Sigma 30mm F1.4 EX DC
コストパフォーマンスに優れた明るい単焦点
- APS-C用
- ミドルグレード
- 標準レンズ
- 単焦点レンズ
- AF
- HSM
- フルタイムマニュアル
- 円形絞り
- 焦点距離30mm
- 最小絞りF1.4
- 最大絞りF16
- 絞り羽根枚数8枚
- レンズ構成7群7枚
- 最短撮影距離0.4mm
- 最大撮影倍率0.096倍
- 最大径76.6mm
- 全長59mm
- 重量400g
- フィルター径62mm
FA77で明るいレンズの威力を知って手が出た一本。
F1.4という明るさと開放からシャープな描写が特徴のレンズ。
- 開放からシャープでヌケが良くクリアな描写
- とろけるようなボケ味
- コストパフォーマンスが高い
- 絞っても消えない周辺部の甘さ
- あまり寄れないレンズのため接写で大きく写すのは不得意
- ペンタックス用はHSMでなく、フルタイムマニュアルも使えない
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
開放からシャープでヌケが良く、クリアでスッキリした写真が撮れる。
ボケ味はとろけるように柔らかで申し分ない。アウトフォーカスからなだらかで自然にボケていくので、わずかにピントを外してソフトさを狙うような表現もはまる。
よく言われる周辺の緩さの原因は分かりやすい像面湾曲で、開放で特に目に付く。これにより中央でピントを合わせると周辺部が前ピンになって緩くなる。
まれにだが逆にぼかしたかった部分に意図せずピントが合ってしまって微妙な気分になったりとかも。
ただポートレートやスナップではそうした緩さもさほど気にならないことが多いので、そういう用途ではかなり良く写るレンズという印象。
特に開放の日の丸構図では、周辺の緩さに加えて光量落ちが良い具合に作用して、中央に置いた被写体がとても良く引き立つ。
一方で風景撮影に関してはあまり適したレンズとは言えず、絞ってもなお周辺の緩さが目に付く。F11くらいまで絞れば周辺までの均一性が高くなるので、全く使えないと言うわけでもないが、やはり単焦点としては物足りない。
なお最大絞りのF16まで絞ってしまうと画面全域でF8の周辺画質よりゆるくなる。
逆光耐性は光源がフレームに入るとゴーストが大きく出ることがあるが、フレアはあまり目立たない。大口径レンズとしてはまずまずと言えるのではなかろうか。
絞り羽根枚数が8枚のため、光芒がスッキリときれいに出る点も面白い。
使い勝手
F1.4という明るさは室内や黄昏時の撮影に力を発揮。作りもしっかりしており、ピントリングも滑らかに動いて触っていて楽しい。30mmはAPS-Cでは標準レンズに近い画角となるため扱いやすいレンズと言える。
しかし最短撮影距離40cmというのは思った以上に寄れない距離で、被写体を大きく写すことがままならないストレスをしばしば感じる。
AFに関しては速度は十分で精度にも不安はない。
ペンタックス用はキヤノン用やニコン用と違ってHSMではなく、フルタイムマニュアル対応でないのは残念。
携帯性
大きい、重いという意見もあるが、個人的には気にならない範囲。ペンタックスの純正レンズと比較するとそういう意見になってしまうのだろうか。
総評
F1.4で換算46mmと言う基本の標準レンズを意識したスペックとなっているが、絞ってもイマイチな周辺画質や最短撮影距離の長さなどの弱点が気になる。よって常用の標準レンズとしては今ひとつの使い勝手。
一方でポートレート用途などに明るくボケ味の良いレンズを探している人には強く推奨できる。
満足度は95点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
生産終了品のため中古のみ。根強い人気がありなかなか価格が下がらない。
前期ロットの鮫肌と後期ロットのツルツルがある。基本的に性能は変わらないと思うが、デザインを気にする人は要注意。
smc PENTAX-DA 35mm F2.4 ALとどちらにすべきか
DA35は開放F値こそ1.5段分暗いが、開放からシャープで絞れば遠景まで良く写るなど、多くの状況で安定した性能を発揮する。
加えて最短撮影距離が10cm短いので使い勝手もDA35の方が優れている。更に携帯性もDA35の方が良いし価格も安い。
そうしたもろもろの理由から、最初の単焦点を探しているならDA35の方が無難。
一方でポートレート用途ではF1.4のF値を持つΣ30の方が描写の幅が広がっていいかもしれない。
主な被写体が子供やペットならば特に。
smc PENTAX-FA 31mm F1.8 AL Limitedとどちらにすべきか
価格的に問題なければFA31の方がオススメ。明るさ以外の多くの面でFA31の方が優れている。
しかしΣ30のコストパフォーマンスにもなかなかのものがある。
Sigma 30mm F1.4 DC HSM Art(新型)とどちらにすべきか
Artラインでリニューアルされた新型。
旧型の弱点だった最短撮影距離の長さや周辺画質などが改善されており、基本的な画質に関してもよりヌケがよくなりメリハリが増した印象。
AFもHSMになったので静かになりフルタイムマニュアルにも対応した。
ポートレート用途なら旧型もかなりいい仕事をするが、それに限らず風景からスナップまでいろいろ写したいなら新型の方がいいだろう。
このレンズに関するメモ
フルサイズ機での利用
フォーカス位置に関係なく円形にケラレるので利用不可。
メンテ&使用記録
再入手 2014/11
想うところあって再入手。今度のはツルツル外装の後期ロット。
ボケ味に関する評価修正 2015/05
ボケ味うるさいと思っていたが、以前はたまたま条件が悪かっただけかな。
改めて使ってみるとかなりいいと思った。
関連用品
フィルター
62mm径。
他との使い回しを考えるとステップアップリングをかませて67mm径か77mm径のフィルターを使った方がいいかも。
日中に開放を使う際にNDフィルターがあると露出オーバーを防ぐことができる。