フルサイズ 標準単焦点レンズ
Kマウントにおいて現行品のフルサイズ対応標準レンズはDFA★50、HD FA50、FA50 ClassicのHD FA43の4本。
それに加えてAPS-C用レンズのDA★55とDA50もほぼ問題なく使用可能なので、数は十分揃っていると言える。
またマクロレンズのDFA50マクロも標準レンズとして使うことが可能。
現行品として購入可能なレンズ
フルサイズ用の標準単焦点は現行品として純正4本がラインナップされている。
標準マクロレンズも入れれば5本となる。
HD PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited
FA43をコーティング変更でリファインしたレンズ。
描写性能はsmc版を踏襲したものとなっているが、HDコーティングによりややクリア寄りとなっている。
味を標榜するリミテッドレンズであるので、これはなかなか大きな違いに思えるが、どちらがいいかは人によるだろう。
smc版との選択は好みで。
ポケットサイズながら高い描写力を持つというキャラクターは変わっていないので、相変わらずかわいい一本である。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW
2018年に登場したハイグレードの標準単焦点。
他社製品も含めて50mm F1.4として最高水準の光学性能を持ち、当然のごとく開放からシャープ。ボケ味も申し分ない。
極めて高い解像力を持っており、きめの細かな描写は圧巻。さすがのスターレンズと言えましょう。
性能の代償にちょっとそれなりのサイズと重量になってしまってはいるが、画質を最重視するならこのレンズを選択しておけば間違いはない。
HD PENTAX-FA 50mm F1.4
FA50をHDコーティングでリファインした基本の標準単焦点。
開放からシャープでクリアな傾向となったが、基本的にはFA50の性格を受け継いでいて、相変わらず雰囲気のある写真を撮ることができる。
手ごろな価格の標準単焦点として期待通りの働き。
携帯性はsmc版と変わらず良好。
smc PENTAX-FA 50mm F1.4 Classic
smc版のFA50に虹色フレアと言う味付けを加えた、面白い標準単焦点。
Classicなので外観もそのままかと思いきや、実際に手に取ると梨地のマットな仕上げになっていて、オリジナルのFA50より質感は良い。
基本的な描写はFA50を踏襲していて、開放ではかなり柔らかく、絞ればシャープに。
開放からシャープとは行かないが、絞りによる描写の変化が楽しめる。新製品のレンズでこの描写は今日びなかなか貴重。
ちなみに虹色フレアは開放付近でないと出ないので、付属のNDフィルター(4段分の効果があるND16)は忘れず携帯したい。
元のFA50と同じく軽量コンパクトで携帯性も良い。
smc PENTAX-D FA Macro 50mm F2.8
標準画角のマクロレンズ。
マクロ域のみならず遠景までしっかりと写るため万能の標準レンズとして使用が可能。
鮮やか傾向の他のペンタックス純正レンズに比べると、やや忠実寄りのニュートラルでおとなしめの描写。
被写体を正確に写し撮るためのマクロレンズらしく歪曲や色収差などは極めて少ない。
開放F値がF2.8になってしまう点が不利だが、一方でどこまでも寄っていけるため使い勝手は高まる。
一本で撮影の幅を広げたい向きにはオススメの一本。
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APS-C用のレンズで使えるもの
隅々まで完ぺきとはいかないがケラレもなく十分実用的に使えるものが多い。
smc PENTAX-DA★55mm F1.4 SDM
APS-Cでは中望遠レンズだったが、フルサイズでは標準画角のレンズとして利用できる。
フルサイズでも開放からスターレンズらしい見事な描写力を発揮。
四隅までシビアに見るならばF5.6くらいまで絞る必要があるが、ほとんどのケースでは絞りを気にせず振り回せる。
フルサイズで使えるハイグレードの標準レンズが欲しければ検討に値する一本。
DFA★50が出た今でも携帯性とのバランスを考えてこちらを取るのはあり。
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smc PENTAX-DA 50mm F1.8
APS-C用のエントリー向け中望遠単焦点だが、フルサイズで標準単焦点として利用することも可能。
所謂撒き餌レンズと言われる定番スペックのレンズで、安価だが開放からシャープで高い描写力が得られる。
かなり軽量かつコンパクトなレンズなので携帯するのも実際気軽。
元からフルサイズ用に作られている他社の50mm F1.8に比べるとやはり四隅が安定しないが、それもF8以上に絞れば等倍でもほぼ気にならない。十分に実用可能なレベルと言える。
コストパフォーマンス重視ならば一押し。
HD PENTAX-DA 40mm F2.8 Limited
40mmは標準なのか広角なのか若干迷うところだが一応標準扱いで。
開放からシャープでキレのある描写で、これだけコンパクトであるにかかわらず高い性能を持つのはやはり単焦点ならではと思わされる。
四隅までつぶさに見ると絞っても粗が目に付くが、パンケーキレンズの身軽さを活かして街角スナップなどをする分にはほとんど気にならない。
フルサイズではだいぶ広角寄りになったおかげで、スナップレンズとしてはより対応の幅が広がったと言える。
このレンズを使っていると一眼レフなのに目立たない。またボディキャップ代わりとしても優秀。
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スペック比較
DFA★50 | HD FA50 | FA50 Classic | HD FA43 | DA★55 | DA50 | DFA50マクロ | HD DA40 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
開放F値 | F1.4 | F1.4 | F1.4 | F1.9 | F1.4 | F1.8 | F2.8 | F2.8 |
焦点距離 | 50mm | 50mm | 50mm | 43mm | 55mm | 50mm | 50mm | 40mm |
最大撮影倍率 | 0.18倍 | 0.15倍 | 0.15倍 | 0.12倍 | 0.173倍 | 0.15倍 | 1.0倍 | 0.13倍 |
最短撮影距離 | 40cm | 45cm | 45cm | 45cm | 45cm | 45cm | 19.5cm | 40cm |
長さ | 106mm | 40mm | 37mm | 27mm | 66mm | 38.5mm | 60mm | 15mm |
最大径 | 80mm | 65mm | 65mm | 64mm | 70.5mm | 63mm | 67.6mm | 63mm |
重量 | 910g | 223g | 216g | 155g | 375g | 122g | 265g | 89g |
フィルター径 | 72mm | 49mm | 49mm | 58mm | 52mm | 49mm | 49mm | |
防滴性能 | ◎ | × | × | × | ◎ | × | × | × |
SPコーティング | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ |
円形絞り | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ |
絞り羽根枚数 | 9枚 | 8枚 | 8枚 | 8枚 | 9枚 | 7枚 | 8枚 | 9枚 |
実売価格 | ¥121,800 | ¥54,800 | ¥59,800 | ¥64,980 | ¥59,970 | ¥13,700 | ¥46,170 | ¥35,310 |
実売価格は2023年6月現在のヨドバシ.comの税込み価格。ここから10%ポイント還元。
中古で探せるもの
smc PENTAX-FA 43mm F1.9 Limited
ペンタックス自らが真の標準レンズと称する焦点距離43mmのFAリミテッドレンズ。
こちらは開放からシャープで鮮やか、それでいて硬すぎずボケ味も素晴らしい。印象的な描写力を持つ。
明るさはF1.9に抑えられているが非常にコンパクトなのが特徴で、50mmのレンズよりやや広い画角で汎用性もわずかに高い。
高い描写力と身軽さを両立できる贅沢なスナップレンズ。
リミテッドレンズならではの質感も触っていてうれしいものがあり、とにかくかわいい一本。
HD版の登場によりカタログ落ち。
smc PENTAX-FA 50mm F1.4
フィルム時代から販売されている基本の標準単焦点。
開放の描写はかなり柔らかく、昨今のレンズのように開放からシャープにとは行かないが、逆にそれが表現にバリエーションを与えてくれる面も。
シャープに写したい場合は絞れば四隅までしっかりとした写りで、標準レンズとして確かな働きをしてくれる。
古いレンズではあるが、今でも十分に現役で使える標準レンズだ。
軽量コンパクトで携帯性も良い。
HD版の登場によりディスコンとなった。
smc PENTAX-DA 40mm F2.8 XS
パンケーキレンズよりも更に薄いビスケットレンズ。K-01に合わせて作られた。
DA40がベースとなっており描写の傾向は同様に見事なシャープネス。ただし周辺画質がやや落ちるため遠景などではそれなりの差を感じる。
とは言えスナップ用途のレンズとしては特に問題はないだろう。
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Sigma 50mm F1.4 EX DG HSM
シグマのArtラインができる前で、ハイグレードのレンズにはEXの名を冠していた頃の標準単焦点。
フルサイズ用のレンズで大きな柄をしているにも関わらず周辺から隅の描写は振るわず、絞っても甘さが解消しない。
時代の流れ的に汎用性は標準ズームに任せるという割り切りで、明るい単焦点はポートレート向けを指向したということなのだろうか。
癖のないボケ味で開放の柔らかさと少し絞ったところのキレは見事。
描写の特性から標準レンズとしての汎用性には欠けるが、花やペット、人物ポートレートの用途にはなかなかの一本。
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選択のヒント
基本は
オフィシャルにフルサイズ対応でF1.4の明るさを持つHD FA50を選ぶのが無難。
遊び心があれば虹色フレアが出るFA50 Classicも面白い。
サイズ重量価格がクリアできるならDFA★50も良い。
開放からシャープなレンズが良ければ
DFA★50、HD FA50、DA50かDA★55、HD FA43の中からお好みで。
万能に使えるレンズが良ければ
DFA50マクロで何でも写せる。
ただしF1.4に比べて二段暗いF2.8だと物足りなく思うことがあるのも確か。
際立った描写のレンズが欲しければ
考えるまでもなくDFA★50がいいだろう。
サイズや重量が気になるなら次点としてDA★55かFA43も素晴らしく良い。
描写の好みの問題もあるので、ネットで作例を漁ってみるのもひとつ。
コンパクトさ重視なら
DA40シリーズかHD FA43が良い。
ほかHD FA50、FA50 Classic、DA50あたりも十分にコンパクトと言える。
人物を写すことが多いなら
DFA★50のきめの細かい描写はポートレートにも適している。
それ以外ではFA50 Classicかシグマの50mmがいいだろう。
開放の柔らかさがポートレートに向いている。
価格が安いレンズが良ければ
DA50が安価でよく写るので良い。
今後のラインナップへの期待混じりの予想
FA50のHD版が出てきて標準単焦点のラインナップは不足なく完成したと言える。
癖のない描写でお求めやすい基本の50mmという穴が埋まった。
あと考えられるのは50mmマクロのリニューアルくらいだが、100mmマクロと同じようにHD化するだろうか。どうだろうか。
おまけ 割と最近のMFレンズ
実際使ったことがあるのはコシナレンズばかり。
smc PENTAX-A 50mm F1.2
F1.2のスペックを持つ50mm単焦点。
Kマウント純正で最後のマニュアルレンズでもある。
COSINA VOIGTLANDER NOKTON 58mm F1.4 SLII
開放はかなり柔らかな写りだが隅々まで芯は出ている。
目に鮮やかな色ノリとコントラストで被写体を極めて印象的に捉える。ノクトンいいよノクトン。
COSINA Carl Zeiss Planar T*1.4/50 ZK
四隅はF8からF11以上絞る必要あり。このあたりの解像性能だけ見るとAPS-C用のレンズのようだ。
とは言え一応フルサイズ用のレンズということで周辺部が安定してくるのはDA★55よりも早い。
COSINA Carl Zeiss Makro Planar T*2/50 ZK
信頼と安心のマクロプラナーさん。
フルサイズでも解像感高くキレのある画質は健在で被写体が素晴らしく際立つ。これでAFが付いてたら最強の標準レンズになってしまうところだった。
COSINA VOIGTLANDER ULTRON 40mm F2 SL II Aspherical
コントラストが高く色鮮やかな描写が特徴的なパンケーキレンズ。
FA43の対抗馬になるほどの描写力。
Samyang 50mm F1.4 AS UMC
50mm F1.4としては大きめ。
開放ではかなり柔らかい写りで絞るとシャープになるというレンズのようだ。
Lensbaby Velvet 56mm F1.6
ソフトさを楽しむポートレート指向のレンズ。
これは現行品。しかし現代っ子に実絞りはハードルが高い。
オールドレンズの50mm
50mmは腐るほどあるので色々探して試すのも楽しそう。
個人的には取り返しの付かないことになりそうなのでやらないが。