COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/50 ZK
万能の使い勝手と緻密な描写力を合わせ持つ標準ハーフマクロ
- フルサイズ用
- ハイグレード
- 標準レンズ
- 単焦点レンズ
- MF
- 焦点距離50mm
- 最小絞りF2
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成6群8枚
- 最短撮影距離0.24mm
- 最大撮影倍率0.5倍
- 最大径72mm
- 全長64mm
- 重量510g
- フィルター径67mm
Kマウント生産終了につられて買った一本。
名実ともに非の打ち所のないスゴイレンズ。
- 開放からシャープで緻密な描写力
- マクロ域から遠景まで対応できる汎用性
- AFがないため咄嗟のシャッターチャンスには弱い
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
マクロレンズらしく開放から極めてシャープな写りをする。ボケは滑らかで美しく、コントラストのある緻密な描写に加え色ノリもすばらしい。
諸収差も良く補正されていて気になることはほとんとない。
非常にハイレベルで安定していて非の打ち所がないと言っていいほどだ。意図せず印象的な写真が量産される反則レンズの類。
この傾向はマクロだけでなく通常撮影でも同様で、F5.6くらいまで絞ればフルサイズの周辺部まで極めて安定するため遠景も素晴らしくよく写る。ただ明るい単焦点の例に漏れず、絞りすぎるとキレが落ちていく。キレを重視するなら開放からF4あたりを使いたい。
逆光では太陽をフレームに入れてもゴーストは出ないか出ても小さく目立たないことが多く、フレアも見られないクリアな写り。
角度によっては巨大なゴーストと凄まじいフレアが出ることがあるものの、基本的に逆光耐性は良好と言っていいだろう。
使い勝手
マクロレンズとしては純正にはない明るさで、開放から描写が安定しているため非常に使いやすい。
フルサイズでは標準レンズとして、APS-Cでは中望遠レンズとして万能の使い勝手を発揮する。
等倍マクロではなくハーフマクロなので等倍撮影が必要なケースでは力不足だが、カジュアルなクローズアップ撮影においては不足はないだろう。
MFレンズのためAFはできないがピントの山が掴みやすいためMFのみでもさほど苦にはならない。ただし黄昏時など暗くなってくるとさすがに厳しくなってくる。
ピントリングの回転は滑らかでMFレンズとして申し分ないもの。個人的にはもう少し軽い方が好きだが粘りのある感触は回していて心地よい。
マクロレンズのためピントリングの回転角が大きく、マクロ域から無限遠まで回したり戻したりするとけっこう大変に感じることもあるがこれは致し方ない。マクロ域の細かいピント合わせには不可欠の仕様なので。
携帯性
標準単焦点としてはF1.4のレンズと比較してもやや大柄でズッシリ重い。
とは言えまだ気軽に携帯できるレベルだ。
総評
満足度は110点。
圧倒的な描写力はさすがカールツァイスといったところ。金属の質感も素晴らしく手にしているだけで満足感がある。
フルサイズで標準レンズとして使うもよし、APS-Cで中望遠として使うもよし。いずれにしても素晴らしい描写力と使い勝手を提供してくれる。
コシナツァイスの中でも一番お気に入りの一本。
ディスコンは非常に残念。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/100 ZK
こちらも定評のあるMakro Planarの100mmバージョン。
同じハーフマクロではあるが100mmの方が被写界深度が浅いため50mmとはまた違った表現が得られる。
smc PENTAX-D FA Macro 50mm F2.8と
DFA50の方は等倍かつコンパクトでAFもついているため単純な使い勝手では上。
描写に関してはMakro Planarのようなインパクトのあるキレはないが、スッキリ自然な表現力はそれはそれで好ましい。
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WR
純正の100mmマクロ。DFA50と同様使い勝手はこちらの方が良い。
明るさや収差の少なさではMakro Planarに及ばないものの、表現力も十分に高い。
COSINA Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZK
マクロではない普通のPlanar。こちらは柔らかい描写で幾分コンパクト。特に開放はステキに柔らかい。
シャープさを重視するならMakro Planarの方が良い。
このレンズに関するメモ
手ぶれ補正
手ぶれ補正付きでMakro Planarが使えるのはペンタックスだけ!
というわけでKマウントのこのレンズは他マウントのものにはない価値があると思うのですよ。
ただしレンズを装着してカメラの電源を入れたときに焦点距離を正しく入力する必要がある。例えばわざとデタラメに850mmにしてみると手ぶれ補正が過剰に働いて派手にブレブレの写真ばっかりになる。
面白いので試してみるといい、と言いたいところだが、この時カメラがブルブルブル!と強く震えたりすることもあるので、カメラとレンズの健康を考えるとあまりやらないほうがよさそう。
Milvus 2/50M
OtusちっくなデザインになったMakro Planarの後継モデル。
光学系は変わっていないが、フィルム機を考慮せずデジタル特化にチューニングしたことでさらに性能が上がっているらしい。
Kマウントには関係ないが!
関連用品
フィルター
67mm径。風景撮影にも使えるのでPLフィルターやNDフィルターが力を発揮することがあるはず。
三脚
気合いを入れてマクロ撮影するなら三脚があると楽ができる。
ミニ三脚でもOK。ただし一眼レフに対応したものを。
一脚
一脚もマクロ撮影時の姿勢安定にかなり役立つ。