smc PENTAX-FA 135mm F2.8 [IF]
優れた描写力と使い勝手を合わせ持つコンパクト望遠単焦点
- フルサイズ用
- ミドルグレード
- 望遠レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- インナーフォーカス
- 絞り環
- 焦点距離135mm
- 最小絞りF2.8
- 最大絞りF32
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成7群8枚
- 最短撮影距離0.7mm
- 最大撮影倍率0.25倍
- 最大径65mm
- 全長80mm
- 重量375g
- フィルター径52mm
コンパクトで良く写る望遠レンズが欲しくてゲットした一本。
高い描写力に加えて簡易マクロとしての使い勝手も良い素敵なレンズ。
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
開放からシャープでクリアな描写力を発揮。と同時に開放では柔らかく絞ればキリッと、といった絞りによる描写の変化も楽しめる。
具体的なF値で言うとF4くらいまではシャープでありつつ適度な柔らかさも感じる魅力的な写りで、F5.6まで絞ったところで柔らかさが消えて最もキレが出る。それ以上絞ると緩やかに解像力が落ちていくが、F8からF11くらいまでは高い解像力を維持する。
周辺部や四隅の解像についても開放から安心して使えるクオリティで、厳しく見てもF5.6まで絞れば何ら問題はなし。
ボケ味は望遠単焦点ならではの美しさ。
高い接写性能とも相まってボケを活かした表現はこのレンズの得意分野と言える。
明確な難点は軸上色収差でピント面前後に色づきが出やすいこと。特に開放でパープルフリンジが目立つことが多い。
逆光耐性に関しては組み込み式フードが不要に思われるほどだが、光源がフレーム内に入るような場合はややフレアが出やすい。
実用上問題になることはほとんどないので十分な逆光耐性と言えるが、2010年代以降のレンズに比べるとさすがに劣っている。
歪曲が極めて良く抑えられているのはさすが単焦点といったところ。
使い勝手
135mmは中望遠と望遠の境目にある焦点距離で、レンズのコンパクトさも相まって手頃で扱いやすいものとなっている。
更にちょっとしたマクロの代わりが務まるほどにクローズアップ性能が高く、F2.8の開放からしっかりとした写りをするレンズということで使い勝手はすこぶる良い。
AFも取り立てて高速という程ではないが遅いというわけでもなく、まずまず十分な速さでストレスは感じない。
しかしMFについては、ピントリングには適度なトルクがあるものの、なにやらモーターを無理に手で回しているような感触があって微妙に気持ちがよくない。
古いレンズなので当然クイックシフトフォーカスには対応しておらず、それも相まって積極的にMFで使いたいと思えないレンズだ。このあたりはマクロ的に使える性能を踏まえるとやや残念か。
携帯性
サイズの割に重さがあるためか手にするとズッシリ感があるが、軽量コンパクトと言ってよい。高画質の望遠レンズでこの携帯性はうれしい。
フードが組み込み式でかさばらない点も良い。
総評
フィルム時代のレンズだがデジタルのフルサイズでも十分に通用する描写力を持っている。かつて隠れスターと呼ばれただけのことはあるなと。
コンパクトさと接写性能の高さも特筆もので、非常に小回りのきく便利なレンズとしてよく使っている。
満足度は110点。
外見はまあ気にしないと言うことで。
スペック的には望遠ズームに任せてしまおうという焦点距離とF値で、画質もFA135が出た時代の単焦点と遜色ないかそれ以上のものが実現できている。
ただしF2.8の望遠ズームともなるとサイズがだいぶ大きくなるため、携帯性が高く気軽に持ち出せるという点を加味するとFA135はいまだに素晴らしい。
購入に関するアドバイス
入手性について
状態の良い中古で見かけたら悩む間もなくゲットするのが吉。
古いレンズなので良品以上の玉数は少ないが、希少扱いされているわけでもないので価格はそれほど高くない。
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WRとの比較
焦点距離、F値、サイズ感の似通ったレンズで使い勝手も似ている。
現行レンズなので手に入りやすいところが良い。
描写力はどちらも高いが、DFA100マクロの方はコントラストや色ノリがややこってり目。
smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6 ED WRとの比較
どちらも望遠レンズとしては非常にコンパクト。
DA50-200はFA135と同じコンパクトさでズーム。加えてより長い望遠性能が手に入る。
F値は低く描写力も劣るが、フットワーク重視の際にはDA50-200も悪くない。
smc PENTAX-DA★50-135mm F2.8ED [IF]SDMとの比較
DA★50-135の望遠単開放は若干甘いので、135mm開放で比べるとFA135の方が勝る。テレコンを付けたときに感じる画質への影響もFA135の方が少なく、さすがは単焦点といったところ。
とは言えDA★50-135の描写力も十分に高く、一段絞れば大きな差は感じられない。
ほか接写性能や携帯性、フルサイズ対応という点でFA135が優れているが、APS-Cで使うならばDA★50-135のズームの利便性も捨てがたい。
このレンズに関するメモ
APS-Cでの利用
APS-Cでは換算207mmとなりより長い望遠の画角に。
コンパクトなレンズなのでAPS-C機とのマッチングも良い。
関連用品について
フィルター
52mm径。
DA50 F1.8やDA18-55と同じだがKマウントではレアなサイズ。
遠景も良く写り風景撮影に使えるレンズなのでPLフィルターやNDフィルターがあると撮影の幅が広がって面白い。
ステップダウンリング
望遠のためステップダウンリングを使って、49mm径のフィルターを使うのもひとつ。
この程度のステップダウンならフルサイズでもケラレることはない。