smc PENTAX-FA☆24mm F2 AL[IF]
クリアで艶のある描写が特徴的な広角単焦点
- ハイグレード
- フルサイズ用
- 広角レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- 絞り環
- 焦点距離24mm
- 最小絞りF2
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数8枚
- レンズ構成9群11枚
- 最短撮影距離0.3mm
- 最大撮影倍率0.13倍
- 最大径72.5mm
- 全長65.5mm
- 重量405g
- フィルター径67mm
フィルム時代にスターレンズとして作られた超広角単焦点。
少々気むずかしい所もあるが、ハマれば素晴らしい写りをするレンズ。
明るさをF2に抑えてコンパクトに仕上げていたり、光学性能に粗はあるものの艶やかで魅力的な写りだったりを見ていると、スターレンズと言うよりリミテッドレンズっぽい気がしてくる。
- 手ごろなサイズの超広角
- 立体感、色ノリ、階調など豊かなで印象的な描写
- クロスフィルター要らずの光芒
- 二線ボケのため開放のボケがうるさくなりがち
- 周辺部の甘さやハロが出やすいなど性能に粗がある
- フードが取り付けにくい
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
豊かな階調と鮮やかな発色、それとF2の明るさが特長のレンズで、デジタルで使っても単焦点らしいシャープさと繊細な描写は健在。立体感がとても良く出て印象的な写真を撮ることができる。
光芒は8本でクロスフィルターを使ったようにきれいに出るので夜景に使うのも楽しい。
だが難しい点としては強い光を浴びた被写体の周りにフレア(ハロ)が出やすくしばしば画質が荒れて見える。うまく活かせば柔らかさの表現として使えるが、狙っていないときでも出てくるので悩ましい。絞れば出にくくなるが、日光が当たっているものの周りなどにはF8まで絞っても出てくることがある。
そうしたこともあり曇天や薄暮など光量が少ない条件下で力を発揮するレンズという気がしている。
ボケは基本的に柔らかで大口径の単焦点レンズらしい見事な物だが、開放付近ほど二線ボケが出やすくうるさくなることが多い。
広角レンズかつ最大撮影倍率も高くないため二線ボケを溶かすほどに大きくぼかすことも難しい。絞れば二線ボケもマシになるが、ボケを重視する場合はある程度使いこなしや妥協を求められる。
逆光に関しては、レンズの斜め上から強い光が当たるような状況では大きなゴーストが出るが、光源をフレームの中に入れてしまうと逆に出なかったりする。フレアも同様で、ほとんどのケースでクリアな画質を得られる。
逆光耐性は十分に強いと言っていいだろう。
解像力に関しては中央は非常に高いが周辺部は少々甘くなり、色収差による画質の乱れも気になる。これは絞ってもまだ目立つ。
フルサイズでもAPS-Cでもこれは同様。
ただ最初にAPS-Cで使ってこういう傾向だったので、フルサイズだともっと酷くなるかと思いきやそうでもなかったのは意外。一定の基準で安定はしているということか。
遠景の写りはDA★16-50と同等程度か微妙に繊細かな?くらいという印象なので普通の単焦点としては十分だが、スターレンズの単焦点と考えると物足りないかもしれない。
階調や立体感などの長所は発揮されるが、隅々までシャープな像が欲しい人はおそらく満足できない。
使い勝手
画角は超広角の入口の24mm。
屋外の開けたところでは肉眼でパッと見た視界より広く写り、近接の被写体と背景の遠近感も強く出るので、日常の視点とは違った世界を写し取ることができる。
使い勝手としてはハロの出やすさや癖のあるボケの傾向、周辺部の甘さなどから気軽に使いやすいレンズではない。
一方で色鮮やかな花などを順光や斜光でコントラストが出るようにしつつ十分絞って写すと、色乗りと立体感があいまって素晴らしい写真が出てくるほか、太陽や夜景などでは光芒がよく出て楽しい。
また光の柔らかな場所や時間帯では階調の豊かさが際立つし、開放付近でハロを活かして柔らかい表現を狙うのも面白い。
要するにある程度の使いこなしが求められる。
気に入らない点としてはフードがなにやら取り付けにくく、なかなかカチッとはまらない。普通に付ける時と逆さ付けする時とで回転方向が逆になるのも違和感があって不便。
携帯性
フルサイズ対応の24mm F2としてはコンパクトで、サイズの割にズッシリとした重さが逆に心地よい。
携帯性は良好と言っていい。
総評
描写の傾向的に使いどころを選ぶレンズ。ただ大口径の広角単焦点と言うのは元来そういう物かもしれない。
解像力や気軽な使いやすさを期待していると不満が出るだろう。だが立体感や階調の豊かさ、色乗りの良さ、きれいな光芒などが活かせる被写体にはかなりの威力を発揮する。
なんだかんだ言いつつも描写はけっこう気に入っていて、K-1といっしょに気軽に持ち出せる超広角として重宝している。
満足度は100点。
DFA21リミが出たことで持ち出しやすい超広角としての価値は薄れた。21mmと24mmでは画角がけっこう違うけれども。
昨今の広角単焦点に比べると光学性能はそこそこといったかんじだが、艶やかな写りは相変わらず素敵。
購入に関するアドバイス
入手性について
中古のみ。
そろそろ玉数も少ないがまだ継続的に流通している。状態のいいものを見つけるのは難しいかもしれない。
類似または関連するレンズとの比較
HD PENTAX-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR
画角は割と違うが、サイズ感の似通った超広角レンズ。
DFA21リミの方が光学性能も安定していて、ボケ味も素晴らしく、最大撮影倍率高く、防滴性能もあるなどさすがに色々と優れている。
FA☆24は中古のみだが4万円前後と安くて今やコスパが高い。
画角的にはより広くてダイナミックな21mmか、超広角としては比較的扱いやすい24mmかといったところで用途や好みの問題となる。
smc PENTAX-DA 12-24mm F4 ED AL [IF]と比べて
APS-Cで絞って風景撮影するならDA12-24の方がズームなので利便性が高く、性能的にも申し分なく使いやすい。デジタルらしいスッキリした描写で解像力も高く周辺までしっかりと写る。色収差が出やすい以外は本当に安定した性能を持っている。
ほとんどの人にとってはこちらの方が使いやすいだろう。
一方で花撮りや広角ポートレートのような用途ではFA☆24が面白いかもしれない。
豊かな階調と色乗り、大口径ならではのボケ味などを活かせると思う。
COSINA Carl Zeiss Distagon T∗2.8/25 ZK
焦点距離が近くフルサイズ対応という点で似通ったスペックをしている。
こちらはかなり寄れるので広角マクロ的にも使えて、しかも開放からボケが滑らかなので気軽に使いやすい。
また遠景の解像ではコシナツァイスのDistagon最弱なF2.8の25mmだが、FA☆24よりは若干良くてAPS-Cだと周辺まで安定している。
というわけでF2の明るさが必要なく、MFで問題が無ければDistagon T∗2.8/25の方がいい。
しかし書いていて思ったがこの比較で悩む人はあまりいなさそうだ。
このレンズに関するメモ
APS-Cでの利用
APS-Cでは準広角となり気軽に使いやすい画角に。
それ以外はあまり変わらないかな?
関連用品
フィルター
フィルター径は67mm。
超広角ではDFA21リミ、望遠ズームのDFA70-210やDA★50-135、DA★60-250などと同じフィルターサイズ。
ステップダウンリング
APS-Cならステップダウンリングで49mmのフィルターを使える。
ただし口径が小さくなる分、光量が落ちてシャッタースピードが稼げなくなるので、開放でSSを稼ぎたいような状況には不適。
ステップアップリング
フードにはPL窓がないのでPLフィルターを使うならどうせフードを外して使うことになる。そのためステップアップリングで77径を他の広角と共用するのもいい。
フード
生産終了品のオプションと言うことで壊れたらすでに入手不可能となっている。
代替品としては汎用品のネジ込み式フードを使うほかない。