smc PENTAX-DA 15mm F4 AL Limited
ポケットサイズのかわいい超広角
- DA Limited
- APS-C用
- ミドルグレード
- 広角レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- クイックシフトフォーカス
- SPコーティング
- 焦点距離15mm
- 最小絞りF4
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数7枚
- レンズ構成6群8枚
- 最短撮影距離0.18mm
- 最大撮影倍率0.15倍
- 最大径64mm
- 全長39.5mm
- 重量212g
- フィルター径49mm
K-r購入時に単焦点を使ってみたくて検討を重ねた末に購入した一本。
リミテッドレンズの超広角担当として非常に面白いキャラクターをしたレンズ。
- 抜群の携帯性を持った超広角レンズ
- レンズ中央の解像力が極めて高い
- アルミ削り出しの高い質感
- 開放のボケがうるさくなりがち
- 周辺の甘さが気になるときがある
- 着脱がめんどくさいねじこみ式のキャップ
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
超広角レンズであるにもかかわらず歪曲が極めて少ないの点が特徴。
加えて逆光耐性が極めて高く、太陽を思いっきり入れた構図でもフレアーはなく、ゴーストも出ないか注意深く見るとかすかに出ている程度。
さすがに超広角だけあって色収差は出るが、わずかなもので気になることは少ない。このあたりの安定感は心強い。発色が鮮やかなので青空がとても良い色で写る点も好ましい。
解像力も高く開放から中央はシャープだが、周辺まで安定するのはF8〜F11辺り。開放では周辺減光や明るい部分にハロが出るなどの甘さがあるが、絞れば解消されてしっかりとした写りになる。
ただ絞っても周辺の甘さはわずかながら感じられるので、風景写真などで周辺画質にこだわる人にとっては不満が残るかもしれない。中央のシャープさでは他の純正広角に勝る物を持っているが、周辺まで含めると分が悪くなる。
夜景などを絞って撮ると強い光源の周りに光芒が出るが、光源の中心から細い線が規則正しく飛び出したきれいな形をしている。
絞り羽根の枚数が奇数の7枚ということもあり光芒の数はその倍の14本と、かなり派手に出る。これは個人的には好きな出方だが人によってはうるさいと思うようだ。
ボケは開放ではかなりうるさいが絞ればまずまず。そういう点からも基本的に絞って使うレンズかと思う。
ただ開放の荒ぶるボケ味が口径食と相まって集中線のような効果を醸し出すことができるので、それはそれで狙えば面白かったりもする。
使い勝手
広角ならではの広さや遠近感を安定した描写で楽しむことができる手軽なレンズ。内蔵フードはスマートだしコンパクトさも相まって取り回しはかなり良い。
最短撮影距離が18cmと短いので、被写体に寄って大きく撮ることもでき、遠近感を活かした迫力のある写真を撮ることができる。
ただその際に背景をできるだけ大きくぼかそうとして絞りを開放まで開けるとボケがかなりうるさくなるので、背景を大人しくしたいなら絞った方が良い。むしろ絞っても少々うるさいくらいなので。
中央の解像力は相当高いため、トリミング前提で日の丸で撮っておくといった使い方も可能。
使い勝手で明確な不満点としてはキャップがねじこみ式な点。着脱に時間がかかりやや不便であるし、スクリュー部分の塗装が剥げやすく使用感がすぐに出てしまうのであまりよくないと思っている。
内蔵フードがフィルター類と干渉することがあるのも若干悩ましいところ。
携帯性
DA40 Limitedのようなパンケーキレンズと比べれば大きいものの、それでもポケットに入れて持ち歩けるレベル。普通の超広角レンズに比べれば驚くほどのコンパクトさで携帯性は非常に良いと言える。
使うか分からないけど一応、くらいの気分で気軽にバッグに放り込んでおける超広角は貴重。
このレンズを持っていると携帯性は間違いなくレンズの性能のひとつだなと思わせられる。
総評
満足度はじわじわと高まって110点。
リミテッドレンズならではのアルミ削り出しの質感とコンパクトさが満足度にプラスαの一本。
18mmスタートの標準ズームのお供にもちょうどいい。
F4と単焦点にしては明るいレンズではないが、基本絞って使うレンズと考えれば問題ない。
なかなか印象的な写りをすることが多いので気に入っている。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-DA 14mm F2.8 ED [IF] とどちらにすべきか
超広角としてどちらを選べば良いのか。
携帯性やルックスを重視するならDA15を。
星景撮影などのための明るさ、またはきめ細かな描写力を重視するならDA14を。
また夜景では光芒の形も注目したい要素だが、DA15は絞り羽根枚数が奇数なので光芒は多く出てしばしば金平糖のようなギザギザになる。一方DA14は偶数なので光の線がクロスしたようなすっきりとした光芒になる。
どちらもいいレンズには違いない。
smc PENTAX-DA 12-24mm F4 ED AL [IF] とどちらにすべきか
超広角として単焦点とズームはどちらが良いのだろうか。
携帯性をルックスを重視するならDA15を。
ズームの使い勝手や安定した画質を重視するならDA12-24を。
ズーミングによって画角を変更することで構図を調整できるのはやはり便利。
また換算36mmの準広角までカバーしているため、DA12-24を付けっぱなしでも割と不満なく撮影を完結できて使い勝手が良い。
加えて描写にも定評があり解像力などDA15より勝っている部分が多い。サイズ的に問題がなければDA12-24の方がいいだろう。
しかしDA15のコンパクトさは非常に使い勝手が良いので、携帯性重視の人はやはりDA15がいいだろう。見た目の格好良さも上だし。
とまあペンタの広角レンズを比較するとこんな風に一長一短というか、いずれも捨てがたい特性を持っているので悩ましいのですよ。
ところで2012年の2月に出たレンズロードマップで新しい広角ズームが出る予定になっているのも気になる。
サードパーティの広角レンズはどう?
シグマの8-16や10-20は純正では得られない超広角が得られるので面白い選択。特に8-16は良いレンズで、周辺の描写や色収差がより安定しており、サイズが若干大きい以外は申し分ない。
しかしやはりコンパクトさではDA15の圧勝なので携帯性重視の人ならDA15で間違いない。
smc PENTAX-DA 21mm F3.2 AL Limited とどちらにすべきか
同じ広角だが広角で6mm違うと使い勝手はまったく別物なので、この比較で悩むと言うことは用途が固まっていないと言うことだと思うので、まずその辺りをよく考えた方がいい。
キットレンズの広角端では広さが物足りないと思っているのであればDA15しかない。
いろんな場面で使いやすい広角単が欲しいということであれば、一本付けっぱなしでも割と何でもこなせるDA21の方を選んだ方がいい。
標準ズームの広角端ではだめ?
ダメではないが広角側の1mmの差は大きいので、その辺りをどう考えるか次第。
少なくともDA18-55やDA18-135の18mmとは写る範囲や得られる遠近感かなり違う。またこれらのズームは広角端の写りは若干甘いときている。
しかし大口径標準ズームのDA★16-50の広角端と比べると解像感などではDA★16-50の方が上と感じる。歪曲や色収差の面ではDA15の方が勝っているが。
自分としては例えば旅にDA18-55やDA18-135を持って行くとしたらDA15も携帯してセットで使いたい。しかしDA★16-50を持って行くならDA15はまあいいかな、という考えになる。
HD PENTAX-DA 15mm F4 AL Limited
リニューアルされた後継レンズ。正常進化バージョン。
HDコーティングで描写性能が向上したほか、外観に緑帯から赤帯になるなどの変更。あと23g軽くと1割近く軽量化した。
円形絞りの採用により金平糖のような光芒はおとなしくなった。
この点は個人的には惜しいが、それ以外はHD版がほぼ全ての面で優れているので、光芒へのこだわりがなければ迷うことなくHD版を選べば良い。
このレンズに関するメモ
フルサイズ機での利用
HD版と同様に無理がある。
APS-Cクロップでどうぞ。
メンテ&使用記録
位相差AFで遠景に対する無限遠がきちんと合わない 2012/04
前々からΣ8-16と比べると遠景がもやつくなあ、と思っていたらそういうことだった。コントラストAFだとしっかり合って明らかにシャキッとした絵が出てくる。三脚立てて検証してみてもその通りの結果。
しかし上京したついでに新宿のペンタックスフォーラムで見てもらったが異常なしと言うことだった。ん〜、異常なしというのが逆に問題に思える。
しかしまあ投げ捨てるには惜しいレンズなのでコントラストAFで使っていく。
これ以前にシグマとの某レンズに関するやりとりでも感じたが、室内での限られた検査と様々なフィールドでの実写の違いというのは確かにあるように思われる。
遠景のAFは機械にとって難しいことだと聞いたことがあるのでそういうことなのかな。
気がついたこと 2012/06
AFの件はもしかしてミラーショックかもしれない。
AF関係なしにファインダーのぞいて撮った時とライブビューで撮った時の違いに気がついた。
HD化でリニューアル 2013/09
これに伴い非HDバージョンはディスコン。
いつでも持ち歩ける広角という立ち位置がGRにだいぶ浸食されているが、このレンズの性能向上には興味津々。いつか試したい。
HD版購入そして 2013/11
期待通りの性能向上にこちらはドナドナの予定。
売却 2014/05
うちでの役割をHD版に譲ってドナドナ。
新たな持ち主の元で末永く活躍して欲しい。
関連用品
フィルター
風景撮影にPLフィルターやNDフィルターは定番。49mm径は他のほとんどのリミテッドレンズと共通した物なのでよく使い回しが効く。
ただしPLフィルターは内蔵フードと干渉する場合があるので注意。干渉するとフードの内側が削れてしまう。
ケンコーのZeta EX サーキュラーPLフィルターは干渉する。操作性を考えて操作リングがフレームより出っ張っているのが徒になっているようだ。
マルミのEXUSは干渉しないので、これを使っている。
ステップアップリング
一体型のフードが邪魔するので一切使えない。
レンズキャップ O-LC49
DFA100Macroなどに付いている49mm径用の純正レンズキャップ。
キャップ着脱が素早くできるようになり機動力アップ!
K-01
ミラーショックもないしコンパクトさがブーストされるしでいろいろと覚醒する。