smc PENTAX-DA★60-250mm F4ED [IF] SDM
高い描写力で中望遠から超望遠までを幅広くカバーする望遠ズーム
- APS-C用
- ハイグレード
- 望遠レンズ
- ズームレンズ
- AF
- SDM
- クイックシフトフォーカス
- インナーフォーカス
- SPコーティング
- 防塵防滴
- 三脚座付き
- 焦点距離60-250mm
- 最小絞りF4
- 最大絞りF32
- 絞り羽根枚数9枚
- レンズ構成13群15枚
- 最短撮影距離1.1mm
- 最大撮影倍率0.15倍
- 最大径82mm
- 全長167.5mm
- 重量1040g
- フィルター径67mm
2012年の年初にキャッシュバックキャンペーン滑り込みで購入した一本。
造りに関しても画質も関して非常にクオリティの高い望遠ズーム。
- 開放からシャープで高精細な描写
- 中望遠〜超望遠域の広い画角をカバー
- F2.8通りの望遠ズームとしては軽量で取り回しが良い
- 近接の被写体がやや小さめに写る(無限遠に比べて画角が広い)
- 強い光源をフレームに入れるとゴーストが出やすい
- 中間域以外のレンジで若干周辺が甘い
- SDMが故障しやすい
実際に使用してのレビュー
描写の傾向
ズームレンズではあるが単焦点並みと言っていいほど高い描写性能を持っている。
あまりカリカリした描写ではなくどことなくしっとりとした感じの味を感じさせる描写で、解像感並びに立体感もしっかりと出る。
ボケは少々固さを感じることもあるが十分美しく満足のいくレベル。
開放は少々甘く感じることもあるが大きな問題と感じるほどではなく、積極的に開放を使う気になれる。もちろん絞ればよりシャープに解像するので、一段絞れば万全。
逆光時のフレアはよく抑えられているが、太陽や夜景での大きな照明など強い光源がフレームに入るとゴーストが大きく出る。これは通常の撮影で不満に思うことはほとんどないが、夜景撮影に持ち出すと失敗したなと思うことがある。
ただ見栄えのいいゴーストなので、表現として積極的に使うならば割と絵になる。
ズームレンジの中で一番性能がいいのは中間域の85〜180mmくらいかと思う。
そのレンジから外れた広角端や200mm以上の望遠側でも、被写体を大きく写すときや近景では素晴らしいキレだが、中景、遠景ではF8まで絞っても少々周辺の甘さが残る。ただ以前はかなり気になったそれもメーカーで調整してもらったら大分良くなった。
使い勝手
換算90mm〜390mmをカバーするズームということで汎用性は高い。広角端も中望遠なので狭くはあるのだが、超望遠単焦点に比べれば撮れる範囲は大分広がる。
非常に扱いやすいズームレンズでズームリングおよびピントリングの操作はスムーズ。手持ちもそれほどつらくない重さで取り回しもしやすく、付属の三脚座はタテヨコの切り替えが簡単にできて便利。
防塵防滴は利便性を期待されるズームレンズとしては大きなセールスポイントで、何度か雪の降る中を撮影したが何の心配もせずに写真を撮り続けることができた。悪天候への安心感というのはけっこう大きい。
SDMなのでAFの動作音は静かで、速度もまずまず速い。
AFが苦手とするような被写体に対してはクイックシフトフォーカスでサポートできる点も良い。
しかしズームに応じて鏡胴が伸びるのは少々バランスが悪く感じることもあり、望遠端では手ぶれしやすくなるような気がしている。自分の持ち方が下手なだけかもしれないが。
とは言え、おかげで収納時の長さがより短くなっていると考えれば鏡胴が伸びるというのは悪いばかりではないのかもしれない。
望遠端250mmというスペックにも関わらず、フォーカシングの関係で近接の被写体がDA★200と同程度かそれ以下の大きさにしか写らないのは少々残念。
携帯性
カバーする焦点距離の割にはコンパクトで軽量。このクラスのレンズにしては良いと言える。重さは1kg少々となっていて2kg超のレンズに比べると持ち運びは格段にしやすいし、応じて持ち出す頻度も増える。それでも16.7cmの長さにフードを付けると大した長さになるので収納はちょっとした課題になる。
三脚座は邪魔ならば簡単に外せる。手持ち撮影の際に邪魔なので普段は外している。
個人的にはバイクでの長旅に無理なく持って行けるサイズと重量。
総評
スターレンズの名に恥じない素晴らしいレンズ。
DA★200やDA★300といった単焦点にも迫るようなハイレベルな描写をする。どの焦点距離で行くのが正解か分からないときなどはこのレンズを持ち出すと安心感をもって撮影に臨める。
DFA★70-200やDA55-300 PLMの登場で世代交代の波が来ているも感じるが、総合力の高さでまだまだメインを張れる望遠ズームだ。
満足度は110点。
購入に関するアドバイス
類似または関連するレンズとの比較
HD PENTAX-D FA★70-200mm F2.8 ED DC AWとどちらにするべきか
DFA★70-200のアドバンテージは
- F2.8の明るさ
- ズームレンジ全域で一枚上手の描写性能
- AFがより高速
DA★60-250の有利な点は
- ズームレンジが広い
- 携帯性がいくらか良い
- 価格がいくらか安い
大きさ、重さ、価格をクリアできるならAPS-CでもDFA★70-200の方がオススメ。
HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR REとどちらにすべきか
新世代のAPS-C用望遠ズーム。
普及価格帯のコンパクトなレンズであるにも関わらず、AF速度ではDA★60-250に勝り、描写性能の面でも大きな遜色はない。
F値とボケ味に妥協できるならばDA55-300 PLMは安価で携帯性も高い。強く推奨できるレンズ。
絞って風景撮影したりスナップに使用するのがメインの用途なら特に推奨。
smc PENTAX-DA★200mm F2.8 ED[IF]SDMとどちらにするべきか
DA★200の方が優れている点としては
- F2.8の明るさ
- 200mmでの解像力の高さと周辺までの安定性
- コンパクトさ
- ボケの柔らかさ
- 最大撮影倍率が高い
DA★60-250の有利な点は
- ズームレンズの汎用性
- 望遠端が50mm長い
無難に行くならDA★60-250が良い。が、どちらを購入してもおそらく後悔はない。
smc PENTAX-DA★300mm F4 ED[IF]SDMとどちらにすべきか
無難に行くならやっぱりズーム可能で汎用性の高いDA★60-250が良い。
鳥撮りなど望遠が長ければ長いほどいいような場合はDA★300で。
ただDA★300の凄まじい切れ味は他のレンズの追随を許さないので、より強い感動を与えてくれるのはおそらくDA★300。
smc PENTAX-DA★50-135mm F2.8ED [IF]SDMとどちらにすべきか
明るさやコンパクトさを求めるならDA★50-135で、特に求めないならばDA★60-250。
この比較で一番分かりやすい点はここだろうと思う。焦点距離的にはDA★50-135のズームレンジをDA★60-250がほぼカバーできてしまうので。
しかしそれにプラスしてもうひとつ判断基準を加えるなら、広角側を多用するのか否か、というものが考えられる。DA★50-135はズームレンジ全域で安定した性能を誇るのに比べ、DA★60-250は広角端が若干弱いため、広角側を重視するならDA★50-135の方に軍配が上がる。
一方でDA★60-250の中間域にかかる85mm以降ではDA★60-250の方がしっかりとした写りになるので、望遠側を重視するならDA★60-250の方がいいだろう。
描写傾向で比べるとDA★50-135の方がコントラストが高めでメリハリが強い。それに比べるとDA★60-250は適度に柔らかさもありバランスの取れた上品な印象を受ける。
基本的には両方ともハイレベルなレンズなので、あとは用途や好み次第といったところ。
明確な用途がない場合、なんとなく普段使いで使いやすいのはコンパクトな分DA★50-135かもしれない。
個人的にはDA★50-135の方が持ち出し回数は多いが、画質やズームレンジはDA★60-250の方が好きで、ここぞと言うときにはDA★60-250を持ち出すことが多い。
HD PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 ED/DA 55-300mm F4-5.8 EDはどうか
価格面や性能面では比べものになるレンズではないが似た傾向の焦点距離をカバーするレンズとしては比較対象になる。望遠ズームとして静かなAFと高い描写性能が欲しければDA★60-250。
DA55-300は安いので、まずそちらを購入してしばらく使ってみてから改めて考えるのもアリ。
smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6 ED WRはどうか
画質はさておきコンパクトさ最重視ならば。
サードパーティ製のフルサイズ用70-200 F2.8
シグマはレンズ内手ぶれ補正がついているのがセールスポイント。シグマらしいシャープで画質は評価が高く、価格は少し安かった。しかし2013年末から2014年頭くらいに生産終了になってしまった。
タムロンは新型でなく旧型。作例を見るに柔らかめの描写でボケ味がかなり良い。撮影倍率が高くマクロ的に使うことができるのもよさげ。価格の安さも魅力的。ただAFがうるさく遅め。
共通するメリットとしてはF2.8の明るさと鏡胴が伸びないこと。フルサイズ用なので周辺画質の安定が期待できること。(と、言ってもDA★60-250も85-180くらいでは隅々まで素晴らしい画質だが)
一方デメリットはいずれも重く長くなり、防塵防滴はなし。
smc PENTAX-FA☆80-200 F2.8
生産終了品だが評価が高く面白そうなレンズ。
ただ作例を見るとボケがちょっとうるさいのかなあ、という気がして食指が動かない。
このレンズに関するメモ
本当に単焦点並?
高級ズームが単焦点並の描写をするとは言っても、だいたいにおいてやはりハイエンドな単焦点にはかなわない。だがDA★60-250はそういったハイエンドな単焦点、ペンタックスの場合DA★200やDA★300と比べても劣る部分はわずかと感じる。
特に中間域の85〜180mm辺りは素晴らしい。
なので画質を気にする人にもこのレンズは自信を持ってオススメできる。
ただし1.4xテレコンを付けるとこのレンズでは開放が若干甘くなるのが気になるが、単焦点ではさほど気にならないので、基本的な性能差はやはりあるのだなと思う。
フルサイズ機での利用
広角端から85mmくらいまでは違和感なく普通に使える。
135mm以降はケラレが大きくなるが、イメージサークルのフチがハッキリ見えるようなケラレではないのでシーンによっては使えそう。
とは言え普段は無理せずAPS-Cクロップで使った方が良さそうだ。実際そうしている。フルサイズでも四隅の寸前までは非常にしっかりとした写りなので、かなり惜しいが。
広角端が90mmでは足りない場合にフルサイズで使えば60mmまで広くなるので、そのあたりをうまく使うと便利かも。
メンテ&使用記録
気がついたこと 2012/11
広角端と200mmより望遠側での周辺の甘さに気がつく。
全域で周辺まで素晴らしい画質という評価も聞くのだが、個体差なんだろうか。
調整 2013/01
工場送りで周辺画質の調整をしてもらった。
かなり良くなった気がする。
SDM不調 2015/10
カメラの電源投入直後に位相差AFが反応しない。一度ライブビューにしてコントラストAFにすると反応し、以降しばらくは位相差AFもOKになる。という妙なことになっている。
完全死亡秒読みのヨカン。
SDM修理 2016/05
状況変わらずだが地味に不便なので修理に出した。
無事復活。
売却 2016/09
最高の描写力という面ではDFA★70-200が登場し、画質と携帯性のバランスではDA55-300 PLMが予想外の出来だったため、DA★60-250の出番がなくなってしまった。
サイズや重量が近くなるDFA70-200 F4が出たときが引退の時かと思っていたが、予想より早くにその時が来た形。
長い間、主力の望遠ズームとして本当に良く活躍してくれた。感謝である。
関連用品
フィルター
花や緑、超望遠での風景撮影にPLフィルターはあれば活用したい。
67mm径はDA★50-135やDA17-70と共用可能。現行品ではないがFA☆28-70も同じ。
ステップダウンリング
ステップダウンリングを多段にかまして49mm径のフィルターを使っても全域でケラレない。
ただし口径が狭くなる分光量が落ちるのでシャッタースピードが落ちてしまうという罠。
ステップアップリング
純正レンズに77mm径のレンズが多いのでステップアップリングもいいかもしれない。
フードは同時に使えないが。
テレコン
新しく出た1.4xテレコンを使うと90mm〜350mm(換算約129mm〜536mm)の超望遠ズームとなり、中望遠としては使えなくなるが
このレンズの弱点である最大撮影倍率の低さも補える。
AF速度など機能的にはマスターレンズのみの場合とほぼ遜色なく、画質面でも開放は若干甘くなるが一段絞れば問題ない。
既存の1.7xテレコンは1.4xテレコンと違ってズームに応じた焦点距離をカメラ側に伝えてくれないので、手ぶれ補正がおそらく正しく働かない。Exifにも記録される焦点距離に関しても同様。
カメラの電源を入れたときに焦点距離の入力はできるので、望遠端のみで使うと割り切ればアリかもしれない。(さすがにズームするたびに入力し直すのは厳しい)
三脚
超望遠域までカバーするレンズなのでしっかりとしたものが必要になる。中型以上推奨。
ズーミングでレンズの長さが変わるので転倒注意。
雲台
三脚だけでなく雲台もしっかりした物が必要。
一脚
手ぶれを抑えて、疲労も抑えることができる。
地面に付けなくてもスタビライザーとして機能するので役に立つ。
カメラバッグ
内寸の高さ24cmのバッグならカメラ装着状態でフード逆付けの収納が可能。28cmを超えるカメラであればフード順付けでもいける。
カメラから外してレンズ単体で持ち運ぶなら内寸高20cm程度のバッグでもOK。