APS-C 標準ズームレンズ
APS-Cの標準ズームの純正レンズはDA18-55、DA16-85、HD DA★16-50、DA20-40リミテッドが現行品。
エントリーグレードからハイグレードまで抜けのないラインナップに加えてリミテッドレンズのショートズームまで揃っており、まずまず充実したラインナップと言える。
現行品として購入可能なレンズ
APS-Cの標準ズームで現行品として購入できるレンズは純正4本がラインナップされている。
smc PENTAX-DA 18-55mm F3.5-5.6 AL WR
エントリー向け標準ズーム。
上位のレンズと比べると画質はそこそこという評価になるが、それでもAPS-C一眼レフのポテンシャルを発揮できるくらいの性能は持っており、十分に写真を楽しむことができる。
画質以外の面では必ずしも上位のレンズに負けておらず、軽くて小さいので携帯性が高い、被写体に寄って大きく写すのが得意といった強みもある。
機能を省いたDAL18-55mmがレンズキットのキットレンズとして付属していた(現行ではキットレンズとしての販売はない)
HD PENTAX-DA 16-85mm F3.5-5.6 ED DC WR
広角16mmスタートの広いズームレンジを持ち、画質的にも信頼性の高いミドルクラスの標準ズーム。
シャープでコントラストが高く、クリアなメリハリのある描写が特徴。
安定した光学性能と使い勝手の良さ、汎用性の高さから万人にオススメしやすいレンズ。
旅のスナップや風景撮影などに期待通りの働きをしてくれる。
HD PENTAX-DA★16-50mm F2.8 ED PLM AW
APS-C標準ズームの決定版ともいえる新世代のスターレンズ。
高い光学性能に裏打ちされた描写性能のほか、 広角16mmスタートの便利さ、PLMによる高速なAFと機能性にも優れており、ハイグレードのレンズとして何ら不満のないものに仕上がっている。
サイズは旧16-50より大きくなり重量も増したが、K-3mkIIIのようなAPS-Cフラッグシップに付けた時のバランスは良好。
HD PENTAX-DA 20-40mm F2.8-4 ED Limited DC WR
リミテッドレンズ初のズームレンズ。通称リミズーム。
ズームレンジを抑えたショートズームとしたことで軽量コンパクトながらきめ細やかで高い画質を実現している。
ショートズームゆえにズームとしての使い勝手はやや劣るが、画質的に信頼性の高い焦点を使っているのと同じ感覚で使えるのは楽しい。
取り回しの良さから気軽なスナップに適しているのはもちろん、高い性能ゆえに風景撮影などにもしっかりと対応できるレンズ。
スペック比較
DA18-55 | DA16-85 | HD DA★16-50 | DA20-40 | |
---|---|---|---|---|
開放F値 | F3.5-F5.6 | F3.5-F5.6 | F2.8 | F2.8-F4 |
広角端 | 18mm | 16mm | 16mm | 20mm |
望遠端 | 55mm | 85mm | 50mm | 40mm |
35mm判換算 | 27.5-84.5mm | 24.5-130mm | 24.5-76.5mm | 30.5-61.5mm |
最大撮影倍率 | 0.34倍 | 0.26倍 | 0.24倍 | 0.20倍 |
最短撮影距離 | 25cm | 35cm | 30cm | 28cm |
長さ | 67.5mm | 94mm | 117mm | 68.5mm |
最大径 | 68mm | 78mm | 84mm | 71mm |
重量 | 200g | 488g | 712g | 283g |
フィルター径 | 52mm | 72mm | 77mm | 55mm |
防滴性能 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
SPコーティング | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
円形絞り | × | 〇 | 〇 | 〇 |
絞り羽根枚数 | 6枚 | 7枚 | 9枚 | 9枚 |
実売価格 | ¥26,760 | ¥63,380 | ¥183,000 | ¥67,900 |
実売価格は2023年6月現在のヨドバシ.comの税込み価格。ここから10%ポイント還元。
中古で探せるもの
HD PENTAX-DA 18-50mm F4-5.6 DC WR RE
沈胴式で携帯性を高めたエントリー向け標準ズーム。
エントリーの枠からは出ないもののDA18-55より解像力などの光学性能も向上している。シャープでコントラスト高め。
コーティングをsmcに変更したDAL 18-50mmがレンズキットのキットレンズとして付属している。
HD版がディスコンとなった今も、smc版の方はキットレンズとして継続している。
smc PENTAX-DA 17-70mm F4 AL[IF] SDM
開放からしっかりとした描写を発揮するミドルクラスのF4通し標準ズーム。
さすがにエントリーグレードのレンズとは一線を画す画質を見せる。
後発のDA16-85に比べると解像力やメリハリなどは劣るが、ゆるさや柔らかさが欲しい時にはDA17-70の方が好ましいこともある。
自然でバランスのいい画質のレンズと言えるかもしれない。
smc PENTAX-DA★16-50mm F2.8ED AL [IF]SDM
いくらか癖はあるものの高い描写力を誇るスターレンズの標準ズーム。
描写力を最重視するならこのレンズが有力な候補となる。
SDM問題など色々とあって手放しではオススメできないのだが、多少の癖やトラブルは楽しめると言う人は是非行ってみてほしいレンズでもある。
Sigma 17-50mm F2.8 EX DC HSM
シグマの現行のContemporaryラインやArtラインができる前のレンズ。
F2.8通しの大口径レンズにしては安価で、純正のエントリーグレードのレンズ並みの価格で手に入る。
それでいて性能はミドルグレードかそれ以上のものを持っているので非常にお買い得。
Sigma 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM Contemporary
シグマのContemporaryラインの標準ズーム。
性能的にはミドルグレードのレンズで、使い勝手が良く写りも良い。しかも割と安いというナイスなレンズ。
コストパフォーマンスを高めるために造りに少し妥協があるのか、使っているうちに自重でズームが伸びてしまうようになるのだけが惜しい。
Sigma 18-35mm F1.8 DC HSM Art
ショートズームながらズームレンズとしては破格のF1.8通し。
F値的にも描写力的にも単焦点を数本集めてこねてまとめたかのような脅威のズームとなっている。
ズームレンジが狭く、サイズが大きく重いなどの難点もあるが、それを措いても画質重視で選ぶ価値があるレンズ。
現行のKマウントの標準ズームの中で最も性能が高い。
選択のヒント
使い勝手重視
DA16-85がオススメ。
携帯性も手頃で、ズームレンジが広く、接写性能もそこそこで、簡易防滴。そして性能的にも申し分ない。
広角端16mmにこだわる
標準ズームの広角端はなるだけ広いとありがたい。
現行のレンズで最も広い16mmから選ぶとなるとDA16-85かHD DA★16-50となる。
F値にこだわる
HD DA★16-50。明るいレンズでないとできない描写もある。
描写力重視
HD DA★16-50を選んでおけば間違いない。
またはリミズームも良い。
携帯性重視
画質に妥協してDA18-55という選択肢。
またはズームレンジに妥協してリミズームという選択肢がある。
コストパフォーマンス重視
DA16-85のコスパは異常。
バランス重視
画質、使い勝手、携帯性もろもろのバランスを加味して選ぶとDA16-85がオススメ。
今後のラインナップへの期待混じりの予想
APS-C用の標準ズームは充実していてラインナップ的に特に問題はない。
最上位の純正レンズとしてHD DA★16-50が出た今、新しいレンズの必要性は感じられないし、出ることもないだろう。