HD PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited
HD化しても変わらず最高なFAリミテッド中望遠
- FA Limited
- フルサイズ用
- ハイグレード
- 中望遠レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- HDコーティング
- SPコーティング
- 円形絞り
- 絞り環
- 焦点距離77mm
- 最小絞りF1.8
- 最大絞りF22
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成6群7枚
- 最短撮影距離0.7mm
- 最大撮影倍率0.14倍
- 最大径64mm
- 全長48mm
- 重量270g
- フィルター径49mm
FAリミテッドの中望遠担当にHDコーティングを施してリファインしたレンズ。
コンパクトながら優れた表現力は相も変わらず素晴らしいの一言。
smc版と比較するとスペック的には円形絞りやSPコーティングが追加され正常進化と言えるが、描写的には差はほとんどない。
とは言えHD版の方がややクリアな傾向となっていて若干の性格の違いは感じられる。smc版がいいかHD版がいいかはお好みで。
- 解像感高く、やわらかなボケ味が印象的な描写力
- 軽量コンパクトでありながらハイグレードの性能を持つ
- リミテッドレンズならではの高い質感
- EXIFがsmc版のFA77のまま
- クイックシフトフォーカスに対応していない
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
基本的にはsmc版を踏襲する描写力
要するに立体感のある印象的な写真が量産できる。解像感も高く相変わらず使っていてうれしい描写力。
smc版との違いはほとんどないと言っていいが、仔細に見ればクリアさがやや増していて、被写体のエッジがいくらか立って見える。代わりにトレードオフとして柔らかみが少々減じている。
同じ状況で撮った比べた場合、被写体や撮影シーンによっては違いが分からないことも多いものの、一方で明らかに違いを感じるケースもあり、コーティング変更の影響はそこそこ見てとれる。
素晴らしいボケ味
やわらかく自然なボケ味は相変わらず素晴らしいの一言。
smc版から大きく変わったわけではないが、玉ボケに関してはF4まで円形絞りになったことで角張りが出にくくなり、より自然なボケ方をするようになった。
玉ボケの角張りはそれはそれで味があっていいものだが、円形絞りならなあと思うこともたびたびあったのでこれはうれしい変更。
解像力
smc版から変わらず開放からシャープで高解像。大きくは変わっていないと感じる。
周辺まで含めてピークの解像力を発揮したければF5.6あたりを使うのが良い。
一方でF16やF22まで絞っても高い解像力を維持しているのは目立った改善点。
回折の影響がかなり抑えられている。
逆光耐性
smc版も十分な逆光耐性を持っていたが、HDコーティングへの変更でさらにそれが強まった。
色収差
smc版と特に変わりなし。
開放付近では時折色収差が気になることがあるものの、絞れば解消するためさほど問題とは感じられない。
使い勝手
扱いやすい中望遠の画角
中望遠の77mmは注視した場所や物を自然と切り取れる画角であり、スナップ用途に使いやすい。
また描写の傾向からポートレートレンズとしても活躍する。
コンパクトで取り回しが良いことも相まって気軽なお散歩レンズに最適。
SPコーティング
smc版にはなかったSPコーティングが追加された。
前玉に汚れがついても落ちやすく、傷もつきにくい。多少ラフに扱っても安心。
絞り環で絞りを操作できる
Aポジションがあるので一般的なレンズと同様にカメラ側で絞りを制御することが可能だが、お好みで絞り環を使って絞りをコントロールすることもできる。
また絞り環でしか絞りを操作できない古いフィルムカメラでも使うことができるといった利点も。
クイックシフトフォーカスには非対応
AFは十分に速く正確。ピントリングの感触はスムーズでMF操作も快適。
強いて言えばクイックシフトフォーカスに対応していないのはちょっとだけ残念。
携帯性
ポケットサイズと言えるコンパクトさ
パンケーキレンズには及ばないがリミテッドレンズならではのコンパクトさ。
その気になればコートやベストのポケットに入れて持ち運べる。フードが内臓でかさばらないのも良い。
総評
満足度は120点
総合的に見てHD化のインパクトはそれほどではなかったというのが正直なところの感想だが、やはり素晴らしいレンズであることに変わりはない。
スペック的にはsmc版からの正常進化と言えるが、描写傾向に関してのわずかな差は単純な優劣で割り切れるものではなく好みの問題になるだろう。
個人的にはどちらか一方と言われるとsmc版の柔らかさが好ましいと感じるが、HD版のクリアさが好ましいと思う人もいると思われる。また違いが気にならないという人もいるはずだ。
すでにsmc版を持っている人が買い換えるべきかと言われると手放しで推奨するのは難しいが、余裕があれば両方所有して気分によって使い分けるというのも乙。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limitedとの比較
HD版での変化は以下の通り。
- 描写がややクリアな傾向に
- 円形絞り
- 逆光耐性の向上
- 回折が大幅に低減
- SPコーティング
スペック的にはHD版が上位互換となるが、実際の描写の傾向は必ずしもそうではない。
作例をいろいろと見て好みの方を選ぶのがいいだろう。
smc版はHD版の登場によりディスコンとなってしまったが、人気のレンズのため中古の玉は多い。
両方入手して取り比べてみるのも一興だろう。
このレンズに関するメモ
関連用品
フィルター
他のリミテッドレンズを含め多くのレンズと共通の49mm径。
フィルターを付けると内蔵フードを伸ばせないという制約はあるものの、風景撮影にも適したレンズなのでPLフィルターなどあると良い。
EXIFがsmc版のFA77のまま
残念なことにexiftoolでチェックするとLens IDおよびLens Typeが「smc PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited」のままとなっている。
これではあとで判別するのに不便なのでLens Modelに「HD PENTAX-FA 77mm F1.8 Limited」と書き込んで運用している。
ちなみにLightroomでは2021年6月のアップデートを適用してからEXIFにLens Modelを書き足す前でもメタデータにHD版として表示されるようになった。
どうやって判別しているのかは謎。