが、実際は失敗することも多々あるし、白飛びを抑えるためにアンダー目に撮っていたりすることもあるので、いくらかは調整することが多い。

4. ホワイトバランス

露出と並んで写真のイメージを大きく左右するものなので、露出の次に調整する。色温度だけでなく色被り補正も忘れずに。
夕焼けや紅葉など色鮮やかなものはホワイトバランス次第で色味の調整の幅が決まるため、特に重要な要素となる。

何も意図がなければ正確なホワイトバランスが良いが、冷たさや温かみを強調するためにあえてホワイトバランスを偏らせるのも常套手段。

5. プリセット

イチからすべてのパラメータをいじっていくのは大変なので、まずは適当にポチポチとプリセットを当ててみる。
合うものがあればそこで終了でもOKだし、そこから必要に応じて微調整に入るのも楽。

自分なりのプリセットを少しずつ育てていくと大量のRAW現像も素早くこなせるようになる。

6. ハイライトとシャドウ

白飛び黒潰れを警戒してハイライトは抑える、シャドウは持ち上げる方向に使うことが多いが、単にメリハリのない写真になってしまうこともあるので注意。

基本補正とトーンカーブにそれぞれ項目があるが、効果が違うので適宜使い分ける。
使い分けると行っても難しいことは考えず、実際にスライダーを動かしてみていい感じになる方を使うってだけ(本当はちゃんと理屈はあるが明確に使い分けられるほど違いを把握していない)

7. コントラスト

単にコントラストの値をいじるよりも白レベルと黒レベルを個別にいじる方がいいかんじに調整できる。
それだけだと物足りない場合はハイライトとシャドウ、トーンカーブ、明瞭度、かすみの除去も活用する。

コントラストを高めると階調性が犠牲になり画質が硬くなる。強めるとメリハリが出て気持ちいいが、時には弱めることも効果的。

8. シャープネス

基本は適用量の上げ下げ。
それに加えてマスクを使うとエッジ部分のみにシャープネスが適用されるため、全体的にカリカリし過ぎない程よいシャープネスに。ボディ内現像のファインシャープネスのような効果。

とにかくカリカリにしたければ適用量を思いっきり上げると同時にディテールもぐっと上げる。マスクは下げる。
ブレた写真は半径を高めにして強くかけると救済できることもある。

シャープネスを強めにかけた写真は等倍で見ると必ず細部が潰れて荒れているが、その写真をどのサイズで使うのかを考えて。等倍の画質は過度に気にしない。
例えば小さいサイズにする時はシャープネスはかなり強めにかけないとぼやけた写真になってしまう(小さいサイズで出力するときに自動でシャープネスをかける機能もある)

9. 彩度

彩度は足しすぎるとすぐにやり過ぎ感が出て下品な感じになるのでほどほどに。もともと色乗りの良いレンズの場合は調整不要。

自然な彩度を使うと空の青さや木々の緑をほどよく鮮やかにできて便利。

淡い感じを出したい時には彩度をマイナスすると効果的。

10. カラー

個別のカラー調整が時には便利。
ブルーの輝度を下げて彩度を上げて空の青さを強調したり、グリーンでペンタグリーン再現を目指してみたり、レッド、オレンジ、イエローをいじって紅葉の色合いを自分のイメージに近づけようとしたり。

しかし他の色との境界が不自然になったり、他の色とのバランスがおかしくなりがちなので強い調整を施すのは難しい。
簡単に思い通りにならない場合は諦める。深入りしても時間の浪費になるだけのパターンが多い。

11. モノクロ

場合によって色の引き算としてモノクロを使う。主題を引き立てるのに色が不要だったり邪魔な場合など。
モノクロも奥が深そうだが自分はこの程度のモノクロ初級。

12. 段階フィルター、円形フィルター

段階フィルターはハーフNDの効果をソフトウェア上で簡単に得られる強力なツール。
特に空が写っている写真では空とそれ以外の部分の露出が違うことが多いため、非常に使い出がある。

円形フィルターは瞳部分を明るくしたり、部分的なノイズ低減などに便利。不自然にならない程度にさりげなく。

13. 邪魔者の始末

フレームから外しきれなかった部分のトリミング、スポット修正での簡単なゴミ消し、レンズ補正/カラーでのフリンジ消しなど。

ゴミ消しに関してはあまり複雑なものに対応する技量はないのでトリミングでバッサリ切るか、諦めてボツカットにするか。だいたいその二択。
くっそー、蜘蛛の巣め!

14. どっちがいいか?どっちもいい

調整を詰めていくと悩むことがある。ある調整をする前と後とでどちらがいいのかと。
それはおそらくどちらも良い。問題は最初に決めた方向性により沿っているはどちらかということだ。

悩んだのをきっかけに新しい方向性を探っても良い。仮想コピーやヒストリーをうまく使うとそれぞれの分岐を深く詰めることができる。

15. 現像パラメータのコピペ

うまいことなったらCmd+Shift+Cで現像パラメータをコピーして、Cmd+Shift+Vで他の写真に適用。
同じ状況で撮った写真が何枚もある場合でも時間をかけて調整するのは一枚でOK。一枚調整したらあとはそれを他の写真にもコピペするだけでだいたい仕上がる。

16. プリセットとして保存

うまく現像できたもので他にも応用できそうなら現像パラメータをプリセットとして保存しておく。
保存の際は必要なパラメータのみ選択するのが使いやすいプリセットを作るコツ。特に露出やホワイトバランスは抜く。

17. ボディ内現像を使う

どうしてもイマイチイメージ通りにならない時はボディ内現像を試みるなど。
それでOKになることもあるし、OKにはならなくても調整の参考になったりする。どうにもならないこともある。

18. しばらく寝かせる

現像が一通り終わったら、もしくは行き詰まったら、しばらく寝かせてみるのもひとつ。
数日、数週間、数ヶ月かおいて見ると客観的に見られるようになり、新たな視点が得られる。

・・・あれ、この写真なんで撮ったんだっけ?

番外

その他トピックについてさらっと。

カラープロファイル

カメラキャリブレーション/プロファイルを変更することで、JPEGの仕上がりをコントロールするカスタムイメージと同じ効果を写真に適用できる。完全には一致しないがだいぶ近い。

従来のペンタックス機のRAWでは埋め込みかAdobe Standardのみしか選択できなかったが、2016年6月のLightroomのバージョンアップで645Z、K-1、K-3IIのRAWには鮮やか、ナチュラル、人物、風景、雅のカラープロファイルを適用できるようになった。
調整のベースが大きく変更されるので、使用できる機種では積極的に使用すると楽ができるだろう。

RAWかJPEGか

撮影時にホワイトバランスやカスタムイメージなどの設定をせずとも良いので素早く撮影できる、という点から自分はRAWがメイン。

しかしJPEGの「カメラ独特の現像結果(JPEGはカメラがRAWをカメラ内現像したもの)が得られる」「現像に時間を取られない」という点には魅力を感じる。「ファイルサイズの小ささ」も長年写真を撮っていると馬鹿にならないメリット。

それぞれメリットデメリットはあるが撮影時はRAW+JPEGで撮るのが無難な正解。写真の枚数が二倍になるという煩わしさはあるものの。

PEFとDNG

ペンタックスのカメラのRAWは独自規格のPEFとAdobeの提唱する標準規格であるDNGのどちらかで保存できる。

PEFの方が容量がわずかに小さくなるが、汎用性を考えるとDNG一択に思える。
特に新しいボディの発売直後は純正以外のRAW現像ソフトではPEFを現像できない。一方でDNGは現像ソフトの対応を待たずとも現像できる。

上達法

RAW+JPEGで撮ってRAWをJEPGに近づけるという遊びはけっこう勉強になる。

あとは本を読むなどして基本操作を少しずつでも把握することだろうか。