APS-C マクロレンズ
純正で標準マクロにHD DA35マクロ、中望遠マクロにDFA50mmマクロ、望遠マクロにDFA100mmマクロがあり、ラインナップとしては十分なものが揃っている。
現行品として購入可能なレンズ
APS-C用で利用できるマクロレンズは純正で3本のレンズがラインナップされている。
HD PENTAX-DA 35mm F2.8 Macro Limited
DAリミテッドの標準マクロ。
等倍マクロとして使うにはレンズの先端が被写体に接するほどに近づく必要がある。
ので等倍に近いマクロ域の撮影には若干使いにくいが、少し距離を取ったハーフマクロやクォーターマクロでも十分にマクロらしい写真を撮ることができる。
マクロ域以外の画質も良く、コンパクトどこまでも寄っていける万能の標準レンズとしても使える。
smc PENTAX-D FA Macro 50mm F2.8
フルサイズ用の標準マクロレンズでAPS-Cでは換算76.5mmの中望遠マクロとなる。
他の二本に比べるとニュートラルで堅実な描写が特徴的。
等倍撮影をしようとするとワーキングディスタンスが少ないため、HD DA35ほどではないがやや苦労する。
マクロ域以外も良く写るので、どこまでも寄っていける中望遠レンズとして使うと面白い。
HD PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 ED AW
コンパクトな外観はほぼそのままに光学系を刷新してリニューアルされた中望遠マクロレンズ。
開放からきめ細かくクリアな描写で、ボケ味もsmc版と同じく素晴らしい。パープルフリンジが大幅に低減され、扱いやすくなっている。
等倍撮影でもワーキングディスタンス(レンズの先端から被写体との距離)を十分に取ることができるため、撮影者やレンズの影が被写体にかかりにくくマクロ撮影がしやすい。
マクロ域から遠景まで高い性能を発揮するため、万能の中望遠レンズとしても使用可能。smc版では簡易防滴だったが、HD版では防塵防滴となった。
ペンタックス機で本格的なマクロ撮影をしたいのならば第一候補となるレンズと言える。
スペック比較
HD DA35マクロ | DFA50マクロ | DFA100マクロ | |
---|---|---|---|
開放F値 | F2.8 | F2.8 | F2.8 |
焦点距離 | 35mm | 50mm | 100mm |
35mm判換算 | 53.5mm | 76.5mm | 153mm |
最大撮影倍率 | 1倍 | 1倍 | 1倍 |
最短撮影距離 | 13.9cm | 19.5cm | 30.3cm |
長さ | 46.5mm | 60mm | 80.5mm |
最大径 | 63mm | 67.6mm | 65mm |
重量 | 214g | 265g | 340g |
フィルター径 | 49mm | 49mm | 49mm |
簡易防滴 | × | × | ◯ |
SPコーティング | ◯ | × | ◯ |
実売価格 | ¥52,200 | ¥46,700 | ¥52,200 |
実売価格は2020年8月現在のヨドバシ.comの税込み価格。ここから10%ポイント還元。
中古で探せるもの
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8 WR
フルサイズ用の中望遠マクロレンズでAPS-Cでは換算153mmの望遠マクロとなる。
普通の望遠単焦点としてマクロ以外の用途に使っても高い描写力を発揮する。
三本の中ではワーキングディスタンスを長く取ることができるため、撮影者やレンズの影が被写体にかかりにくくマクロ撮影がしやすい。
ペンタックス機で本格的なマクロ撮影をしたいのならば第一候補となるレンズと言える。
HD版の登場によりディスコンとなった。
Tamron SP AF 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 Model272E
タムロンの銘玉。通称タム9。
APS-Cでは換算約138mmの望遠マクロとなる。
柔らかな描写と素敵なボケ味が魅力的で、ポートレートや花撮りなどに好適。
安価で純正のマクロに匹敵する画質を持っておりコストパフォーマンスが高い。
smc PENTAX FA Macro 50mm F2.8
現行のDFA版と同一の光学系だが、DFAはデジタル対応されているので画質は少し違うかもしれない。
またサイズがやや大柄でフィルター径も52mmと大きい。
特別安く手に入るのでもなければ大人しくDFA版を選んだ方が吉。
smc PENTAX-D FA Macro 100mm F2.8
光学系は現行のWR版と同一だが、簡易防滴が付いておらず円形絞りでもない。
現行のDFA50マクロに似た外観をしていて絞りリングがある。
50mm同様に特別安く手に入るのでもなければ大人しくDFA版を選んだ方が吉。
smc PENTAX FA☆Macro 200mm F4 ED[IF]
ワーキングディスタンスが長く昆虫撮影などに有利な望遠マクロ。
大柄でサンヨン並みのサイズ感。
一度使ってみたいが玉数少なくなかなか市場に出回らない幻のレンズ。
Sigma APO MACRO 180mm F3.5 EX DG
シグマの望遠マクロ。
こちらも玉数少なく見つけるのは難しいがFA★200マクロよりは目にすることが多い。
Sigma MACRO 50mm F2.8 EX DG
寒色系の描写傾向だが評価はまずまず高い。
中古はかなり安いので可能な限り安価にマクロレンズを試してみたい人にはいいかも。
簡易マクロとして使えるレンズ
最低撮影倍率が0.25倍でクォーターマクロを超えるもの。
実のところマクロっぽいクローズアップ写真を撮る程度ならこれくらいでも十分だったりする。
APS-Cではけっこう数が多い。
また実質的には1.5倍の大きさで写ると言って良く、0.33倍以上あればほぼフルサイズでハーフマクロを利用した時のかんじに近い。
現行品
レンズ | 最大撮影倍率 |
---|---|
smc PENTAX-DA 18-55mm F3.5-5.6 AL WR | 0.34倍 |
smc PENTAX-DA 17-70mm F4 AL[IF] SDM | 0.31倍 |
HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR | 0.26倍 |
HD PENTAX-DA 55-300mm F4-5.8 ED WR | 0.28倍 |
HD PENTAX-DA 55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR RE | 0.30倍 |
HD PENTAX-D FA 70-210mm F4 ED SDM WR | 0.32倍 |
HD PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED | 0.39倍 |
Sigma 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM Contemporary | 0.357倍 |
DA50-200やDA★300が0.24倍で惜しい。
生産終了品
レンズ | 最大撮影倍率 |
---|---|
COSINA Carl Zeiss Distagon T*2.8/25 ZK | 0.41倍 |
smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 AL | 0.25倍 |
smc PENTAX-FA 135mm F2.8 [IF] | 0.25倍 |
Tamron SP AF70-200mm F/2.8 Di LD [IF] MACRO Model A001 | 0.32倍 |
Tamron AF70-300mm F/4-5.6 Di LD MACRO Model A17 | 0.5倍 |
Sigma 70-300mm F4-5.6 DG MACRO | 0.5倍 |
Sigma APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO | 0.5倍 |
Sigma APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM | 0.32倍(200mm時) |
Sigma 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE | 0.26倍 |
Tamron SP AF28-75mmF/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO Model A09 | 0.25倍 |
選択のヒント
本格的なマクロ撮影に
可能な限りのクローズアップ撮影でミクロの世界を覗くという用途では、十分にワーキングディスタンスが取れる中望遠マクロのDFA100マクロが使いやすい。
万能レンズとして使いたい
現行のレンズはどれもマクロ域以外も良く写るので、それぞれの画角で万能のレンズとして使うことができる。
ただピントリングの回転角が大きいためAFの合焦速度に関してはデメリットがある。
これはマクロ域のMFでピントを追い込むために必要な仕様なので仕方がない。
描写力重視
どのレンズも高額性のは高く良く写る。
それぞれ描写の性格は違うので、作例を色々と見て決めると良い。
携帯性重視
純正ならばどれでも携帯性は良好。
この純正のマクロレンズのコンパクトさは他社にはないもの。
コストパフォーマンス重視
中古になってしまうがタム9がオススメ。
純正が良いということであればDFA50が若干安いが、どれもあまり変わらない。
今後のラインナップへの期待混じりの予想
新しいレンズがロードマップに載っているわけでもないので、今後も変化はなさそう。
とは言え標準、中望遠、望遠と十分なラインナップがあるので特に現状で問題は無い。
おまけ 割と最近のMFレンズ
COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/50 ZK
ハーフマクロの中望遠レンズ。
極めて印象的な描写力を持ち、万能の中望遠として使うことができる。
COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/100 ZK
ハーフマクロの望遠レンズ。
描写性能が凄まじく高い。ピントリングが重くて素早く操作できないのが難。
COSINA Voigtlander Macro APO Lanthar 125mm F2.5 SL
評価の高いアポランの等倍マクロ。
中古でもなかなか出てこない幻のレンズ。
Samyang 100mm F2.8 ED UMC MACRO
長さ12cmにフィルター径67mm。ペンタックス純正に比べるとだいぶ大柄だが、実は100mm F2.8の等倍マクロレンズとしては標準的なサイズ。
しかしサードパーティでかつMFレンズの割には純正レンズと同じ程度の価格で、いまいち購入する理由が見当たらない。
LAOWA 60mm F2.8 Ultra-Macro
MFの2倍マクロレンズ。
画質はさほど良くなく、使い勝手的にもMFレンズでかつ実絞りと難ありだが、面白いスペックではある。
LAOWA 15mm F4 Wide Angle Macro with Shift
15mmの等倍マクロ。
画質はさほど良くなく、使い勝手的にもMFレンズでかつ実絞りと難ありだが、面白いスペックではある(コピペ)