HD PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 ED WR
HDコーティングで更に性能が向上したコンパクト超望遠ズーム
- APS-C用
- エントリーグレード
- 望遠レンズ
- ズームレンズ
- AF
- クイックシフトフォーカス
- HDコーティング
- SPコーティング
- 焦点距離55-300mm
- 最小絞りF4-F5.8
- 最大絞りF22-F32
- 絞り羽根枚数6枚
- レンズ構成8群12枚
- 最短撮影距離1.4mm
- 最大撮影倍率0.28倍
- 最大径71mm
- 全長111.5mm
- 重量466g
- フィルター径58mm
HDコーティングによる性能向上に興味があって手に入れた一本。
画質の向上と簡易防滴によって更に価値を増した良レンズ。
- 中望遠から超望遠までの広いズームレンジ
- コストパフォーマンスが高い
- クォーターマクロを超える最大撮影倍率で被写体を大きく写せる
- 超望遠としては軽量コンパクト
- AF速度がやや遅い
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
DA55-300の持っていた描写力は健在で、このクラスのレンズとしては優れた画質。
相変わらずコントラストや色乗りが良く、立体感や質感もしっかりと出る。
ボケ味も失われておらず、望遠で寄れば相変わらずのとろけるような素晴らしいボケ味を味わえる。
それにプラスしてHDコーティングにより解像力が増しており、一皮むけたようなシャープさが得られる。ライブビューで拡大してピント合わせをしているとピントのエッジの立ち方が違うのを感じる。
一番解像力が安定するのはF11あたりだが、開放でも十分に実用の範囲内。
ただHDコーティングでも色収差や周辺減光などの欠点の傾向は変わっていない。
色収差は激しいと言うほどではないが望遠側でたまに気になる。
使い勝手
DA55-300の持っていた使い勝手も健在。
軽量な超望遠ズームで、ズームレンジが広さに加えて、最大撮影倍率が高く被写体を大きく写すことが可能なので簡易的なマクロ撮影にも使うことができるなど、一本でいろいろとこなせて汎用性が高い。
その上に防滴構造も加わり、ますます旅やアウトドアにもってこいの一本となった。
ただしAFの遅さやうるささなど弱点も引き継いでいる。
遅いと言いつつボディ内モーターが強力なK-5以降の機種ではピントリングの動く速度は速くなっており、ピント位置がさほど移動しないときは素早く決まる。
が、このレンズはピントリングの回転角が広いことがしばしば遅さを感じる要因で、ピント位置が最短撮影距離付近から無限遠近くまで変化したり、AFが迷ってピントリングが一周したりするとかなり待たされる感がある。
被写体が動物だとモーター音で逃げてしまうことも。
ちなみにK-3ではAF強化でボディ内モーターが更に高速になった上に、迷うことも少なくなったので、K-3と合わせるならAFの遅さもだいぶ補える。
でもやっぱり遅いと感じてしまうので、そんなAFをアシストするためのクイックシフトフォーカスが便利なのである。
携帯性
DA55-300に比べると若干重くなっているが、超望遠ズームとしては変わらず軽量コンパクト。
さほど大きくないカメラバッグにも無理なく収まる。
総評
無印のDA55-300にHDコーティングと簡易防滴をプラスした正常進化バージョン。
旅のお供の望遠ズームとしてますます存在感が増した。
画質に関してはコーティングの変更だけでこんなに変わるのかという驚きを禁じ得ない。
満足度は95点。
やっぱりAFにストレスを感じることがあるのでちょっと減点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 EDと比べて
基本的には変わっていないがHDコーティングや簡易防滴の採用などで正常進化したものがHD DA55-300mm F4-5.8 ED WR。
違う点は以下の通り。
HDコーティングにより解像力が増した
簡易防滴になった
フードの表面がマットな感じになり高級感が出た
F値が107mmから5.6となった(DA55-300は120mmからだった)
466gと少し重くなった(DA55-300は440gだった)
価格が高くなった
デザインが最近のDAズームレンズのものとなった
帯の色がHDコーティングを示す赤になった
F値や重量増に関してはまあいいが、リニューアルで価格が高くなったのだけが明らかな難点。
価格がこなれるまでは旧型を選ぶのもアリに思える。
とか大人しいことを言うのもひとつだが、解像力アップと簡易防滴には1万円ちょいくらいの価値はあるんじゃなかろうか。あるってことにしとこう。
と言うかそもそもDA55-300の描写力の費用対効果が異常。HD DA55-300の今の値段で売ってもおかしくないレベル。
スターレンズと比べて
良くなったとは言え、さすがにスターレンズに互すほどの描写性能ではない。
正直DA★50-135やDA★60-250だったらもっとよく写ってただろうな〜、と思うことも。
しかし携帯性やズームレンジの広さ、最大撮影倍率などの汎用性に関してはHD DA55-300が優れており、加えて十分な画質を持っているので、携帯性重視の旅などの用途ではHD DA55-300の方が有用性が高い。
このレンズに関するメモ
フルサイズ機での利用
広角端の55mmではわずかにケラレる。
70mmからケラレが大きくなり、100mm付近で最大となる。
そこから200mmに至るまで徐々に小さくなり、200mm付近で最小に。望遠端の300mmでは広角端と同じくらいのケラレになる。
広角端、150mmより望遠側では被写体や状況にもよるが効果として許容できるレベル。
70mmから100mmの範囲ではフォーカス位置が最短に近いほど黒い影がはっきり見えるので厳しい。無限遠ではやや目立つがギリギリ許容できる程度に。
使いこなし次第では役立つだろうか。150-300mm+55mmくらいに考えれば。
周辺の描写をもう少しよく見て判断したい。
無理せず大人しくAPS-Cクロップで使えばいいと言う説もある。
通常はクロップで使っていて、広角端が足りないときにフルサイズにすれば55mmを使える、くらいで使うのが正しいかも。
関連用品
フード
無印55-300とフードの形状は変わっていないが、表面がつるつるからマットな仕上げのものに変更となった。これはグッド。
ステップダウンリングをかますことでDA40用のフジツボフードも使える。
ただしレンズ口径が狭くなるので、露出が少し稼げなくなるというデメリットがある。
フィルター
58mm径はFA31やDA★55等使い回しが効くので良い。
手持ちに49mm径のレンズが多ければステップダウンリング、67mm径、77mm径のレンズが多ければステップアップリングを使ってそれらとフィルターを共用する手もある。
ステップダウンリング
58-49のステップダウンリングを使うとDA40のフジツボフードを装着できる。
ついでにフィルターも49mmのものがケラレなく使える。
ステップアップリング
67mm径や77mm径のレンズと組み合わせて持って行く場合は、58-67や58-77のステップアップリングがあればフィルターを共用できる。
テレコン
HD DA AF REAR CONVERTER 1.4X AWを使うことができる。
77mm-420mm F5.6-F8相当のレンズとなる。
開放は紗がかかったように少し甘くなるが、一段絞れば締まった写りになり画質の劣化は気にならない。
公式の対応表では△になっている位相差AFもおおむね問題なく動作する。まれに動かないときがあるが、クイックシフトフォーカスで被写体の輪郭が分かるくらいまで合わせてやれば、あとはそこからAFで合焦する。
旧来の1.7xテレコンも使用可能だが、手ブレ補正用の焦点距離入力をズームのたびに入力しなければならない。それは実質的に無理なので、手ぶれ補正を切って使うか、ズームせずに焦点距離固定で使うかになるかと思う。
AFにも制約を受けるため、そういった点でも若干不便である。画質はまずまずだが、それらの理由から個人的にAFのズームレンズで1.7xテレコンは使う気にはならない。
F値の変化 | |
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55mm | 4.0 |
107mm | 4.5 |
210mm | 5.6 |
300mm | 5.8 |